気になったことなど

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

アフリカ連合(AU)の貿易構造-4 南部アフリカ関税同盟(SACU)

南部アフリカ関税同盟(SACU)とは

南部アフリカ関税同盟(SACU)とは、1910年に発効した世界初の関税同盟とされた同盟で、

南アフリカ共和国ボツワナレソト、スジワランドの4カ国の間で結ばれましたが、

1990年にナミビアが加わり5カ国になります。

2016域内合計
GDP : 3258.4億
人口 : 63.43人

南アフリカの地域ブロックには、「南部アフリカ開発共同体(SADC)というより広域なものも存在するのですが、

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)と重複する国々が目立ちます。

そのため、本記事ではSACUを優先することにします。


1南アフリカ共和国( GDP : 2941.3億ドル [世界第 39 位] )

主要産業 : 農業(畜業、穀物、青果、羊毛、皮革)、鉱業(金、プラチナ、鉄鉱石、石炭、銅など)、工業(食品、製鉄、化学、繊維、自動車)
輸出 : 貴金属、鉱物製品、化学製品、食料品、繊維製品、機械製品、自動車
輸入 : 食料品、鉱物製品、機械製品、自動車、自動車部品、化学製品、繊維製品

域内GDPの合計額の約90.3%を1国で占めています。

BRICSの一角を占める南アフリカ共和国は、サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカの国々)では2番目の経済国だとされますが、

サブサハラの諸国の中で最もGDPが大きいナイジェリアは石油資源に依存する1次産品依存国です。

そのことを考慮すれば、実質のNo.1は、工業力を備えた南アフリカ共和国といえるでしょう。

アパルトヘイト廃止後の1996年から経済自由化を推進しており、結果的に外資導入による産業の多角化に成功を収めています。

分野としては、鉱物、農業、漁業、製造業、組み立て業、食品加工、縫製業、情報通信業、エネルギー、金融、不動産、観光、小売業など広範に及びます。
その中で輸出の主力は鉱工業が占めており、

GDPに占める割合は産業の多角化により1970年の21%から2011年の6%まで減少したものの

輸出の約60%を占めています。

プラチナ生産は世界全体の77%を占め、

クロミウムの45%、パラジウムの39%、バーミキュライトの39%、バナジウムの38%、ジルコニウムの30%・・・金の18%などなど

豊富な鉱物資源に恵まれています。

農業品の生産も盛んで、チコリー(4位)、グレープフルーツ(4位)、穀物(5位)、とうもろこし(7位)、柑橘類、サトウキビ、羊毛などなど

農産品も豊富です。

工業においても、食品、繊維などの軽工業から、先進国の自動車企業の受け入れによる重工業など広く発展しています。

他のアフリカ諸国にこれといった工業国が見られない中で、

南アフリカ共和国は、アフリカ最南端に位置する持ち前の地理的条件を生かして、豊富な工業力を備えています。

現時点でまだエジプトなどの調査を終えていませんが、アフリカの中で有望な工業国であることは間違いありません。

ちなみに、1987年の時点では、ヨハネスブルク証券取引所に上場していた全企業の83%がイギリス系のアングロ・アメリカン及び地場財閥3社によって支配されていたようです。


2 ボツワナ( GDP : 150.2億ドル [世界第114位] )

主要産業 : 農業(モロコシ、トウモロコシ)、畜産(牛、羊)、鉱業(ダイヤモンド、銅、ニッケル、石炭)、工業(繊維製品、食品加工)
輸出 : ダイヤモンド、銅、ニッケル、機械
輸入 : 機械・電気製品、燃料、食料品、車両

ボツワナ南アフリカ共和国の北部に位置する内陸国で、

1966年の独立以降、1999年まで平均9%の経済成長率を遂げてきた成長国として知られています。

ボツワナは、ロシアに次いで世界第2位のダイヤモンド生産量を誇っており、

輸出の主力は、ダイヤモンド(90%)などの鉱物になっています。

干ばつや土地の侵食の問題により耕作に適した土地は国土の0.7%しかありません。

そのため、農業セクターはGDPの2.4%(2015)と農業国の多いアフリカ諸国の中では低い数字に留まっており、

国民の半数は自給自足的な農業・牧畜に従事しているものの、国内需要の10%ほどしか賄えていません。

穀物の多くは、南アフリカ共和国からの輸入に依存しています。

工業部門は、生産の多い牛肉の加工を中心とする食料加工など、軽工業は発展しているものの、

現在のところ重工業やハイテク産業はほとんど未発達だとされています。

独立以後、クーデターや内乱は一切経験しておらず政局は安定しています。

政情の安定感と30年間の経済成長を背景にインフラ整備も進んでおり、

ガス水道電気、交通網などの基本インフラストラクチャーや携帯電話網、ITインフラも都市部を中心に整えられています。

経済は、ダイヤモンド依存構造からの脱却を目指して外資導入により産業の多角化を図っていますが

国家の基礎が整っているため、実を結ぶ可能性は十分にあります。

内陸国であるため移動の困難が発生しますが、南アフリカとの間には国際列車や定期長距離バスが頻繁に運行しています。

南アフリカが経済発展を遂げた後の次なる投資国として化ける可能性大といえるでしょう。

唯一の問題であるHIVの蔓延を克服できるかが今後の発展の鍵を握っています。


3 ナミビア( GDP : 106.5億ドル [世界第132位] )

主要産業 : 農業(牧畜)、鉱業(ダイヤモンド、銅、ウラン亜鉛)、漁業(あじ、えび、かに)
輸出 : ダイヤモンド(33.5%)、電気銅(13.7%)、水産物(12.1%)、鉄鉱石(9.7%)
輸入 : 食料品、石油製品、機械製品、化学製品

人口の少なさ、鉱物資源の豊富さ、整備されたインフラによって中進国並みの所得水準になっていますが、貧富の差が世界一激しいと言われています。

これは、先進国並みに豊かな白人層と、伝統的な生活を送る農村部の部族との格差が大きいためです。

豊かな都市部の国民は、GDPの大半を生産している一方で、伝統的な生活を送る国民は自給自足的な農業・牧畜に従事しています。

こうした自給自足的な農業・牧畜には国民の約半数が従事しているとされていますが、耕作可能な土地は国土の10%未満です。

1日2ドル以下の貧困生活を送る層は、国民の約55%に上ります。

ナミビアは輸入品のほとんどを南アフリカに依存しており、

同国とは自国通貨ナミビア・ドル南アフリカ・ラントと1:1にペッグするほど強い関係にあります。

輸出品目は、ダイヤモンド、ウラン、銅、亜鉛、鉛などの鉱物資源と牛肉などが主力となっています。

一方の輸入品目は、資本財や燃料、食料品などが見られます。


4 スワジランド( GDP : 37.7億ドル [世界第155位] )

主要産業 : 農業(砂糖、木材、柑橘類)、繊維産業、鉱業(石炭、アスベスト)
輸出 : 清涼飲料、砂糖、繊維製品、鉱物
輸入 : 鉱業製品、機械、食料・家畜

三方向を南アフリカに囲まれた人口130万人ほどの小国です。

南アフリカアパルトヘイトで混乱に陥っていた頃、経済制裁をくぐり抜けるために進出した南ア企業の投資により

一定の工業化と産業の多角化に成功しているとされます。

GDPへの貢献が最も高い製品は砂糖、及び砂糖から作られる清涼飲料品だとされ、続いて繊維製品が続きます。

鉱物関連では、アスベストが主力ですが、採掘は近年下降しています。

国民の75%ほどが自給自足的な農業に従事しているとされますが、

人口の1%程度に過ぎない白人層が国土の大部分を所有する格差の大きさ、国王の散財癖、世界一のHIV感染率などが

経済成長の妨げになっています。

輸出・輸入の相手国はともに南アフリカ共和国が大部分を占めており、南アフリカ共和国の通貨ラントを共有していることもあり、

関係は大変密になっています。


5 レソト( GDP : 22.7億ドル [世界第162位] )

主要産業 : 農業(トウモロコシ、モロコシ、小麦)、繊維産業
輸出 : 衣料品、ダイヤモンド、畜産品
輸入 : 工業製品、食料・家畜、機械製品

南アフリカ共和国に四方を囲まれた内陸国で、全土が山脈の山中に位置するため平野が一切ありません。

地理的制約により慢性的な食料不足に悩み大部分を輸入に依存しています。

しかしながら、政府は山岳地帯の斜面と豊富な水資源を利用した水力発電に着目しており、

南アへの電力供給、及び水資源の供給は、南アの経済発展に多大の貢献をもたらしています。

経済的には、後発開発途上国の1つに含まれています。

農業に不利なため工業が産業の中心となっており、

先進国企業からの生産移転を受けて、衣服、履物の生産が盛んに行われています。

アフリカの経済を発展させる目的で導入されたAGOAの恩恵を受けたため、

主要な輸出相手国は約半数を占めるアメリカ合衆国南アフリカ共和国となっています。

これがきっかけとなり、2007年に始まったアメリカの不況は、レソトの経済に打撃を与えましたが

2017年現在まで年2%の経済成長を継続しています。

輸出品目は、全体の53%を占める衣類、履物、飲料水です。

一方の輸入品目には、食料品、資本財、工業製品、石油製品などが見られます。

輸入の96.5%は南アフリカ共和国から行われています。






さいごに

2016年の数値では、域内GDPの合計は3258.4億米ドル、人口6343万人という数値になります。

南アフリカ共和国を除けば、どこも人口200万人程度の小国で、人口の大半が農業に従事する農業国でした。

ほとんどの国でダイヤモンドの採掘が活発なのも特徴の一つです。

またすべての国で旧英国植民地の歴史を持っています。

この地域でも、南アフリカ・ラントを通貨として採用するレソトスワジランド、ラントとペッグした通貨を採用するナミビアなど

西部や中部に見られた通貨統合の動きが確認されました。


全体的に中部アフリカのような紛争やクーデターも少なく、インフラ整備の充実と安定した経済発展を遂げている印象を受けました。

しかしながら、地域全体に蔓延しているHIV/AIDSは、今後の南アフリカの発展を左右する問題となりそうです。

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アフリカ連合(AU)の貿易構造-3 中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)とは

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)は、1983年に設立された経済共同体で

アフリカ中部及び周辺に存在する10個の国から構成されています。

現在では、

アンゴラ
ガボン
カメルーン
コンゴ共和国
コンゴ民主共和国
サントメ・プリンシペ
赤道ギニア
チャド
中央アフリカ
ブルンジ

が加盟しています。

加盟国は、大航海時代にヨーロッパからアジアへのルートとなったアフリカ西海岸地方に集中しており、

旧植民地の歴史を持つ国が多いです。

そのため、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)と同様に

貧困と紛争が慢性化する国が散見されます。

では、見ていきましょう。


1アンゴラ( GDP : 958.2億ドル [世界第62位] )

主要産業 : 鉱業(石油、ダイヤモンド)、農業(とうもろこし、砂糖、コーヒー、)
輸出 : 原油、ダイヤモンド、石油製品
輸入 : 機材・電化製品、車両及び部品、医療品

アンゴラポルトガル植民地時代からブラジルへの奴隷輸送の拠点として栄えていました。

1764年より、ポルトガルが宿泊施設や工場の設立など国内開発を進め、奴隷制社会とは異なった路線を進みます。

ところが1975年にアンゴラからポルトガル人が去り2002年まで続く内戦が勃発すると、発達したインフラは壊され、あちこちに地雷が埋められ、経済活動は停滞しました。

しかしながら、国土には豊富な石油とダイヤモンドが眠っており、大きなポテンシャルを持っています。

油田の開発には、シェブロンオイルやブリティッシュペトローリアムなどの外資が大きな役割を果たしており、

2007年の時点でアンゴラの輸出の9割が石油に占められるほど採掘が盛んでした。

近年、内戦時代から親しい関係(現政党に資金援助をしてきた)の中国から原油の輸入が増加しており(石油輸出の50%が中国向けと言われる)、

中国資本から様々な事業での資金援助が降りています。

結果的に、サブサハラ(サハラ砂漠以南の国々)における石油産出量では、ナイジェリアに次ぐ規模にまで成長しています。

しかしながら近年起きた原油価格下落の影響を受けており、

石油依存型の経済からの脱却を図るべく、農業や製造業の育成を進め、産業の多角化を図っています。

人口2200万人程度と規模的には小さいながら、2011年の時点で人口の36%は1日1.25ドル未満で生活する貧困層だとされます。

政府の汚職や腐敗が絶えず、あるいは石油収入は外資に掌握され、国民には十分に還元されていないようです。


2コンゴ民主共和国( GDP : 416.2億ドル [世界第88位] )

主要産業 : 農林水産業(パーム油、綿花、コーヒー、木材、天然ゴムなど)、鉱業・エネルギー(銅、コバルト、ダイヤモンド、金、錫、コルタン、原油)
輸出 : 卑金属、金、原油、コーヒー
輸入 : 資本財、消費財、エネルギー、原材料、食料品

アフリカでは4番目の人口規模を持つ国です。

コバルト、金、銀、錫、ウランボーキサイト、プラチナなどを産する世界トップクラスの鉱産資源国であり、輸出の9割を鉱産資源が占めています。

中でもコバルトは、全世界の埋蔵量の65%がコンゴ共和国にあるとされ、ダイヤモンドの埋蔵量も全世界の30%以上、

産業機器に欠かせないコルタンもコンゴが70%の埋蔵量を持つとされます。

コンゴの未開発の鉱山に眠る鉱石の価値を24兆ドル以上と見積もる評論家もいるほど、コンゴの資源は豊富です。

しかしながら、コンゴ民主共和国の経済は停滞しており、1人あたりGDPは467USドルだとされ、後発開発途上国の中でも低い数字となっています。

鉱物の採掘はインフォーマルな形式で行われ、計上されるべき数字の多くがGDPから抜け落ちています。

膨大な資源を宿しながら、GDPの統計の57.9%が農業由来とされているのは、その証拠の一つといえるでしょう。

輸出品目は、地下資源に偏っており、

輸入品目は、生産機器などの資本財、輸送機器、燃料、食料品となっています。


3 カメルーン( GDP : 293.3億ドル [世界第97位] )

主要産業 : 農業(カカオ、綿花)、鉱工業(石油、アルミニウム)
輸出 : ココア、木材、石油製品、綿花
輸入 : 石油製品、機械機器、穀物、魚介類

石油以外の地下資源には恵まれておらず、石油、ココア、コーヒー、綿花などの一次産品が輸出の主力になっています。

独立以後、内戦やクーデターの経験が一切ない安定国家だとされ、

石油埋蔵量とIMFの支援も受けた安定感を背景に、国際社会からの信任も厚いものとなっています。

産業的には、自給自足農業が盛んで、一次産品の加工を中心とする工業やサービス業も成長しています。

旧フランス植民地であるカメルーンには、中部アフリカ諸国中央銀行(BEAC)の本店が置かれ、BEAC発行のCFAフランが通貨として採用されています。

輸入品目には、エネルギー資源、資本財、トラック、乗用車、食料品が見られます。


4 ガボン( GDP : 142.7億ドル [世界第116位] )

主要産業 : 鉱業(原油マンガン)、農林業(木材、ヤシ油)
輸出 : 石油製品、鉱石、木材
輸入 : 機械類、食料品、車両、プラスチック


人口200万人にも満たない小規模な国家で、中央アフリカ諸国経済共同体の本部が置かれています。

1960年にフランスから独立して以来、内戦やクーデターを経験していません。

国土の80%以上が森林に覆われており、世界第4位の生産量を誇るマンガンなど地下資源も豊富です。

1970年代に国家が面するギニア湾から油田が発見されるまでは、木材とマンガンの輸出に頼っていました。

しかし今日では、GDPの50%、輸出の80%を頼るほど石油に依存した経済構造が出来上がっています。

食料生産が極めて貧弱であり、食料品の大半を輸入に頼っています。

ガボンもまた旧フランス植民地であり、自国通貨としてCFAフランを採用しています。


5 赤道ギニア( GDP : 116.4億ドル [世界第126位] )

主要産業 : 鉱業(石油、液化天然ガス)
輸出 : 石油製品、鉱石、化学品、機械類
輸入 : 船舶、機械類、飲料品、鉱石

伝統的にカカオとコーヒーなどの商品作物プランテーションの貧しい農業国でした。

しかし、1980年代よりギニア湾の油田調査が始められ、1992年にビオコ島沖で油田が発見されると、

主産業は農林水産業から鉱工業に移転するようになります。

人口122万人の小国家であり、オイルマネーの存在から一人当たりのGDPは38,600USドル(2016)とアフリカ大陸では最も高く、

先進国並みの高水準になっています。

しかしながら分配機能の不全から国民の間の格差は広く、7割が国民が貧困にあるとされています。


6 チャド( GDP : 101.0億ドル [世界第134位] )

主要産業 : 農業(綿花)、牧畜業、原油生産
輸出 : 石油、畜産物、綿花
輸入 : 一般機械、輸送機械、電気機器、食料品、衣料品

フランスから独立して以降、内戦やクーデターなど混乱が相次いでおり、インフラは破壊され未整備状態にあります。

加えて、盆地で内陸の地理的位置、国土の3分の2を占める砂漠、政情不安などの条件が重なり、経済は非常に停滞しています。

アメリカの「Human Development Index」によると、チャドは世界で7番目に貧しい国であり、国民の80%が貧困層に該当するとされます。

人口の80%以上は、自給自足的な農業や牧畜に従事しており、食料供給は気候に左右されます。

油田の発見と開発が行われるまでは、伝統的に綿花が輸出の80%を占める主力品目でしたが、

石油の輸出が始まると、石油が輸出の9割以上を占める主力品目となります。

旧フランス植民地の国としてCFAフランを通貨として採用しています。

アメリカのシンクタンクに失敗国家第2位と評されるほど、国家機能の不全に陥っているようです。


7 コンゴ共和国( GDP : 79.6億ドル [世界第140位] )

主要産業 : 鉱業(石油)、林業
輸出 : 原油、木材
輸入 : 資本財、消費財、食料品

コンゴ民主主義共和国がベルギーの旧植民地であったのに対し、

コンゴ共和国はフランスの旧植民地となります。

「元々同じ国だったけど分割統治により別々に独立した。」

といった複雑な経緯はありません。

あえて2国の違いを挙げるとすれば、石油産出量を挙げることができるでしょう。

コンゴ民主共和国は、鉱物資源が豊富な一方で石油産出量は限定的でした。

しかしこのコンゴ共和国では石油生産が盛んで、石油の輸出額が輸出総額の約9割を占めています。

旧フランス植民地として、自国通貨にCFAフランを採用しています。


8 ブルンジ( GDP : 31.3億ドル [世界第159位] )

主要産業 : 農業(コーヒー、茶など)
輸出 : コーヒー、茶、製造品
輸入 : 資本財、石油製品、食料品

ツチ族フツ族の間で行われた長年の内戦と経済制裁によって経済は壊滅状態に陥っています。

さらに狭い国土に1000万人を超える人口が居住する人口密度の高さが災いし

一人当たりのGDPは280ドル(2016 : 世界銀行)と世界全体でも最も貧しい数値になっています。

国民の70%は農業部門に従事しているとされますが、土地の侵食やインフラの不備のため、食料自給率は25%にとどまっています。

輸出品目もコーヒー(外貨収入の8割)、茶、綿花、砂糖、皮革などの農産品に限られています。

輸入品目、資本財、石油製品、食料品が見られます。


9中央アフリカ( GDP : 17.8億ドル [世界第166位] )

主要産業 : 農業(綿花、コーヒー、タバコ)、林業(木材)、鉱工業(ダイヤモンド、金、食品加工、木材加工)
輸出 : 木材、ダイヤモンド、綿花など
輸入 : 石油製品など


2016年は8970万ドルの輸出に対し、輸入が3.74億ドルの輸入過剰に陥るなど

厳しい経済状況にあります。人口の9割が1日2ドル以下の貧困層だとされ、後発開発途上国に指定されています。

経済は、第一次産業が主力のプランテーション的なモノカルチャー経済とされ、綿花やコーヒーを輸出しています。

しかし近年は、ダイヤモンド鉱床の開発や木材の輸出が開始されており、

輸出の約16%を木材、約54%をダイヤモンドが占めるようになっているようです。

とはいえ問題は多く、違法業者によるダイヤモンドの不法輸出などが相次いでおり、制度面の改善が求められています。

中央アフリカ共和国も旧フランス植民地として、通貨にCFAフランを採用しています。


10 サントメ・プリンシペ( GDP : 3.5億ドル [世界第184位] )

主要産業 : 農業(カカオ豆など)
輸出 : カカオ豆、コプラ、コーヒー
輸入 : 機械、食料品、石油製品

長年、カカオの栽培に特化してきた農産国で、2003年の輸出の99.3%がココア豆を占めていました。

しかし近年同国近海で石油鉱床の存在が確認されたことから、

新たな外貨獲得手段としての活躍と産業構造の改善に期待が集まっています。

人口20万人程度の島国で、一見観光業にも適しているように見えますが、

インフラの未整備やマラリアの存在などが発展の足かせとなっているようです。

輸出品目には、ココア豆を中心にコーヒー、コプラ、パーム油などが見られます。

一方の輸入品目としては、資本財、機械機器、石油製品、食料品が挙がっています。

輸入の大半を旧宗主国ポルトガルから受け取っています。







さいごに

これまでアフリカ北部のアラブ・マグレブ連合(AMU)と西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)を調べてきましたが、

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)にも同じ傾向が見られました。

つまり、域内で最も優位な国でも、工業化の仕組みが整っていない資源依存国家ということです。

いくらGDPが相対的に高くても、政治システムの未熟さから富の分配の偏りも大きく、近代化の目処も立っていません。

そんな中、近年では中国が影響力を伸ばそうとしている点も概ね共通していました。


中央アフリカに限っていえば、

独立以後に紛争の相次いだ国は、政治リスクに対する投資家の不安を解消することに失敗し、いまだ貧困線を彷徨っている様子が伺えました。

特に、カメルーンガボンの安全な国には欧米企業の設備投資が下され、域内での経済力は高い水準に達していました。

一方で、紛争やクーデターが相次いだチャドやコンゴ共和国中央アフリカブルンジなどの国では、

豊富な経済ポテンシャルを期待されながら、インフラの破壊や投資家不安のため開発が停滞し、域内ランキングも下位に落ちぶれています。


ECCASと同じ治安問題を抱える西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)では、安全保障のための共通組織の設立によって紛争問題に対処しています。

ECCASにおいても武力行使すら辞さない有効性のある対処が求められるでしょう。

アフリカ連合(AU)の貿易構造-2 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS

アフリカの統一を目指して創設された複数の地域ブロックのうち、今回は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の貿易構造を調べます。

アフリカ全土を分割する形で作られた地域ブロックは、

域内での統合が行われ、最終的には、この統合された地域ブロックをパズルのように結合することで

アフリカの経済圏・市場・政治組織を単一の連合体に統一する見込みです。


西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とは

西アフリカ諸国経済共同体は、1975年のラゴス条約によって設立された経済共同体です。

”Economic Community of West African States”の頭文字をとったECOWASの略称を持ち、

アフリカ西部の15カ国から構成されています。

加盟国は、

ベナン
ブルキナファソ
カーボベルデ
ガンビア
ガーナ
ギニア
ギニアビサウ
コートジボワール
リベリア
マリ
ニジェール
ナイジェリア
セネガル
シエラレオネ
トーゴ

と日本人には馴染みの薄い15カ国です。

ECOWASが包含する国々は最低水準の経済力を持つ後発開発途上国が目立ち、紛争地域に該当します。

そこでECOWASの活動は、経済統合よりもむしろ安全保障分野での協力関係がメインとなりました。

実際にECOWASは、停戦監視グループ(ECOMOG)や紛争予防・管理・解決・平和維持・安全保障メカニズム(Mechanism for Conflict Prevention, Management, Resolution, Peace-keeping and Security)の設置を行い、

実際の紛争での活躍を国際社会から高く評価されています。
(2002年のコートジボワール内戦の調停、リベリアコートジボワールの紛争への監視団の派遣、マリの軍事クーデターに対する制裁など)

域内での経済力が優位なナイジェリア、ガーナ、セネガルコートジボワールが指導的地位を占めているそうですが、

コートジボワールが内戦で資格を停止されるなど、政情はかなり不安定なようです。



1 ナイジェリア( GDP : 4059.5億ドル [世界第27位] )

主要産業 : 農業、原油天然ガス、通信など
輸出 : 原油及び天然ガス、鉱物製品
輸入 : 機械、電気製品、輸送機器

GDPと人口規模(1.86億人)でアフリカNo.1であり、高い経済成長が見込まれている国です。

石油及び天然ガスが輸出の94%を占めるとされます。(2011)

しかしながら、潤沢な石油収入があるものの、政府の腐敗により国民への還元は行われておらず、

石油収入150億ドルのうち100億ドルが使途も不明なまま消えていく腐敗ぶり。

その結果、国民の大多数が貧困に陥っています。

この貧困率から国民の購買力が低く、巨大人口のポテンシャルを生かしきれていません。

かつては、原油収入に依存した産業構造でしたが、近年は多角化に成功しており、サービス業がGDPの17.5%、金融・不動産が14.6%を占めており、

2008年にはGDPの3%未満に過ぎなかったIT産業や製造業も、2013年にはそれぞれ12.2%と6.8%と拡大を続けています。

熱帯雨林の豊かな自然を背景に農林水産業も盛んです。

主食であるキャッサバやヤムイモの生産量は世界一、また輸出作物としてカカオや天然ゴム、ゴマの栽培も行われています。


ちなみにインドの原油需要の20~25%はナイジェリアの資源で賄われているようです。


2 ガーナ( GDP : 432.6億ドル [世界第85位] )

主要産業 : 農業(カカオ豆)、鉱業(貴金属、非鉄金属、石油)
輸出 : 原油、金、カカオ豆、カカオペースト、カカオバター
輸入 : 石油、原油、金、米、薬剤、食料品

ガーナの産業は一次産品に依存しており、国際価格及び天候の影響を受けやすい構造になっています。

輸出は、貴金属が43%、鉱物性燃料が25%、ココア・ココア製品が12%、木材・木材製品が4%となっています。

一方の輸入は、自動車が17%、ボイラーが15%、電気・電子機器が7%、鉄鋼製品が4%と工業製品に需要が偏っています。

国土の北部と中部に広がるサバンナの気候や豊かな水資源を利用して、太陽光発電水力発電など再生可能エネルギーの利用にも積極的です。

西アフリカ8カ国で流通するCFAフランを通貨に設定している国の一つです。


3 コートジボワール( GDP : 354.9億ドル [世界第93位] )

主要産業 : 農業(コーヒー、ココア)、石油・天然ガス
輸出 : カカオ豆、原油・石油製品、船舶、天然ゴム
輸入 : 原油・石油製品、船舶、米、魚類、医薬品

経済の一次産品依存を改めるべく、政府も多角化の努力を行っていますが、成果は出ていません。

主要産業は、輸出量世界一のカカオ、コーヒー、芋、天然ゴムの生産を中心とする農業

また熱帯雨林を利用した林業、工業(食品加工、石油製品)も盛んです。

輸出の半分程度が食料品だとされ、中でもカカオ関連品の輸出が食料品輸出の半分以上、輸出全体の20%以上を占めています。

コートジボワールは1993年から石油生産を開始しており、原油関連の製品がカカオに次ぐ輸出額を占めています。

輸入品は、工業製品、続いて原油、食料品が続いています。

西アフリカ8カ国で流通するCFAフランを通貨に設定している国の一つです。


4 セネガル( GDP : 147.9億ドル [世界第115位] )

主要産業 :  農業(落花生、泡、綿花)、漁業(まぐろ、かつお、えび、たこ)
輸出 : 魚介類、ピーナッツ、石油製品
輸入 : 石油製品、機械類、穀物、医薬品

一人当たりのGDPで世界平均の10%に過ぎない後発開発途上国です。

魚介類やピーナッツなどの食料品、リン鉱石、石油製品などを輸出して

食料品、資本財、燃料を輸入しています。

またセネガルには、西アフリカ諸国中央銀行の本部が置かれていることで有名です。

西アフリカ諸国中央銀行より発行されるCFAフランは、EUの通貨ユーロと固定されており、セネガルを始め


5 マリ( GDP : 139.6億ドル [世界第119位] )

主要産業 : 農業(綿花、米、ミレット、モロコシ)、畜産、鉱業(金)
輸出 : 綿花、金、家畜
輸入 : 石油製品、資本財、食料品

輸出品目は、綿花(43%)、金(21%)、家畜。

輸入品目は、石油、機械設備、建築資材、食料品、衣類

となっています。

マリもまた、西アフリカ諸国中央銀行発行のCFAフランを通貨として使用しています。


6 ブルキナファソ( GDP : 119.0億ドル [世界第125位] )

主要産業 : 農業(粟、とうもろこし、タロイモ、綿及び牧畜)
輸出 : 金、綿花、畜産品
輸入 : 資本財、石油製品、食料品

ブルキナファソは、西アフリカの内陸国で外洋への出口を持ちません。

そのため、外資流入も少なく工業の発展も限定的で、産業は農業や畜産業、鉱業に偏っています。

主要な輸出品目は、金、綿花、家畜、胡麻。

輸入品目は、資本財や石油製品、食料品です。

ブルキナファソもまた、自国通貨としてCFAフランを採用しています。


7 ベナン( GDP : 85.8億ドル [世界第137位] )

主要産業 : 農業(綿花)、サービス業(港湾業)
輸出 : 綿花、カシューナッツ、セメント
輸入 : 食品、資本財、化学製品

冷戦時代に社会主義を標榜したことから中国と関係が深いです。

ベナンは、カシューナッツの主要生産国として知られ、国民の大半が自給的な農業に従事しています。

綿花が輸出収入の80%を占めるとされています。

世界屈指の埋蔵量を誇るギニア湾に面していながら石油生産は停滞しており、石油の国内需要分は隣国のナイジェリアからの輸入で賄っています

CFAフランを通貨として採用しています。


8 ニジェール( GDP : 74.8億ドル [世界第141位] )

主要産業 : 農牧業、鉱業
輸出 : ウラニウム、石油・ガス、金
輸入 : 資本財、食品、石油製品

ニジェールウラン埋蔵量は世界第3位の規模を持ちます。

現在各国政府は世界のクリーン化に一丸となって対処する構えを見せており、

再生可能エネルギーの利用とともに、

原子力発電の導入に積極的な国がインドをはじめ、

多く見え始めています。

ニジェールウラン生産はアフリカ1位であり、

原子力発電需要の高まりに合わせてニジェールの戦略的重要性も上昇することが考えられます。

ニジェールもまた通貨としてCFAフランを採用しています。


9 ギニア( GDP : 65.1億ドル [世界第146位] )

主要産業 : 農業(米、キャッサバ)、鉱業(ボーキサイト、アルミナ、金、ダイアモンド)
輸出 : ボーキサイト、金、ダイアモンド、コーヒー、農産品
輸入 : 資本財、石油製品、輸送機器、食料品

大西洋に面したギニアは、鉱物資源に恵まれています。

アルミニウムの原料となるボーキサイトの埋蔵量が世界最大だとされ、世界全体の埋蔵量の3分の1がギニアの地中に眠っているとされます。

ダイアモンドや金の採掘も豊富で、外資による採掘が盛んです。

国民の大半は自給的な農業に従事しており、生産した農産品の輸出も行われています。


10 トーゴ( GDP : 44.3億ドル [世界第152位] )

主要産業 : 農牧業(綿花、カカオ、コーヒー)、鉱業(リン鉱石)
輸出 : リン酸塩、綿花、セメント・レンガ
輸入 : 資本財、食品、石油製品

国民の約60%が農業に従事する農業国です。

資源も枯渇により勢いが衰え、輸出の30%は綿花、コーヒー、ココアの農産品によって占められています。

その他の主要輸出品目は、リン酸塩、セメントなどが挙げられます。

通貨としてCFAフランを採用しています。


11 シエラレオネ( GDP : 39.8億ドル [世界第154位] )

主要産業 : 鉱業(ダイアモンドなど)、農業(コーヒー、ココア)
輸出 : 鉄鋼、鉱物、ダイアモンド
輸入 : 石油、資本財、食料品

シエラレオネでは、人口の80%が自給自足農業に従事しています。

輸出の約50%を鉱物資源に依存しており、中でもダイアモンドは、産出量が世界第10位にランクインするほど豊富です。

1991年-2002年まで続いた内戦を長期化させた要因の一つが、このダイアモンドの収入だとされています。

紛争ダイアモンドとも言われ、内戦当事者の財源に使われている場合、

資源の買取りの求めがあってもを業界各社は買い控えるべきとの訴えがなされています。


12 リベリア( GDP : 21.2億ドル [世界第164位] )

主要産業 : 鉱業(鉄鉱石、金、ダイアモンド)、農林業(天然ゴム、木材)
輸出 : 鉄鉱石、木材、ゴム、ダイアモンド、金
輸入 : 加工品、機会、運搬機器、食料品、石油製品

1989年より相次ぐ内戦により、インフラの破壊や高度人材の流出が起き、経済は未発達のまま停滞しています。

木材とゴムが主要輸出品目であり、ダイアモンドと金の採掘も行われています。

原料となる資源や鉱物が豊富なため、外資系企業が多く進出して採掘を行っています。


13 カーボベルデ( GDP : 16.4億ドル [世界第168位] )

主要産業 : 農業(バナナ、サトウキビ)、漁業(マグロ、ロブスター)
輸出 : 燃料、魚介類、医療、靴
輸入 : 消費財、中間財、資本財、石油

カーボベルデは、モーリタニアの西岸から約375km離れた先に浮かぶ島嶼群です。

50万程度に過ぎない人口のためGDPは少ないですが、

安定した政治と経済ステムが評価され、2007年に後発開発途上国の指定を外されています。

カーボベルデは、干ばつによる深刻な水不足に悩まされており、構成する10つの島のうち4つでしか農業が行えません。

そのため、GDPの約7割はサービス業から計上されています。

輸出に関しては、漁業や鉱物、縫製品などをわずかに輸出しています。

しかしながら、農業不振から食料品の9割を他国からの輸入に頼っており、財政赤字に陥っています。

旧宗主国ポルトガルと関係が深く、主要な貿易相手国となっています。


14 ギニアビサウ( GDP : 11.6億ドル [世界第174位] )

主要産業 : 農林水産業(落花生、カシューナッツ、エビ、いか)
輸出 : カシューナッツ、落花生、魚・エビ
輸入 : 食料品、石油製品、資本財

経済が全く発展しておらず、産業と呼べるものがないと評価されています。

国民の約8割は米作を中心とした農業に従事していますが、設備の遅れにより、国内需要分すら満たせない年もあるほどです。

カシューナッツや落花生などの商品作物をわずかに輸出しています。

米などの食料品、燃料、資本財を他国からの輸入に頼っています。

ギニアビサウも通貨としてCFAフランを採用しています。


15 ガンビア( GDP : 9.7億ドル [世界第176位] )

主要産業 : サービス(貿易・輸送・通信・観光)
輸出 : 落花生、穀物類、衣類
輸入 : 石油製品、穀物類、食料品


周囲をセネガルに取り囲まれて存在する、アフリカ最小の国土面積を持つ国家です。

国土には鉱物も石油もないため、国民の75%が自給的な農業・牧畜に従事しています。

わずかに発展が見られる工業も、食料加工や石鹸、衣服などの軽工業に限られ、規模も小さいものです。

GDPに占める製造業の割合は6%に過ぎません。

輸出品の大半は、ナッツ類、繊維、木材などの一次産品が目立ちます。

一方の輸入品は、石油製品や食料品で占められています。



さいごに

アラブ・マグレブ連合が欧米企業の生産委託先及び原油供給国となっていたのに対し

西部アフリカの地域ブロックは、加盟国の8割近くが後発開発途上国である一次産品依存国が目立つように感じました。

域内GDPが1位のナイジェリアでさえ、資源依存と政府の腐敗、また人口爆発により貧困が蔓延しています。

貧困層はやがて社会に対する不満を持ちはじめ、鬱屈した感情は暴力や薬物依存となって表れます。

実際に西アフリカ諸国では紛争が相次いでおり、

内戦が慢性化している加盟国もある中でECOWASは、

停戦監視グループ(ECOMOG)や紛争予防・管理・解決・平和維持・安全保障メカニズムの設置による問題解決を図っているようです。

実際、リベリア内戦やシエラレオネ内戦では、ECOWAS停戦監視団が派遣され

一定の成果をあげたことから国際社会からも高く評価されています。

しかしながら、紛争の原因は貧困であり、武力衝突に対して第三者からの軍隊で横槍を入れるだけでは問題解決として不十分な感覚は否めません。

ECOWASの国々は、市場化による貧困率の上昇により国民の大多数が貧困に陥っている国ばかりです。

根本の貧困の解決なくして、紛争問題の根本解決も望めないでしょう。

しかしながら、ECOWASが抱える紛争問題に対しては、解決に向けて前進していることは間違いありません。



しかしながら産業構造の脆弱さには依然問題が否めません。

地域ブロックとしては、自給自足のために工業国を得る必要があり、現状の加盟国だけではブロックとしての生産能力が不十分です。

とりあえず、ナイジェリアで汚職により秘匿されるオイルマネーを社会に還元すればリビア型のインフラ整備と高度人材の育成も可能になるはずです。

調べた中では中国との関係を深めているアフリカの国が目立っており、

個人的には今後先端技術を手に入れた中国の産業移転の受け皿になることで工業化を実現する可能性もあるのかなと感じました。


とはいえ、熱帯雨林の国でカカオやコーヒー、落花生などの農産品の栽培に適していることと

ニジェールウラン(アフリカNo.1の埋蔵量)やギニアボーキサイト(世界最大の埋蔵量)など地下資源の豊富さは地域特有の武器ですね。

南アフリカ共和国の地域ブロック アフリカ連合(AU)の貿易構造-1

アフリカの統一は1963年のアフリカ統一機構の段階で早くも目指されていましたが、

その目的は、欧米諸国の植民地主義への対抗としての協力・連携でした。

1994年の南アフリカ共和国の加盟をもって、モロッコ以外のすべてのアフリカ諸国が加盟します。

しかし組織は作られたものの、制度的な規定に留まり、実際の統合は一向に進展しませんでした。

そこでに1991年にアブジャ条約が締結されます。

このアブジャ条約では、最終的な目標として欧州連合(EU)に倣ってアフリカを共通経済圏に統合する目標が謳われ

これを機に統合の機運が高まります。

2002年には、アフリカ統一機構アフリカ連合に再編されます。

アブジャ条約の発効以前から存在していた地域ブロックに補完的な新しい地域ブロックを加え、アフリカは経済統合に向けて本格的に動き始めたのです。


アフリカは、最終的な統合を前提に、8つ程の地域ブロックに分割されました。

そして、各ブロック内で自由貿易を進めていき、段階的にブロック同士の関税をなくし共通市場化ていくことで、

アフリカ全土の統合という最終目標を実現する見込みです。

最終的な統一を前提に分けられたアフリカの地域ブロックは、

・アフリカ北部に広がる「アラブ・マグレブ連合(AMU)」
・西海岸周辺を包む「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」
南大西洋からアフリカ内陸部を含む「中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)」
・アフリカ東部に広がる「東南部アフリカ市場共同体(COMESA)」
・アフリカ南端の喜望峰を含む「南アフリカ関税同盟(SACU)」

の5つが該当します。

※東部と南部の地域ブロックには、複雑な内情を反映して加盟国の重複するブロックが並立しているのですが、以下の理由によりCOMESAとSACUを優先しました。

「南部アフリカ開発共同体(SADC)」は、経済統合を目的にした協定ですが、加盟国に別の地域ブロックと重複する国が多いため除外します。
「東アフリカ共同体(EAC)」は経済統合というより政治面の協力的な色合いが強いので、除外します。


今回は、アフリカ北部の地域ブロックである「アラブマグレブ連合(AMU)」の貿易構造を見ていきます。


アラブ・マグレブ連合(AMU)とは

2016年
GDP 3441.4億ドル
総人口 9599万人

アラブ・マグレブ連合は、マグリブと呼ばれる北アフリカの5カ国の間で1989年に結成された経済協力機構です。

AMUには現在、アルジェリアリビアモーリタニア、モロッコチュニジアの5カ国が加盟しています。

アフリカの統一を目指して様々な施策が取られており

AMU域内での自由貿易
・域外に対する共通関税
・共通市場(人、物、資本、サービスなどの移動の自由化)
・経済同盟(経済政策、法整備の調整)
・超国家機関の設置

の5つを段階的に推進しているようです。

域内貿易では、89年の設立から91年までの2年間で貿易額が約3倍の増加を見せるなど成果が見られる一方で、

西サハラ問題を巡るモロッコアルジェリアの間の情勢不安(モロッコアルジェリア国境は1994年以降閉鎖されている)を始め、アルジェリアと加盟国の対立など、様々な意見の対立により地域共通機関の設立等、統合に向けた取り組みは停滞しています。
本格的なAMU諸国の会合も2008年以降、開かれていません。

しかしながら、世界的な地域統合の流れの中でAMUの統合が未解決のまま放置されるとは思えません。

そんなAMUの貿易構造について見ていきたいと思います。

GDPのデータは2016年のものを採用


1 アルジェリア (GDP : 1607.8億ドル[世界第55位])

主要産業 : 石油・天然ガス関連産業
輸出 : 石油・天然ガス
輸入 : 資本財、半製品、食料品、消費財

国土の90%がサハラ砂漠に含まれるアルジェリアでは、約4000万の人口の9割が北部の地中海海岸地帯に住んでいます。

地下資源にも恵まれ、様々な鉱物資源が豊富に埋蔵されているものの、採掘は進んでいません。

農用地も肥沃なことで知られ、

青果(イチジク、ぶどう、野菜)、穀物(ライ麦、大麦、オート麦)、ワインや畜産物、羊毛、タバコ、オリーブなどが輸出されています。

しかしながら、やはりアルジェリアは資源依存国です。

石油・天然資源が輸出に占める割合はなんと98%と圧倒的です。

2016年の石油輸出量で世界第18位のアルジェリアですが、輸出構造は完全な資源依存に陥っているようです。

北アフリカでは、石油産出量1位であり、アフリカ全体の石油産出量でも第3位の172BPD(2013)です。(1位 : ナイジェリア [237BPD] )

貿易相手国を見ても、主要な輸出相手国がアメリカやEU圏の国で占められることからも、欧米諸国のエネルギー供給地の役割を担っているのでしょう。

輸入に関しては、食料品や衣類を含む消費財や資本財が取引されているようです。

なお、旧フランス植民地で莫大な対外債務を抱えているとされますが、貿易収支もマイナスを示すなど返済のめどは立っていないようです。


2 モロッコ (GDP : 1036.2億ドル[世界第60位])

主要産業 : 農業(麦類、ジャガイモ、トマト、オリーブ、柑橘類、メロン)、水産業(タコ、イカ、イワシ)、鉱業(リン鉱石)、工業(繊維、皮革製品、食品加工、自動車、自動車部品、電子部品、航空部品)、観光業
輸出 : 機械類(15.9%)、衣類(14.4%)、化学肥料(8.8%)、青果(7.9%)、魚介類(7.6%)
輸入 : 原油(12.0%)、繊維(11.9%)、電気機械(11.7%)

ロッコは、スペインの南方、アフリカ大陸の北西という位置と、外洋に面していることから貿易に有利な地理的条件を備えています。

また治安もアフリカ圏では比較的安定した状態で、特にカサブランカは国際都市として世界的に認知されています

以上のような優位性を生かして、モロッコは諸外国との自由貿易協定(FTA)に積極的です。

EU圏の企業からの生産プロセスの移転も盛んであり、自動車や縫製業、航空機会社などが進出しています。

自動車の組み立て業や食品加工、縫製業などの軽工業がバランス良く発達しており、輸出品目の主力を占めています。

EU諸国にとってのモロッコは、日本にとってのタイ・マレーシア、シンガポールのような存在かもしれません。

鉱業もアトラス山脈の断層地帯で盛んに採掘されており、農林水産業も盛んです。


3 チュニジア (GDP : 418.7億ドル[世界第87位])

主要産業 : 農業(小麦、大麦、柑橘類、オリーブ、なつめやし)、製造業・鉱工業(繊維、機械部品、電機部品、リン鉱石、食品加工)、サービス業(観光業、情報通信産業)
輸出 : 機械・電機機器(40.7%)、繊維・皮革製品(22.7%)、石油関連(13.2%)、その他の製造工業品(9.6%)、食料品・農産品(8.1%)
輸入 : 機械・電機機器(41.1%)、石油関連(17.5%)、その他の工業品(17.5%)、繊維・皮革製品(11.5%)、食料品・農産品(10.2%)


地中海に面した沿岸国の一つであり、EUとの貿易が盛んに行われています。

2014年は、輸出の77.2%、輸入の64.7%がEUとの間で行われ、EUとの間に自由貿易協定も結ばれています。

チュニジアの輸出産業は、製造業が中心とされ、機械・電子機器が全体の40.7%、繊維・皮革が22.7%を占めています。

輸入も機械部品や原材料・中間財が多く占めており、先進国企業の生産プロセスを担っている様子が伺えます。

また世界第46位の産油国であることから原油輸出も行われており、アトラス山脈を国土に含むため鉱物資源にも恵まれています。


4 リビア (GDP : 331.6億ドル[世界第95位])

主要産業 : 石油関連産業
輸出 : 石油等
輸入 : 自動車、電気製品、食料品など

リビアの石油埋蔵量は484億bblであり、アフリカ最大だとされます。(2位 : ナイジェリア [371億bbl]、3位 : アルジェリア [122億bbl] )

2014年の石油輸出量は世界第40位程度に過ぎませんが、貿易黒字を維持するための調整を行っています。

輸出の95%が石油関連だとされ、人口の4分の3が石油関連事業に従事しています。

また以前から皮革・繊維、金属細工などの軽工業は盛んでした。

油田発見後は石油収入を基盤に重工業などの産業育成が行われており、石油精製、製鉄、アルミ精錬などの産業が発達しています。


5 モーリタニア (GDP : [47.1億ドル世界第149位])

主要産業 : 農牧業(モロコシ、粟、米、牛、羊)
輸出 : 鉄鉱石、金、魚介類、原油
輸入 : 石油開発機器、石油製品、食料品

大西洋に面した国ですが、国民の貧困率の高さや政情不安のため、外資の誘致は進んでいないようです。

鉱業(鉄鉱石)と水産業への依存度が高く、産業の多様化が課題になっています。

労働人口の約半数が農業・牧畜業に従事していますが、生産性は低い。

2006年に海上油田を発見したものの、技術力の不足のため採掘は満足に進んでいません。

最近は、海上油田の採掘に向けて石油開発機器を輸入し始めているようです。

また食料のおよそ7割を輸入に頼っています。


さいごに

アラブ・マグレブ連合はアフリカ北部の地中海沿岸地域という位置条件のため、EU諸国との関係が強いように感じました。

ロッコチュニジアは、EU企業の生産プロセスの委託国として扱われています。

豊かな産油国であるアルジェリアリビアは、EU及び米国の原油供給地であり、アルジェリアは重債務に陥っています。

モーリタニアは、かつて別のブロックに所属していたこともあり、他の加盟国とは若干国の性格が異なるようでした。

知名度に比例して目立った資源も産業も持っていない国のようです。

ほとんどの国で財政赤字に陥っていることからも、独立したとはいえ欧米企業に都合よく使われている、

言い換えれば先進工業国に対する原料供給と生産プロセスの受け皿になること以外に外貨獲得手段を持たない国という印象を受けました。

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の貿易構造 ASEAN

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の構成国は、前記事でお伝えした日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドのほか

ASEAN10カ国を加えた計16カ国からなります。

ASEAN10カ国以外の国々は、日中韓・インドの工業国とオーストラリア、ニュージーランドの資源国という組み合わせで、

RCEPの構想が実現すればバランスのとれた連携を発揮できるでしょう。

本記事では、残りの加盟国であるASEAN10カ国の内情について調べていきたいと思います。



1 インドネシア(GDP : 9324.5億ドル[世界第16位])

主要産業 : 製造業(20.5%)、農林水産業(13.5%)、商業・ホテル・飲食業(16.1%)、鉱業(7.2%)、建設(10.4%)、運輸・通信(8.8%)
輸出 : 脂肪・油(13%)、鉱物燃料・油(11%)、電子機器(6%)
輸入 : 一般機械(18%)、電子機器(13%)、プラスチック・プラスチック製品(6%)

日本にとっては、天然ガスの輸入第一位の重要国です。

周辺に多くのプレートがせめぎ合っており、全土に多くの火山があることが世界一ともいわれる地震の多さにつながっています。

一方で噴火による火山灰は、大地の肥沃化に貢献する面もあり、インドネシアの活発な農業を下支えしています。

インドネシアの農産品の中でも、パームオイルは、洗剤・シャンプー・化粧品の原料として需要が見込まれ、世界の生産の35%ほどがインドネシア一国から生み出されています。

また鉱物資源にも恵まれており、多くの資源メジャーが進出しています。

輸出品目の主力は一次産品であり、そのため景気が資源価格に左右されやすい特徴を持ちます。

軽工業は確立しているものの、輸出向け製造業の発展においては、タイやマレーシアの後塵を拝しており、

現状は工業国というより一次産品輸出国という位置付けにとどまっています。

外資が安心して進出できるだけのインフラや法整備が整っていない状況であり、工業化を果たすためには欠かせない条件だとされます。

インドネシアの経済成長は、2億5000万人の人口を生かした内需主導型だといわれています。


2 タイ(GDP : 4069.5億ドル[世界第26位])

主要産業 : 農業(就業人口40% : GDP 12%)、製造業(就業人口15% : GDP34%)
輸出 : コンピューター・コンピューター部品、自動車・自動車部品、機械器具、農作物、食料加工品
輸入 : 機械器具、原油、電子部品

共産主義の防波堤」としてベトナム戦争の時代からアメリカの影響を強く受けてきたタイは、自由主義の受容も早く、ASEAN上位の豊かな経済が発展しています。

1945年以降の軍事クーデターの発生件数が19回にも上るなど、政治リスクが残るものの、貿易は堅調に経常黒字の傾向を維持しています。

1980年以降は外資受け入れを伴う規制緩和が進み、

ASEAN諸国への進出拠点を求める外資の呼び込みに成功した結果、

外資主導で工業化にも成功しました。

輸出品目には、自動車とその部品、コンピューター製品とその部品が並びます。

また農業も盛んで米や、芋、エビ、ゴムなどの食材品、及び食材に加工を加えた缶詰なども積極的に輸出されています。

輸入品目には、機械器具や電子部品など工業製品の原材料が並んでいます。

ASEANではAFTA”ASEAN Free Trade Area”と呼ばれる自由貿易協定が締結されており、域内での貿易をほぼ無関税で行うことができます。

したがって、ASEAN市場を取り込みたい外資企業にとっては、ASEAN内に軸となる拠点を作り、他ASEAN市場に進出することが望ましいわけです。

タイは、そうした外資の要望に応え、国を外資企業の活動拠点として開放することで、他ASEAN諸国に先駆けて外資誘致に成功したといってよいでしょう。

ASEAN域内の自由貿易協定であるAFTAもタイ政府から出された案でした。


3 フィリピン(GDP : 3047.0億ドル[世界第36位])

主要産業 : 農林水産業、コールセンターなどのビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)
輸出 : 電子・電気機器、輸送用機械、石油製品、ココナッツオイル、農産品、木材
輸入 : 原料・中間財(化学製品などの半加工品)、資本財(通信機器、電子機器)、原油など燃料、消費財

フィリピンは基本的には農業国だとされます。

熱帯に属することから様々な作物を作ることが可能で、就労人口の30%が農業に従事しています。(GDPの14%)

工業部門は、就労人口の14%を占め、GDPの30%を計上しています。

部門としては、食品加工、製糖、繊維などの軽工業が盛んです。

フィリピンの工業化は、マルコス大統領の時代に米国に対して反共主義をとる見返りに工業化の支援を得たことに始まります。

しかしながら、その後の共産党系の新人民軍やイスラーム教が主流を占めるモロ族との内戦が激化すると、

国内の混乱が外国企業を呼び込む上での障害となり、

インフラの脆弱さも助けて工業化はいまなお停滞しています。

鉱業部門においては、かつてはインドネシアに次ぐ東南アジア有数の鉱産国でしたが、80年代以降、停滞しています。

しかしながら、各地で優良な金鉱や銅鉱が発見されており、鉱業のポテンシャルは高いとみられています。

なお、1日2ドル未満で暮らす貧困層の割合が国民の40%以上を占めており、貧困対策が求められています。


4 シンガポール(GDP 2969.7億ドル: [世界第37位])

主要産業 : 製造業(エレクトロニクス、科学関連、バイオメディカル、輸送機械、精密機械)、商業、ビジネスサービス、運輸・通信業、金融サービス業
輸出 : IT製品(34.1%)、石油製品(18.3%)、化学品(14.0%)
輸入 : 石油製品(32.5%)、IT製品(27.3%)、一般機械(13.3%)

人口560万7000人の都市国家ながら、1965年の独立以後の積極的な外資導入の結果、ASEAN屈指の工業国に成長しています。

工業化のため外資誘致に特化したため、独立当初より租税・ビジネス環境の優遇策が取られており、国際社会から高く評価されています。

シンガポールは香港と並ぶ金融セクターとして有名ですが、香港に比べると製造業の輸出の発達が進んでいます。

輸出に関しては、34.1%が半導体など電子製品を含むIT製品、石油製品の18.3%、化学製品と一般機械がそれぞれ14.0%と続きます。

全体的に先端技術と高度人材の獲得に成功している印象を受けます。

一方の輸入は、石油製品が32.5%でトップを占めています。2位はIT製品の27.3%、一般機械など資本財が13.3%と続きます。


5 マレーシア(GDP : 2963.6億ドル[世界第38位])

主要産業 : 製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)、鉱業(錫、原油LNG)
輸出 : 電気製品(32.9%)、パーム油(8.8%)、石油製品(8.5%)、化学製品、LNG、金属製品、化学工学設備、ゴム製品
輸入 : 電気製品(27.7%)、原油・石油製品(14.1%)、製造機器、化学製品、輸送機器、金属製品、鉄鋼製品、化学工学設備、食料品

マレーシアはタイと同様、外資誘致による輸出志向工業化路線の成功の結果、ASEAN屈指の経済成長を実現しています。

マレーシアはもともと天然ゴムやパーム油などの一次産品が主体でしたが、

1985年にコモディティ価格の急落により貿易赤字に陥ったことをきっかけに工業化に舵を切ることになります。

1980年時点において輸出に占める一次産品(ゴム、錫、材木、パーム油、原油)の割合は6割を超えていましたが、

1985年に行われた規制緩和を機に低下に向かいます。

これは、外資系製造業の誘致により輸出に占める工業製品の比重が上昇したためです。

1980年代以降、マレーシアの貿易品目は反転します。貿易に占める工業製品の比重は上昇を続け、

2005年には工業化の進展を反映して工業製品が輸出の半分を占めるようになりました。

電気製品を構成する品目の主力は、半導体集積回路などの電子部品です。

また錫や金、ボーキサイトなどの鉱物資源、また石炭、原油天然ガスなどの有機鉱物資源など、一次産品の生産も堅調です。

これはプラザ合意による円高に悩む日本の電子企業が、1985年のマレーシア政府の規制緩和に目をつけて進出を加速させた結果だとされています。


6 ベトナム(GDP : 2013.3億ドル[世界第48位])

主要産業 : 農林水産業、鉱業、工業
輸出 : スマホなど電話機(16.1%)、縫製品(13.6%)、コンピューター(8.0%)
輸入 : 機械設備(14.1%)、コンピューター(13.4%)、綿布、生地(6.4%)

ベトナム社会主義共和国」という名称からも分かる通り、社会主義国として出発したベトナムの工業化は遅れています。

冷戦が終結した1991年ごろに「資本主義の導入」を謳うドイモイ政策を本格化させると、2007年にはWTOに加盟。

このWTO加盟を契機にベトナムへの投資ブームが起こっています。

従来の輸出品目の主役は、付加価値の低い軽工業品や天然資源が占めていましたが、

徐々に付加価値の高い携帯電話や半導体などの電子機器にシフトしてきています。

それに合わせて、輸入も機械設備などの資本財が見られ始めています。


7 ミャンマー(GDP : 663.2億ドル[世界第72位])

主要産業 : 農業
輸出 : 天然ガス(43%)、豆類(17%)、木材(10.2%)、衣類(7.6%)、米()、
輸入 : 一般機械、石油製品、製造品、化学品、食品

社会主義による事実上の鎖国政策と、その後の軍事政権の民主化抑圧の結果、発展から取り残された後発開発途上国に陥っています。

しかしながら、2011年の文民政権発足を契機にミャンマーの不安は取り除かれ、アジアのラストフロンティアとして脚光を浴び始めています。

現状は産業発展の遅れた農産国であり、輸出品目にも一次産品が目立ちますが、インフラ整備事業の始動や先進国企業の進出も開始しており、

開発の進展に合わせて貿易品目も変化していくことが予測されます。

宝石の産出量も多く、世界のルビーの9割、また品質の高いサファイヤが取れることでも有名ですが、国営の効率の悪い経営が問題視されており、

こうした体質の改善とともに一大産業化する可能性も期待できます。


8 カンボジア(GDP : 194.0億ドル[世界第111位])

主要産業 : 農業(30.5%)、工業(27.1%)、サービス業(42.4%)
輸出 : 衣類(50.3%)、印刷物(37%)、履き物 (3.9%)、穀物(2.1%)、ゴム(1.3%)
輸入 : 織物(35%)、機械(9%)、電気機器(5%)、石油製品(4%)、車輪(4%)

1970年から20年余りに及ぶ内戦で、国力は大幅に損なわれました。
ポルポトの理想とした原始社会主義では、原始的な農業共同体が理想とされたため、農業以外の産業は排斥の対象とされ壊滅状態となりました。

しかし1979年にベトナムの侵攻によってポルポトが倒されると1992年には議会が設立され、民主化に向けて大きく前進します。

1999年には、ASEAN加盟も果たし、復興に向けて外国企業の誘致も始め、年7%という高い経済成長率で発展を続けています。

カンボジアの復興を牽引するのは、カンボジアに進出した外資系企業です。

カンボジアは、教育水準も低いため、高度熟練業には適さない国です。

そのため、労働集約産業が中心となり、中国やタイの人件費高騰で新たな労働市場を求める縫製業などに対して優遇措置を与え、呼び込みを行いました。

ユニクロの傘下にあるジーユーのジーンズもカンボジア製です。


9 ラオス(GDP : 137.9億ドル[世界第121位])

主要産業 : 農業(22%)、工業(33%)、サービス業(36%)
輸出 : 銅製品、電力、銅鉱石
輸入 : 電気機器、一般機械、燃料

国土の7割近くは高原や山岳地帯です。

山岳地帯の斜面を利用した水力発電が盛んで、タイへの電気売却が貴重な外貨獲得源になっています。

国民の80%ほどが自給自足的な農業に従事しているとされています。

鉱業に関しては、山岳の地形や外洋と接しない内陸の条件から、製造業の発展は限定的なものにとどまっています。

上の「主要産業」の項目で工業比率が33%となっているのは、鉱業が第二次産業の分類に含まれるためです。

ラオスの産業の多くは、鉱物や木材などの一次産品であり、景気をコモディティ価格に左右されやすい産業構造になっています。

※近年、日本やアジア開発銀行の支援により、ラオスと隣接国を結ぶ交通網の整備が進み、ラオスの物流事情が大きく改善しつつあるようです。
これを受けて人件費の安いラオスに注目が集まり、タイの日本企業が生産工程の一部をラオスに移す動きも出てきているようです。


10 ブルネイ(GDP : 111.8億ドル[世界第128位])

主要産業 : 石油・天然ガス
輸出 : 液化天然ガス(55.7%)、石油(37.3%)、その他(7%)
輸入 : 機械・輸送機器(39.4%)、工業製品(21.4%)、食料品(13.7%)、雑工業品(8.6%)、化学製品(7.3%)

資源収入で大変潤っており、収入を社会資本の整備に回すことでインフラ面の整備も進んでいます。

輸出品目は、ほぼ地下資源に偏っています。

一方で、機械や食料品を含めた消費財は輸入に依存しています。



ASEAN加盟国は、

工業国であるタイ、マレーシア、シンガポール

農産国であるインドネシア、フィリピン、ベトナムミャンマーカンボジアラオス

更には世界38位ながら産油国ブルネイによって構成されています。

しかしながら、タイ、マレーシアの工業の発展も、人件費の安さを武器にした先進国企業の生産プロセスの移転に過ぎず、

人件費の高騰を受けてなお繁栄を継続するには、シンガポールのような先端技術の導入が欠かせません。

その意味では、人材の高度化が求められるタイ、マレーシアからすれば、RCEPにより先進国と地域ブロックを組むことは先端技術の集約に役立つでしょう。

また日本、中国から見ても、東南アジア地域は製品に必要な中間財の供給地として重要であり、現在も交流は活発ですが、

地域ブロックを組むことで、更なる経済活動の円滑化が期待できます。

しかしながら、やはりこの16カ国だけでは多くの国で共通する原油需要を賄うことができておらず、同盟を完璧なものにするには、やはりロシアの加入が必要に見えました。

中国の地域ブロック 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

東アジア地域包括的経済連携は、RCEPと略称され、

インドから東南アジア、オセアニア、東アジアの国々によって構成されます。

RCEPには2017年10月現在、

日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドASEAN(インドネシアシンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイベトナムミャンマーラオスカンボジア)の16カ国が加盟しています。

ヨーロッパのEU、南米のCELAC、旧共産圏のEAU、アフリカのAUと異なるのは、

加盟国の大部分が陸続きに接しておらず、海で隔てられて広域に分散していることです。

そのため、加盟国の文化、気候・地理的条件などはバラバラであり、

そのために貿易品目の比較優位性も類似性が少なく補完的であることが予測されます。



1 日本(GDP : 4兆9386.4億ドル[世界第3位])

主要産業 : 自動車、電子機器、工作機械、鉄鋼、非鉄金属、船舶、化学品、繊維製品
輸出 : 自動車(16.2%)、半導体など電子部品(5.2%)、自動車部品(4.9%)、鉄鋼(4.1%)、原動機(3.5%)
輸入 : 原油(8.4%)、液化天然ガス(5.0%)、衣類(4.5%)、医薬品(4.2%)、通信機(4.1%)、通信機(4.1%)、半導体等電子部品(3.8%)

2011年の東大震災の余波を受けて2011年〜2015年の間は、貿易赤字が続きました。
しかし、2016年には再び貿易黒字を回復しています。

サウジアラビアやロシアからのエネルギー資源輸入が目立ちます。

輸出の主力はやはり自動車で16.2%を占めています。
それ以外は、中国や韓国などの企業に対して製品の部品を提供しているようです。
輸入は、エネルギー資源が目立ちますが、現有はサウジアラビアアラブ首長国連邦など中東の国から、
都市ガスなどの原料となる天然ガスは、オーストラリアやマレーシア、中東、ロシアなどから輸入しているようです。

また、医薬品の輸入が貿易赤字を形成する大きな要因となっていることはあまり語られない事実です。


2 中国(GDP : 11兆2182.8億ドル[世界第2位])

主要産業 : 第一次産業(8.6%)、第二次産業(39.8%)、第三次産業(51.6%)
輸出 : 加工品(94.3%)、農産品(3.2%)、燃料・鉱物製品(2.4%)
輸入 : 加工品(64.4%)、燃料・鉱物製品(21.3%)、農産品(9.5%)

中国の農業生産高は世界第1位です。穀物自給率も100%であり、海外に向けて輸出も行われています。
世界1位の農産品としては、米、じゃがいも、とうもろこし、きび、大麦、ピーナッツ、茶、豚肉などがあります。

工業生産高も世界第1位です。
繊維産業や食品加工業といった軽工業から、石油化学関連、兵器、自動車などの重工業まで盛んです。

粗鋼の生産量も世界1位だとされます。

しかしながら外資企業が中国の輸出の45%を生産しているともいわれ、外資依存の傾向は見逃せません。

中国の輸出が外資に支えられている以上、工業力の源泉は中国の外にあると見た方が賢明かもしれません。

それを知ってか中国企業も先進国企業に向けて買収攻勢をかけています。


3 インド(GDP : 2兆2564億ドル[世界第7位])

主要産業 : 農業、工業、鉱業、IT産業
輸出 : 石油(19.2%)、加工済み宝飾品(13%)、輸送機器(4.6%)、機械部品(4.3%)、有機化学製品(3.8%)、医薬品(3.7%)
輸入 : 原油(38.3%)、貴金属(13%)、機械製品33(6.9%)、機械部品(6.7%)、有機化学製品(4%)、プラスチック(2.6%)、鉄鋼(2.5%)

南アジア地域協力連合(SAARC)の中心国であるインドは、慢性的な経常赤字に陥っています。

毎年、前年比較での赤字幅は縮小されているものの、2015年で-1376億ドルもの貿易赤字が発生しています。

現状は外国からの資金流入によって埋め合わせていますが、外資が撤退した場合の懸念は高まります。

とはいえ、外資導入の成果は順調です。

輸送機械産業の伸びも著しく、自動車生産台数は1994年の24.5万台から2011年には393万台で世界第6位に上り詰めました。

造船や航空も成長の兆しを見せています。

また石油製品においても、巨大な国内需要を上回る生産力を有し、海外への輸出も行っています。

製薬産業や繊維産業も世界トップクラスです。

またIT産業を中心に高度人材の育成にも成功しています。


4 韓国(GDP : 1兆4112.5億ドル[世界第11位])

主要産業 : 電気・電子機器、自動車、鉄鋼、石油化学、造船
輸出 : 半導体(25.8%)、石油製品(23.8%)、乗用車(21.9%)、船舶(16.8%)、液晶製品(11.7%)
輸入 : エネルギー資源(20.1%)、集積回路など機器・部品(18.5%)、機械(11.3%)

資源を持たない韓国は、輸入した原料に付加価値をつけて輸出する戦略しかとれません。

GDPの76.5%を財閥10社が売り上げる財閥依存、外国人株主比率が大手輸出企業の5割、銀行の8割という外国人による産業支配、格差の増大など韓国経済は深刻な問題を抱えています。

しかしながら、外国人技術者のヘッドハンティング等を通して、世界で戦える輸出企業を育てることには成功しているようです。

日本からの技術支援で発展したため産業構造が日本と大変似通っています。

中小企業への支援が不十分で育成に課題が残ります。

そのため、主力となる機械製品を作るのに必要な集積回路や機械部品の大半を日本からの輸入に依存しています。


5 オーストラリア(GDP : 1兆2589.8億ドル[世界第13位])

主要産業 : 鉱業(9.5%)、金融・保険業(9.5%)、卸売・小売業(9.1%)、建設業(8.3%)、運輸・通信業(8.0%)、製造業(6.3%)
輸出 : 鉄鉱石(15.5%)、石炭(11.7%)、個人旅行サービス(5.9%)
輸入 : 個人旅行サービス(7.6%)、乗用車(5.8%)、精製油(5.2%)

第一次産業が2.2%と小さく、第二次産業も26.9%と高めです。

しかし、輸出品目に並ぶのは鉄鉱石や石炭、牛肉(世界一位)、小麦などの一次産品が目立ち、資源依存の構造が見えます。

工業製品に関しては、オーストラリアは自国市場の小ささから、製造業の育成を諦めています。

自動車にかかる輸入関税も低く、自動車需要を輸入で補う方針です。

かつてはフォルクスワーゲン、日産、トヨタGM、フォードなど世界の自動車大手が進出して現地製造を行っていましたが、

輸入関税の引き下げや豪ドルの高騰を理由にいずれも撤退しています。

石炭や鉄鉱石などの地下資源に恵まれる一方で、石油及び石油製品は80%を輸入に依存しています。

1983年に発効された自由貿易協定により、ニュージーランド経済との一体化が進んでいます。


6 ニュージーランド(GDP : 1819.9億ドル[世界第53位])

主要産業 : 酪農、牧畜、機械、
輸出 : 酪農製品(23.1%)、食肉(12.2%)、木材(8.5%)
輸入 : 自動車(14.9%)、機械類(13.3%)、鉱物燃料(8.5%)

1次産品輸出に依存する経済であり、貿易依存度が高いです。

輸出の6~7割が一次産品で締められています。

工業は、牧畜で得た畜産物の加工を行う軽工業が主力です。

バター、羊肉、羊毛などで世界上位のシェアを誇っています。

貿易依存国だけあり、自由貿易に積極的です。




やはり、加盟国の文化圏が広いだけに比較優位性もバラバラであり、貿易構造は相補的であるように思えました。

日本、中国、韓国の工業国とオーストアリア、ニュージーランドの資源国、またインドという組み合わせも相性が良いと思います。

目立った産油国がなくエネルギーが輸入依存に陥りやすい点は問題ですが、これもロシアを加えれば解消できるでしょう。


ASEAN10カ国を見る前から、すでに経済ブロックさえ組めそうな錚々たるメンバーですね。

次回は、残りの加盟国であるASEAN10カ国を見ていきます。

南アジア地域協力連合(SAARC)の貿易構造 インド中心の地域ブロック

南アジア地域協力連合(SAARC)の加盟国は、南西アジアの8カ国からなります。

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つまり、インド、パキスタンバングラデシュスリランカ、ネパール、ブータン、モルティブ、アフガニスタンです。

SAARCは、1985年にSAARC憲章によって誕生しました。

EUやラテンアメリカ・カリブ諸国、ユーラシア連合とは異なり、域内の安全保障、政治的連帯などの政治的利益から発足した互助組織でしたが、

1995年のPTA、また2006年のSAFTAが締結されてからは、域内の自由貿易に向けて本格的な取り組みが行われています。

域内の総人口は、17億4906万人。これは世界人口の24%にあたります。

加盟国のGDPの合計は、2016年で2兆8966.5億ドル。

このSAFTAは、域内の関税を各国の状況に応じて段階的に下げていき、最終的には域内全体で5%以下まで落とす見込みです。

しかしながら、関税引き下げ後も、域内国が独自に設定する保護品目(センシティブリスト)が域内貿易を妨げました。

そこで2012年より域内国全体でセンシティブリストの数を削減する案が実行に移され、

域内貿易の改善に向けて努力が行われています。

とはいえ、現状の域内貿易は対世界貿易全体の5%程度とされ、

EUの56.3%、ASEANの23.4%、NAFTAの33.6%と比べても、域内貿易は少ないと言わざるをえません。

GDPは2016年の数字を採用。

域内貿易に関するデータ等は、城西国際大学の大西(神余) 崇子氏の研究論文「南アジア地域協力連合(SAARC)の発展、貿易、制度」を参考にさせていただきました。

1 インド(GDP : 2兆2564億ドル[世界第7位])

主要産業 : 農業、鉱業、工業、IT産業
輸出 : 石油製品、宝石類、機械機器、化学関連製品、繊維
輸入 : 原油・石油製品、宝石類、機械製品

BRICSの一角であるインドは、域内人口の75%、域内GDPの77%を占める中心的な存在です。
アフガニスタンを除く加盟国は、インドとは国境を接していますが、インド以外の国とは接していません。
「インド 対 各加盟国」の関係が作られやすいことも、SAARCの1つの特徴です。

パキスタンアフガニンスタン以外の国との貿易はどの国とも盛んで、
各国の域内貿易の大部分がインドとの間で行われています。

インドの産業は、世界第14位の工業生産国として知られ、二輪車市場では世界第1位。
自動車は、生え抜き企業の育成にも成功し、1994年には24.5万台に過ぎなかった自動車生産が、2011年には393万台で世界第6位にランクインしています。

重工業、重化学工業の成長も著しく、国内の油田から取れる石油から作られる石油製品は、国内需要を超えて海外にも輸出されています。

SAARC域内では文句なしの工業力NO.1。

最近はモディ政権の下で、原発施設の増設により電力供給を10倍規模に拡大する方針も打ち出しており、SAARCの中心になること間違いなしです。

また、IT産業は世界的な拠点として近年のインドの経済成長を牽引しています。

主に、先進国企業からのアウトソーシングソフトウェア産業を担っています。


域内貿易が盛んな国としては、輸出では、スリランカの30.0%、バングラデシュの27.3%、パキスタンの20.4%が挙げられます。
また輸入では、スリランカの24.7%、バングラデシュの18.2%、ネパールの15.9%となっています。

2 パキスタン(GDP : 2841.9億ドル[世界第42位])

主要産業 : 農業、繊維産業
輸出 : 繊維製品、農産品、食料品
輸入 : 石油製品、原油、機械類、農業・化学品、食料品、パーム油

10年前からGDPに占める工業の比率は20%で停滞しています。

輸出品目としては、米がトップの11.2%、ついで繊維製品が続きます。
また、中国の一帯一路政策への協力の打ち出しており、政策の拠点として鉄度・道路・港湾を整えるため、近年ではセメントや鉄鋼の生産が増えています。
インド対各加盟国に陥りやすいSAARC域内にあって、パキスタンアフガニスタンとの貿易が活発です。

輸出の7割は、アフガニスタンに向かいます。
しかしながら輸入の約9割はインドからとなっています。

1日2ドル未満で暮らす貧困層が国民の半数を超えています。


3 バングラデシュ(GDP : 2279.0億ドル[世界第46位])

主要産業 : 衣料品・縫製品、農業
輸出 : ニットウェア(47%)、既製品(36%)、革製品(4%)、ジュート製品、冷凍魚介類、石油
輸入 : 綿花、綿製品(15%)、鉱物・石油製品(12%)、機械設備(9%)、鉄鋼製品、機械機器、穀物類、食用油

ガンジス川の豊富な水資源から肥沃であり、米やジュートの生産に適しています。

人口の6割以上が農業に従事しており、米や繊維の原料となるジュート(黄麻・縞綱麻)の栽培が盛んです。

ジュートから生産される繊維産業が輸出の8割を占めていますが、慢性的な赤字財政に陥っています。

農業セクターは比較的安定的に成長する一方で、工業に課題が残ります。

現在は、産業の多角化および外国人投資の呼び込みに向けて、インフラ整備が急がれています。

2010年のSAARC域内貿易では、輸出の76.1%、輸入の88.2%がインド相手となっています。
その他の国とは、パキスタンへの輸出が16.4%、輸入が9.6%と高い数字になっています。


4 スリランカ(GDP : 826.2億ドル[世界第66位])

主要産業 : 農業(紅茶、ゴム、ココナッツ、米)、繊維業
輸出 : 工業製品(繊維・衣類製品)-77%、農業製品-22.6%、鉱物-0.3%
輸入 : 中間財(燃料・繊維関連)-50.9%、資本財-26.8%、消費財-22.3%

南アジアで最初に輸入代替制度を放棄した国だとされ、1977年に資本主義と自由主義経済を導入しました。
その結果、一人当たりのGDPは3,162ドルではあるものの、インドに比べて2倍、モルディブに次いで2位という
南アジア上位の経済国に発展しています。

SAFTAに先立つSAFPAの案もスリランカから出たことで知られています。

スリランカは、原油産出国ではないため、軽工業が主流となっています。

繊維業が全体の77%を占め、その他には主に紅茶や米などの農産品が輸出されています。

輸入は、繊維業の中間財が約半分、残りは一般機械や建設機械などの投資財および消費財となっています。

SAARCの域内貿易では、インドとの輸出が74.2%、輸入が91.2%と最も多く、

その他には、モルディブへの輸出が11.0%、パキスタンからの輸入が7.5%と高い数字になっています。


5 ネパール(GDP 211.5億ドル: [世界第106位])

主要産業 : 農林業、貿易、交通・通信業
輸出 : 工業製品、カーペット、食品
輸入 : 石油製品、鉄鋼製品、機械部品、金、輸送機械

中国のチベット自治区に接するネパールは、ヒマラヤ山脈の周辺部に国土を持ちます。
人口の80%が農業に従事する農業国でありGDPの約4割を農業に依存しています。
輸出品目としては、繊維産業とじゅうたんが7割を占める主力商品として知られています。
輸入品目としては、石油製品、金など。

域内での主要な貿易相手国としては、輸出の88.7%がインド、10.2%がバングラデシュとの間で行われています。
輸入では、99.2%がインドからとなっており、域内ではインドへの依存傾向が最も強い国となっています。

1日2ドル以下で暮らす貧困層が国民の7割を超えるとされ、基幹の農業も天候に左右されるため、大変不安定な社会構造となっています。


6 アフガニスタン(GDP : 188.9億ドル[世界第112位])

主要産業 : サービス業(51.3%)、農業(24.3%)、鉱工業・製造業(20.9%)
輸出 : じゅうたん、レーズン、ピスタチオ、甘草、羊毛、アーモンド、イチジク
輸入 : 石油、セメント、電化製品、小麦、機械類

ターリバーンとアメリカを中心とした多国籍軍との戦いによる灌漑設備や各種インフラの破壊が国民生活に甚大な悪影響を及ぼしています。
国民の3分の2は、1日2ドル以下で生活する貧困層だとされます。

産業は、農業と牧畜への依存度が高く、輸出品目には農産品や牧畜で得た羊毛、また羊毛を加工したじゅうたんなどの製品がみられます。
石油の採掘は2012年から中国資本によって開始されており、現状の石油製品は輸入に依存しています。

SAARC域内での貿易は、
輸出がパキスタンとの間で55.1%、インドとの間で44.2%になっています。
一方の輸入は、パキスタンから81.1%、インドから18.6%。

アフガニスタンは、SAARC加盟国の中では唯一例外的に、インド以外の国と最も貿易が盛んになっています。
それもパキスタンと国境を接する一方で、インドとは接していないためでしょう。

また北では、ユーラシア連合への加盟に前向きなタジキスタンや、将来的な候補国とされるトルクメニスタンと国境を接しています。

アフガニスタンは、SAARCの国境線を形成する重要拠点と言えるでしょう。



7 モルディブ(GDP : 33.8億ドル[世界第158位])

主要産業 : 漁業、観光
輸出 : 魚介類、水産加工物
輸入 : 石油製品、食料品、建設資材、輸送用機械、機械

観光業がGDPの3割を占めています。
水産加工物の輸出が、最大の輸出品目となっていますが、主食の穀物は輸入に依存しています。

SAARCの域内では、輸出の58.9%がインド、37%がスリランカとなっています。
輸入は、インドからの輸入が59.2%、スリランカからが38.1%と高い数字になっています。


8 ブータン(GDP 21.2億ドル: [世界第163位])

主要産業 : 農業、林業、電力(水力発電)
輸出 : 電力、鉄、合金、セメント
輸入 : 軽油、ガソリン、金属製品、米

国土がヒマラヤ山脈の斜面にある地理的条件と豊富な水資源を使って水力発電が盛んです。生産した電力はインドに売却されており、貴重な外貨獲得機械になっています。

1日1ドル未満で暮らす貧困層が国民のおよそ25%を占めています。

農産国であり、米の輸入も行っています。

それでも貧困問題が慢性化しているのですから、

粗悪な農業インフラを使った非効率な農業運営が蔓延っているのでしょう。

国家規模の名目GDPで見た場合、ブータンは最も経済ボリュームの小さい国となります。

ちなみに域内貿易の相手に関しては、今回参考にした大西崇子さんの論文に、ブータンだけ統計が記載されていなかったため、掲載できません。




さいごに
以上のように南アジア地域協力連合の貿易構造を観察して参りました。

見たところ、工業製品輸出の盛んなインドを除き、多くの国々で主要輸出品目は似通っていることが確認されました。
パキスタンは綿花を中心とした繊維産業が全輸出の約30%、バングラデシュは衣類製品が輸出の約80%、スリランカでも衣類製品が輸出の約40%、ネパールにおいても繊維製品とじゅうたんが輸出の約70%を占めています。

このようにSAARCの加盟国では、貿易の比較優位構造に類似性を持つ国々が多く、相互の国が抱える需要に対して補完的ではありません。

このことが全貿易に占める域内貿易の5%の伸び悩みにつながっていると考えられ、

引用した大西氏の論文では、

センシティブリストの多さ、投資の規制、輸送体制の未発達、内部の政治問題、非関税障壁などの「非関税障壁」が域
内貿易の伸び悩みの原因だとされています。

また、エネルギー資源にも乏しい。主要な産油国もインドくらいのもので、それでも世界24位程度の規模です。


近年は、中国がインド洋〜東シナ海にかけて「真珠の首飾り政策」を展開する動きを見せており、

パキスタンを始め、スリランカバングラデシュなどSAARC域内国に対して積極的な支援を行っています。

これらは、中国の経済発展に欠かせないエネルギー輸送路の安全確保のためだとされていますが、

事実上、インドを囲い込む形となり、インドは懸念を高めています。

また、SAARC諸国に対して影響力を伸ばそうと迫る動きも無視できません。

インドのモディ首相は、2017年5月に北京で開かれた「一帯一路」サミットへの招待を欠席したばかりか

「一帯一路」プロジェクトの問題点を指摘する公式声明を発表しています。

つまり、ロシア、南米諸国、アフリカを味方につけ、米国覇権に挑む中国に対して、インドは明確に拒絶しているわけです。

近年インドが日米と協力関係を確認する機会が多いのも、中国の拡大に対する懸念を共有しているためです。



個人的には、中国が世界最大の工業国とは未だに思えず、日本を始めとする先進諸国の工業力を、自分が作ったもののような態度で誇示しているだけに見えます

その意味でアジア最大の工業力は日本の中にあるといえるでしょう。

昨今、北朝鮮問題に見られるように欧米勢力と反米勢力の闘争が日に日にボルテージを上げていますが、

過言すれば日本を味方につけた方が今後の世界情勢を握るでしょう。

いっそのこと、印露もタジキスタンアフガニスタンで接するのだから、反中で手を結んではどうかと提案したいところです。

またインドは石油資源に乏しく、インドも外資規制の撤廃によりロシアが求める工業力を増大させる方針です。

世界屈指の工業力を持つ日本ともインドとの友好関係を通じてアプローチできるでしょう。

このようにお互いの需要に対して相補的なのだから、連携してはどうでしょうか。

そうすれば日本もいさぎよく中国からインドへシフトできるでしょう。

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