気になったことなど

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

プロ野球のボールの反発率が景気で決められるって本当?

以前目にした記事に次のようなものがありました。
「政府が景気を上向かせたい時は、プロ野球の球を調整して、打高投低に誘導させる」

記事の中で紹介されていたのは、メジャーリーグの例だったと記憶しています。
しかし、日本を振り返っても、アベノミクスの施行期間は、
2011年の統一球から一転、好調な選手が多く見えたのは気のせいでしょうか?
ウラジミール・バレンティン選手が、シーズン60本塁打を記録したのも2013年。
中田翔選手が好調を見せはじめたのも2013年。
山田哲人選手、柳田悠岐選手、筒香嘉智選手の台頭も2013年以降。

と、こじつければ、なんとでもいってしまえる気がします。

しかし、データは嘘をつきません。データを見ることなしに、このトピックに答えを出すことは不可能でしょう。

果たしてプロ野球の成績と経済には、関係が認められるのでしょうか?

政府の影響力とかいうと、陰謀論と言われそうで嫌ですが、グラフまで用意して臨みました。

記事のグラフは、プロ野球の動向を知る上でも参考になるかと思うので、ちらっとだけでも見ていってください。



1、2000年から2016年までの本塁打数の動向
以下は私が作成したグラフです。(グラフ及びデータの掲載にあたっては最善の注意を払っていますが、間違いがないことを保証するものではありません。)

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(SOUCE : https://www.baseball-reference.com/register/league.cgi?code=JPPL&class=Fgn)

グラフによると、セパの本塁打数は、概ね同水準で推移していることがわかります。
2001年のような例外はありますが、リーグ間の実力や好不調の範囲内でしょう。


次のグラフは、球界全体での本塁打数の傾向です。

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グラフによると、
2000年に1571本だった本塁打数は上昇を続け、2004年には2010本という数字にまで到達。
しかし、この2004年を境に本塁打数は減少に転じ、2006年~2008年には1400本代と、2004年に比べて500本以上少ない水準に落ち着きます。
その後は回復基調に乗り、2010年には1605本と2000年代の水準まで復帰。

ところが、2011年、2012年と連続で本塁打は激減します。
シーズン800本代という激減の背景には、高反発球の導入がありました。
この2シーズンは、グラフ内の16年間で、唯一1000本塁打を下回るシーズンとなっています。

その後は、球質が見直されたこともあり、2013年に1311本をつけた本塁打数は、2000年初頭の水準に届くことはないものの、安定的に2016年まで推移しています。


さて、2000年代初頭といえば、
アレックス・カブレラ選手やタフィ・ローズ選手が立て続けに当時の本塁打記録55本を打っていた時代ですね。
「飛びすぎるボール」と呼ばれていた時代です。
しかし、2005年以降は2004年までの本塁打の急増を反省してボールを刷新。
これによりホームラン数の伸びは抑制され、2006年~2010年まで安定した数字が続きます。
しかし、2011年~2012年の統一球導入でホームラン数は激減。
翌2013年からは、2004年の時と同じく球質が見直され、安定的な数字が続いています。

2000年~2016年までの動向をまとめてみます。

2000~2004年 1571~2010本。高反発化のピーク期。
2005~2010年 1453~1747本。高反発化後の安定期。
2011~2012年 1000本以下。いわゆる統一球、低反発球の時期。
2013~2016年 1217~1361本。安定期。低反発化後の安定期。

さて、この動向に日本経済との相関が認められるのでしょうか?

次のグラフは、「世界経済のネタ帳」(http://ecodb.net/country/JP/imf_growth.html)掲載の「日本の経済成長率の推移」です。

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さて、どうでしょうか?

まずは、日本経済を振り返ってみましょう。
日本の1990年代は、
1991年のバブル崩壊の後遺症に苦しみ、さらに1997年には消費増税が追い打ちをかけました。
またこの年は山一証券北海道拓殖銀行の破綻もあり、金融不安の高まりが顕著になります。
これに対し、大蔵省の権限制限などで解決を試みますが改革は不完全のまま終わります。

そんな中で突入した西暦2000年代は、ITバブルで始まりました。
2001年にはアメリカで同時多発テロが起こり、
2002年からのアメリカ景気が回復。これにより日本経済も回復基調に入ります。
以降、アメリカの景気回復にあわせて2006年まで好況が続きます。

しかし、2007年にサブプライムローン問題が発生。米国は金融危機に突入し、この流れの中で2008年にリーマンブラザーズが経営破綻。
そしてリーマンショックが発生。連鎖的な金融不安につながり、日本も巻き込まれて再び不況に突入します。
そんな中、当時与党であった民主党は金融緩和を避けたためにデフレが進行し、日本の不況は加速します。

そして2011年に起きた東日本大震災が傾きかけの日本にとどめを刺した、と思いきや、政権交代により安倍政権が発足。
安倍政権は、アベノミクスの推進によって、マネーサプライを増加させた上で雇用創造を実施し、景気刺激を図ります。
そして今日に至るまで一定の成果を出して、今日に至ります。

まとめると、
2002年~2006年 アメリカの景気回復がプラスに作用。バブル崩壊からの景気回復期
2007年~2011年 アメリカのサブプライムショックと民主党のデフレ政策。景気後退期
2012年~2016年 安倍首相によるアベノミクス。景気回復期

でしょうか。


さて、
この動きをプロ野球の傾向と合わせて考えてみましょう。

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ボールの高反発傾向は、2000年から2004年にかけて続きました。
たしかにこの時期は日本の景気回復期間と重なっています。
またホームランが減少に転じた2005年から2010年の期間は、好況に湧いてからサブプライムショックで転落するまでの期間と重なります。
2004年頃と比べれば低い数字が目立ちますが、
ホームラン数の急増に対する抑制が実施されただけで、上昇傾向で一貫していたことには注意が必要です。
サブプライム問題の起きた2007頃は、景気が低迷した一方で、ホームラン数が増加しているなど不整合が見られます。

また低反発急が導入された2011年~2012年は、東日本大震災の時期と完全に重なっています。
そしてアベノミクスの施行期間である2013年~2016年は、プロ野球本塁打数も回復し、概ね安定的に推移しています。
この時期は、大谷翔平選手の出現や山田哲人選手、柳田悠岐選手の台頭などプロ野球にとって明るい話題でもちきりとなり、社会に対して明るいイメージを与えました。



これまでデータをみながらプロ野球と経済の関係について考えてきました。
もちろん、大物バッターや好投手のメジャー流出、高い実力を持った強打者の台頭などホームラン数に与える要因は様々あり、
ホームラン数だけを見て、ボールの反発指数を考えるのは正しくありません。

しかし、まあホームラン数と経済指標を比べてみるのも、悪くはないと思います。
解釈は多岐に渡ると思うので、皆さまに委ねます。


結果としては、2007年頃の不一致も見られましたが、
概ね経済動向とホームラン数は近い動き方をしているように見えました。
私としては、結構関係あるのかも、と信じかけの状態です。

皆さんはどうですか?





(おまけ)

日本の野球だけでは論拠に乏しいので、メジャーリーグの各シーズンの総本塁打数とアメリカの経済成長率のグラフを載せておきます。


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(Source : https://www.washingtonpost.com/news/fancy-stats/wp/2016/03/07/the-perfect-storm-that-created-baseballs-biggest-home-run-surge-since-the-steroid-era/?utm_term=.4fb68830bf7a)


これに関しての分析は避けておきます。
なぜなら、メジャーリーグの1990年代〜2000年代は、ドーピングの嵐と規制が吹き荒れた時代だからです。








ア”ア”ァ”ッッ!!!!!


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サミー・ソーサ選手やマーク・マグワイア選手、バリー・ボンズ選手が次々とシーズンホームラン記録を塗り替えたのもドーピングの影響ですからね。ドーピングの補正がある以上、経済との因果関係を調べるのは困難です。(まあ日本プロ野球になかったとも言い切れませんが )


ただ、トランプ大統領が登場してから、高反発球を匂わせる出来事が出てきています。
この大統領は、アメリカファーストを掲げ、経済回復を前面に主張していた人物ですよね。

まずジャンカルロ・スタントン選手の本塁打数が508打席で53本塁打(2017年9月6日現在)に達するなど、全体的な本塁打数の上昇。
そして、田中将大選手が地元メディアに語った「ボールが飛ぶ気がする」という証言。
(実際、証拠も出ているようです。https://thepage.jp/detail/20170622-00000001-wordleafs?pattern=2&utm_expid=90592221-90.Psn9uNmMQsqD2PQwW8WpfQ.2&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2F)


というより、以下のデータをみても、2017年の本塁打率は史上最高です。

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(https://www.baseball-reference.com/leagues/MLB/bat.shtml)

ドーピング全盛期の2000年と比べても圧倒的ですよ。
ホームラン打者にとっては、ホームラン数の稼ぎ時かもしれませんね。(引退目前で記録狙いのプホルスとか)


さて、経済政策を重視するトランプ大統領が出てから打者有利の傾向が出たのは、事実のようです。

ボールの反発率と経済動向の関係、信じるも信じないもあなた次第です。

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