Ossan's Oblige "オッサンズ・オブリージュ"

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

人口爆発は信用経済の副作用

人口爆発の原因
世界人口は70億人を突破し、2040年には90億人を突破する勢いで上昇を続けています。
背景にあるのは、文明の発達による死亡率の減少です。
さらに細かく見ると、

1、医療の発達による死亡率の低下
2、食糧生産力の増大と貿易の活発化による飢餓の克服


この2つが指摘されるようです。

しかし、あえて言うならば、これらの根底にある「信用経済」という条件をなくせば、人口は一気に収縮に向かうでしょう。
それが良いか悪いかは置いておいて、なぜ信用経済をやめれば、人口爆発が抑制されるのか、書いてみたいと思います。




経済の原初段階において使われたお金は、文明圏ごとに様々です。
希少性を持ち、採集・交換が簡単で、あらゆる階層の人々に共通して価値が認められることが「お金」の条件でした。
日本では貝殻、塩、米などが初期のお金として使われましたが、こうした商品貨幣では、持ち運びにも向かず、放っておくと劣化していくため人々はやがて商品貨幣を手放し、貴金属を共通の価値を持つ「お金」とする貨幣制度を発達させていったのです。

貴金属であれば長期保存にも向き、持ち運びにも便利です。それ自体に食用の価値があるわけでもないのでなくなりません。
この金属貨幣は瞬く間に世界中に浸透し、貨幣経済の広まった地域では、経済発展が促され、成長を遂げていきました。

しかし、13世紀に起きたモンゴルの侵略によって東西交流が促されると、東方中国の限られた地域で行われていた信用経済がモンゴル帝国(元朝)の通貨制度として採用されるに至りいます。それを受け、同13世紀のヴェネツィアに最初の銀行が出現しました。
この信用制度とは、権力者の印章、または金塊の預かり証、先物取引の支払い状など、取引相手との信頼が価値の基本とされたことによる命名です。

この信用制度は、貨幣経済が持つ改鋳(改悪)、強奪、盗難といった危険性を回避する上でも重宝されたらしく、市場に浸透するまで時間はかかりませんでした。
この信用取引が行われるようになると、経済は大いに活性化します。

当然です。それまでのお金は、地球上に存在する金や銀、銅などの貴金属の総量と一致しており、言い換えれば、地球上の貴金属の量しか(それも採掘されているだけ)人間の需要は満たされなかったのです。
江戸時代の日本でも、穀物生産能力を上回る3000万人以上の人口は抑制措置がとられたように、人類は貴金属の量を上回る経済活動を行うことができなかったのです。
そのため、それ以前の商人の資金力には制限があり、商業の発展も限定的でした。
また、各国国王は貨幣の改鋳によって貨幣の金属含有量を減らし、お金の総量を増幅させるなどの方法を常態的に行っていたようです。


しかし、小切手や手形を用いる信用経済が登場すると、無形物の信用が価値を保障する担保であり、その証書がお金として用いられます。
信用さえあれば何枚でも、いくらでも増幅させることが可能になったのです。

このシステムは、大航海時代の水夫の大量動員など、商業活動の資金確保に重要な役割を果たし、保険制度などの副産物を生み出しながら大きく発展していきました。

そして、17世紀に信用経済の中心地としてイギリス中央銀行が設立。植民事業の資金提供の役割を果たし、大英帝国の繁栄を支ます。

そして20世紀になると、イギリスから覇権が移行するとともにアメリカが世界金融の中心地として栄え、今日に至るまで世界に影響力を及ぼし続けています。


もちろん一般的に言われるように、穀物生産能力と補給能力の上昇、医療技術の発達、つまり産業革命に代表される文明の進展が人口増加に果たした役割は否定できません。

しかし、人類の生産能力、医療技術の発達は、信用経済の発達と密接な関係を持つのです。

信用経済がなければ、人員の動員失敗により大航海時代すら頓挫していた可能性が高く、そうなれば大航海から生まれた需要もなく、医療技術はじめ科学技術の発展も停滞していたかもしれません。



実際、現在の「お金」とはアメリカ政府の軍事力を背景に発行される紙幣であり、以前のような金塊同様の価値がないことは明白です。
世界の発行済み紙幣の合計額は1京円を超えるとされます。これに対し、金の総量(現在採掘済みの金と埋蔵量の合計)は、217600トンだとされます。
1g平価を5000円として計算しても、世界中の金の総額は、217,600,000 * 5000 = 1兆880億円
にしかなりません。
もちろん、銀、銅、石油、石炭、小麦といった資源価格を重ねていけば合計額は何倍にも膨らむでしょう。
しかし、1京円にはどう頑張っても到達しそうにありませんね。

要するに、信用紙幣の過剰発行により、人類に発生した需要の大部分が満たされてしまう仕組みが人口爆発の原因だと考えます。

人口爆発を止めたいなら、信用経済をやめればいい。

そうすれば、お金の総量が資源の総量と一致します。
そうなると今のような大消費は不可能になり、人間の需要は、資源の総量分しか満たされなくなります。

労働も資本による強制力を失って衰退し、文明が崩壊するため医療技術も廃れます。食料も作られなくなり、やがて人類は適正人口を回復し始めるでしょう。

もちろんそうなれば、人類74億人による資源の奪い合いが始まり、世界は未曾有の大混乱に陥るでしょうが。



まあ、日本の人口爆発も明治以降に間引きが禁止されてからのことで、一時は貧困に陥りましたが、海外への移民政策や拡張主義を経て、結果的に今日では先進国に落ち着いています。
人類も、いずれインドあたりが人類向きの環境にある惑星でも見つけるでしょうから、これから銀河を超えた大植民時代が来るかもしれませんね。

ドラゴンボールGTみたいな感じで。

人口爆発も見方によっては悪くないかもしれません。