気になったことなど

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

ロシア経済もまた地域ブロックへ向かう

ロシアは、政府の腐敗と経済の資源依存が著しい国です。国家という単一の枠組みで見れば、単なる弱小国に過ぎません。

唯一の強みは、資源分野です。国土の広さから見ても、資源地下の埋蔵量は膨大です。

2016年の原油産出量、天然ガス産出量は世界第2位でした。

このエネルギーは、ロシアの輸出の70%を占めており、諸外国に対する強い外交カードにもなっています。

しかし、それ以外の産業は、アメリカに次いで世界第2位の武器輸出、2010年の時点で世界第15位の自動車産業程度しか目立ったものがありません。

工業製品の多くは、大幅な輸入超過に陥っており、自給できていません。

こうした自国への将来不安から人材流出にも歯止めがききません。人口動態も下降を示しています。


こうしたロシアも、地域ブロックという視点から見ることによって印象が変わってきます。

ロシアもまた世界的なトレンドに従い、共通市場を創設しようとしています。

相手は、旧ソ連圏、また中央アジアの国々です。

また、ロシアのプーチン大統領は、中国の「一体一路」構想にも賛同の意を示しています。

このことは、「ユーラシア連合」が中国との共存を模索していることを意味しています。


しかしながら、ロシアと関わりの深いウクライナは、EU加盟を審議中です。

このことが示す通り、ロシアとの共通市場創設に向けた姿勢は、旧共産圏で一様ではありません。

ヨーロッパの「EU」もまた領土の拡大を進めています。

2004年から段階的に旧共産圏のポーランドルーマニアブルガリアハンガリーなどをEUに加えているのは、その証拠です。

こうしたEUの拡大が、ウクライナにまで迫っているのが現状なのです。

すなわち、中央アジアから東欧にかけて、「 EU」と「ユーラシア連合」の間で国家の奪いあいが展開されつつあります。


旧ソ連圏の経済ブロックのこれまで

ソ連の崩壊後、ソ連を構成していた国家は独立国家共同体(CIS)という緩やかな国家連合を作り、欧州連合のモノマネのようなことをしていました。

しかし、ソ連崩壊後に任期についたエリツィンの指導が不十分だったこともあり、CISの内情は安定しません。

しだいに、CIS加盟国は独裁者が権力を持ちはじめ、独裁国家となっていきました。

ソ連から独立したことで、発言権を増したCISの構成国には、ロシアと距離を置く国が現れ始めます。

つまり、今日でもEUに協調的なジョージアウクライナアゼルバイジャンモルドバは、

ロシアとの距離を置き、それぞれの頭文字をとって「GUAM」という組織を形成します。(ウズベキスタンも加盟していたが、2005年に脱退)

一方のベラルーシカザフスタンタジキスタンキルギスアルメニアは、ロシアと緊密な関係を保つことに務めます。

この時の関係を基本として、2000年にはCISの失敗を補うため、組織の見直しが行われます。

これにより、CISは、親露国家によるユーラシア経済共同体(EAEC)に改組されました。

2005年には、ウズベキスタンのEAEC加盟が実現します。これをきっかけにEAECは「中央アジア協力機構」を併合します。

当時のEAECは、西側のEUと東側のASEANを結ぶ経済ブロックとして発展することを望みました。


アメリカとEUは、民主化革命の支援という形で旧共産国を取り込もうと考えており、

2003年のジョージアバラ革命、2004年のウクライナオレンジ革命に見られるごとく、民主化の試みが功を奏します。

2008年になると、EUの東方への拡大をきっかけに、これを警戒したロシアとの間に不和が生じます。

EUは、旧ソ連圏の国々に対し、EUへの入国ビザの緩和などで懐柔を図り、ロシアは、エネルギー価格の優遇で対抗します。

この動きの中で、2008年にはウズベキスタンが EAECから脱退。


EAECを維持すべく、関税同盟の組成が重要課題となったロシアは、

2011年にベルラーシ、カザフスタンとともに、「ユーラシア連合」の構想を表明します。

これを受け、2015年には「ユーラシア経済連合」が発足。

域内の政治統合に先立ち、経済統合が試みられる形になりました。

2015年には、新規加盟国としてアルメニアキルギスを加えます。


中央アジアから東欧までの経済圏を確保したプーチンは、中国との協力にも積極的です。

プーチン大統領と中国の習近平国家主席は、ユーラシア経済連合とシルクロード経済ベルト構想を連携させるとの共同声明を発表し、

2015年にはベトナムと初の自由貿易協定が締結。

中国とロシアは反アメリカ路線を共有しており、「一体一路」構想への協力にも積極的です。


まとめ

世界的なトレンドに従い、ロシアも地域ブロック化に向かっています。

ロシアといえば、かつて東欧でソ連を構成した国ですが、今回は加盟国の地域に大きな違いがあります。

今回の「ユーラシア経済連合」の加盟国の中で、東欧の国はベラルーシくらいです。

それ以外の加盟国は、カザフスタンアルメニアキルギス中央アジア西アジアの国々が目立ちます。

これは、EUとの国家奪い合い競争での敗北を示唆しています。

ポーランドハンガリールーマニアブルガリア、(ウクライナも?)などの東欧の国々は、2004年から次々とEUに編入されました。

そのことを受け、ロシアは協力相手をアジア地域にシフトせざるをえなかったのでしょう。

つまり、冒頭にEUとユーラシア経済連合の間で「奪い合い」が展開されていると書きましたが、ロシアはEUに敗れたのです。

そして、東欧に居場所がなくなったから、仕方なしに西にシフトして、アジアとの連携を進めているのです。

中国の「一帯一路」との連帯もそのためでしょう。


経済的には、「ユーラシア経済連合」は、全体的に一次産品への依存が強く、工業力に欠ける特徴を持ちます。

そのため、強力な工業国を必要としており、中国との連携にも十分な合理性があります。

上海条約機構にも加盟していることから、

ロシアは、アイデンティティをヨーロッパからアジアに移行していくのかもしれません。