気になったことなど

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の貿易構造-その1 

今回も、各地域ブロックの貿易構造を確認します。

今回扱うラテンアメリカ地域では、

中南米カリブ海諸国の33カ国から成る「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)」の結成が目指されています。

しかしながら、この33カ国の貿易構造を1つの記事に集約するのは冗長なため、分割するのが適切でしょう。

今回は、CELACの前身である「南米諸国連合」12カ国の貿易構造を確認します。


南米諸国連合は、南米の経済ブロックとして結成された「アンデス共同体」と「メルコスール」および他3カ国の統合によって作られた南米の地域ブロックです。

メンバーは、アンデス共同体ボリビア、コロンンビア、エクアドル、ペルー、

またメルコスールのアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイパラグアイベネズエラ

及びチリ、ガイアナスリナムで構成されています。

ではいきましょう。(※GDPは2016年のもの)


1 ボリビア共和国(GDP : 348.3億米ドル[世界第94位])

輸出 : 天然ガス亜鉛、大豆、金、銀、錫
輸入 : 機械、石油製品、燃料、自動車

ボリビア共和国では、国土を走るアンデス山脈より掘り出される鉱物が輸出の要となっています。
また国土の東側はアマゾンの熱帯雨林が広がっており、国民の大半は農業や牧畜に従事しているとのこと。
そのため、大豆も主要な輸出品目に含まれています。

輸入部門では、機械、石油製品、自動車など自国での製造が難しい工業製品の需要が高まっているようです。


2 コロンビア(GDP : 2823.6億ドル[世界第43位])

輸出 : 石油、コーヒー、石炭、フェロニッケル、バナナ、エメラルド、切り花
輸入 : 化学品、自動車・同部品、機械、通信機器、食品

世界第26位の産油国であるコロンビアは、輸出の約半数を原油・石油製品が占めています。
原油を含め、化石燃料やコーヒー、切り花、世界産出量の約80%を占めるエメラルドなど、
一次産品の輸出が盛んです。
一方の輸入部門では、化学品、自動車・自動車部品、機械、通信機器、食品などが求められており、
工業品需要の高さを見て取ることができます。

ただ、「南米で最も経済が健全」と評価されるほど国際金融市場からの評判は良い様子です。


3 エクアドル(GDP : 980.1億ドル[世界第61位])

輸出 : 石油、バナナ、コーヒー、カカオ、生花、まぐろ、エビ
輸入 : 石油製品、自動車、車両部品、鉄鋼

赤道直下の熱帯地域に属するエクアドルは、農業が盛んです。
輸出に占める農産品の割合は5割を超え、また世界第41位の産油国として輸出の4割近くを石油輸出に頼っています。
一方の輸入部門では、石油製品や自動車などの工業製品需要が高く、自国で満たすことができていません。

政治的には、物価の安定のために自国通貨を廃し米ドルを採用したこともあり、米国への貿易依存が顕著なようです。
幹線道路などのインフラ整備状態も、南米では良好な方だとされます。



4 ペルー(GDP : 1951.4億ドル[世界第49位])

輸出 : 銅、金、農産物、天然ガス派生品、亜鉛、化学品、繊維製品
輸入 : 原油、石油製品、携帯電話、自動車、とうもろこし

ペルーの輸出は、国土を走るアンデス山脈から採掘される鉱物資源、及び原油・石油製品など一次産品に偏っています。
また、輸入部門では、資本財、工業用原材料、消費財が占めるなど、他南米諸国同様、工業品需要が高い。
日系人のフジモリ大統領でも、私たちには身近な国かもしれません。


以上の国は、アンデス共同体諸国の所属となります。
名前のとおり、アンデス山脈周辺諸国の同盟であり、アンデス山脈から産出される鉱物、石油資源の恩恵に依存する傾向があります。
また熱帯地域のアマゾンに恵まれた国が多いことから農業が盛んで、食料品や商品作物の輸出が活発であることが分かりました。


次は、メルコスール諸国です。


5 アルゼンチン(GDP : 5451.2億ドル[世界第21位])

輸出 : 燃料、大豆油カス、工業製品、動植物油、穀物
輸入 : 機械、自動車、電気機器、産業用資材

南米では、ブラジルに次ぐ2位のGDPを誇るアルゼンチンは、温暖な気候に恵まれた地理的特徴を生かして大豆、トウモロコシ、牛肉などの食料生産が盛んです。
工業製品の多くを輸入に頼っていますが、必要な物品はメルコスールで結ばれた隣国ブラジルから十分な量が供給されています。


6 ブラジル(GDP : 179,862億ドル[世界第9位])

輸出 : 一次産品、工業製品、半製品
輸入 : 原材料及び中間財、資本財、石油及び燃料、消費財

豊富な天然資源を背景に、南米諸国が一次産品への依存を進める中で、ブラジルは世界トップ10を占める工業国として一際存在感を放っています。
1950年以降からの工業化政策と軍事政権下での外資導入が功を奏し、1960年代から経済発展に沸くことになります。

とはいえ、経済の主力は工業だけではありません。
天然資源、コーヒーや、大豆、さとうきび、トウモロコシなどの一次産品の輸出も盛んで、2014年の統計では輸出の48.7%が一次産品によって占められています。
工業製品は、飛行機製造や自動車産業が盛んです。工業用の半製品も生産され輸出に貢献しています。

一方の輸入は、工業製品の製造に必要な原料、工業用機械などの資本財、石油及び燃料、消費財が挙げられます。

貿易相手国としては、中国と米国の順番に約18%、約14%と続きます。

南米の国の輸出に一次産品依存が目立つ中で、ブラジルは最大の工業力を備えています。

金融面でも南米最大のサンパウロを抱え、南米の地域統合後に主導的な役割を担うことは、もはや疑いがありません。


7 ウルグアイ(GDP : 545.7億ドル[世界第77位])

輸出 : 肉類、穀物、木材類、乳製品
輸入 : 電気機器、鉱物資源、機械類、自動車

国土の大部分が温暖な草原地帯で占められており、海岸近くには肥沃な耕作地帯が広がっています。

その条件を利用して畜産品や農産品、木材が主な輸出品目に並びます。
工業化はなされておらず、生活に必要な自動車、電話機、医療品、その他日用品の大部分を輸入に依存する産業構造となっています。
南米の国では、アンデス山脈から離れ、高山が少ない地理的特性から鉱物や石油の産出は盛んではありません。


8 パラグアイ(GDP : 274.4億ドル[世界第99位])

輸出 : 大豆、牛肉、食物油、小麦、穀物
輸入 : 機械、原油・燃料、自動車

パラグアイは産業に占める農業の比率が2008年で10.5%と高く、輸出の80%以上を農業が占めています。
そのため工業製品の生産は少なく、輸入は工業製品に偏っています。
南米諸国に特徴的な鉱業や石油産業は未開発状態で、気候に左右されやすい農業依存の体質が、高い貧困率という社会問題に繋がっているようです。



9 ベネズエラ(GDP : 2872.7億ドル[世界第41位])

輸出 : 石油、有機・化学品、鉄鋼・アルミニウム、鉱物製品、輸送機器など
輸入 : 電気機器、化学品、鉄鋼・アルミニウム、畜産物、輸送機器など

南米最大の産油国(世界第41位)であるベネズエラは、輸出収入の96%を石油の売上に依存しています。
鉱業資源にも恵まれており、鉄鋼、アルミニウムなどを生産しています。

一方で、農牧業の生産性は低く、国内産業も貧弱であるため、食料品や工業製品を含む生活必需品の多くを輸入に頼っていることが報告されています。


以上、メルコスール諸国の特徴としては、アンデス共同体とは違い、
加盟国がアンデス山脈と離れた地域に集まっているため、熱帯気候を生かした農産品や畜産品が盛ん。
またブラジルやアルゼンチンに限っては工業化も進展しているように見受けました。


10 チリ共和国(GDP : 2,470.3億ドル[世界第44位])

輸出 : 銅・鉄、木材チップ、サケ・マス
輸入 : 自動車、石油・天然ガス、タイヤ、自動車部品


世界一の銅の埋蔵量を誇るチリ共和国では、一次産品の輸出が盛んです。

一方の輸入は、自動車関連の工業製品に偏っています。

とはいえ、工業も食品、繊維関連を中心とした軽工業は発展しており、大都市では化学、電気・電子、自動車組み立てなどの工業も発達しています。
ブラジルやアルゼンチンなどとともに、「ラテンアメリカで最も工業化された国」の一つとされ、南米では中進国に位置付けられています。

また、チリはすでに世界の広範な国々と自由貿易協定を進めており、2007年には貿易額に占めるFTA締結相手国向けの比率が9割を超えたとのこと。
グローバル競争で勝ち目のない製造業の保護育成を諦め、外資誘致で解決するなど、自由貿易が実現しています。

11 ガイアナ(GDP : 34.4億ドル[世界第157位])

輸出 : 金、砂糖、エビ、米、木材、ボーキサイト、アルミナ、蒸留酒糖蜜
輸入 : 燃料・潤滑油、機械、食品

国土に広大な熱帯雨林が広がるガイアナでは、農業が主要産業になっています。

輸入は、工業製品、石油、食品であり、自給自足には程遠い状態です。


12 スリナム共和国(GDP : 35.7億ドル[世界第157位])

輸出 : アルミナ、金、石油、木材、米、エビ、バナナ
輸入 : 燃料、設備資材、食料品、綿、消費財

スリナムもまた熱帯気候に属しており、国民の25%は農業に従事しています。

輸出額の70%をボーキサイトの輸出に頼るなど、資源依存の傾向が見受けられます。
生活必需品も外国からの輸入に依存しています。

隣国のガイアナと国境問題を抱えるなど、スリナムにとって地域ブロックは国家運営に欠かせない条件になるでしょう。





以上のように、南米のアンデス共同体とメルコスールに所属する国々の貿易構造を見て参りました。

外資主導による工業化を遂げたブラジル、アルゼンチン、ペルー以外の国は、

どこも農業や鉱業、石油など一次産品への依存が強い資源依存国の印象を受けました。

それも、大陸の約3分の2を覆う熱帯性気候と、大陸を南北に走るアンデス山脈からの豊富な鉱物資源によるのでしょう。

リカードの「比較優位説」に従えば、この地域が経済ブロックで囲まれたとき、ブラジル、アルゼンチン、ペルーは工業製品を生産する役割を務める一方で、

他の国々は原料供給地としての性格を強めることになるのかもしれません。

body { font-size : 8px; }