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ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の貿易構造-その2

今回は、前回に引き続き、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の貿易構造を確認したいと思います。

第一回では、南米諸国連合の貿易構造を大まかに眺めた結果、

工業化を遂げたブラジル、アルゼンチン、チリの3国以外は一次産品の依存が強いことがわかりました。

しかしながら、CELACを構成する国は33国あり、南米諸国連合だけではまだ12国に過ぎません。

したがって今回は、前回同様、中米及びカリブ海の国々を見ていきます。



1 メキシコ(GDP : 10,460億ドル[世界第15位]

輸出 : 自動車および同部品、電気・電子機器、原油
輸入 : 電気・電子機器、産業用機械、自動車および同部品

20世紀中盤には工業化に成功しており、貿易品目にも工業製品が目立ちます。
メキシコはNAFTA(アメリカとの自由貿易協定)を通じ、輸出の8割、輸入の5割が米国相手となっています。
米国企業から自動車部品や電気製品の部品を輸入して、完成させて再輸出する工程を担っているようです。

一方でこの関係の深さが、米国のメキシコ人労働者による海外送金や米国民への雇用圧迫などの問題につながっており、
自国民保護を掲げる米国のトランプ大統領は、NAFTAの内容を見直す方針を表明しています。

現状、メキシコとの国境沿いに壁を建設する構想は、予算上の問題から見送りになっていますが、この先何が起こるかは未知数です。
仮にアメリカがメキシコを手放した場合、貴重な工業国としてCELACがいち早く奪回の動きを見せるのではないでしょうか。

※メキシコは北米の国なんですね。中米の分類に当たると思っていたのですが、中米は南米と北米を結ぶパナマ海峡の国々を指すのだとか。


2 ドミニカ共和国(GDP : 721.9億ドル[世界第68位])

輸出 : 鉱物、医療機器、葉巻、電気機器、カカオ、綿Tシャツ、綿布
輸入 : 石油・石油関連品、天然ガス、医薬品、携帯電話、そら豆、バッテリー、ポリエチレン

全人口の70%が農村という農業国であり、金、銀、銅、ニッケルを産する鉱業も盛んです。
輸入品目には、石油製品や化学製品、電子機器、医薬品などがみられます。

3 グアテマラ共和国(GDP : 681.8億米ドル[世界第70位])

主要産業 : 農業、繊維産業
輸出 : 衣類、砂糖、バナナ、コーヒー、食用油
輸入 : 電気機器、自動車、ガソリン、化学工業関連製品
農業が国内総生産の4分の1、輸出の3分の2を占める農業国であり、コーヒー、砂糖、バナナを主要産品としています。
国際市場価格に影響しやすい農産品に依存するため経済が不安定しやすい弱点を持ちます。
そうした構造を改善するべく、政府は食品加工や繊維工業などの工業分野に力を入れているようです。

4 コスタリカ(GDP : 581.1億ドル[世界第75位])

輸出 : 医療器具、熱帯フルーツ、コーヒー、医薬品、集積回路
輸入 : 自動車、石油製品、携帯電話、医薬品、とうもろこし

コスタリカは、商品作物の輸出に依存する農産国でしたが、1960年代以降外資による工業化が進み、現在は農業国から工業国に転換しているようです。
輸出品には、熱帯フルーツやコーヒなどの農産品が並ぶ一方で、医療器具や集積回路などの工業製品も確認されます。
一方で石油製品や完成した自動車、コンピュータなどは輸入に依存しており、自国での生産は限定的なようです。


5 パナマ(GDP : 551.2億ドル[世界第76位])

輸出 : バナナ、エビなど魚介類、パイナップル、金属くず
輸入 : 鉱物、電気製品、自動車、化学製品、金属製品

パナマ運河を擁する水上運輸の要衝として運河からの交通料収入及び金融、観光といった第三次産業GDPの8割を占めています。
第三次産業に特化する一方で、第一次産業第二次産業は脆弱です。
工業製品〜日用品の大半を輸入に頼る状況に陥っており、経常収支の赤字が恒常的に続いています。


6 エルサルバドル(GDP : 267.1億ドル[世界第101位])

輸出 : 衣類、プラスチック製品、機械・電子機器、紙製品、砂糖
輸入 : 燃料、機械・電子機器、プラスチック製品、繊維製品原料(綿花、ニット織など)、医薬用品

エルサルバドルは、繊維産業が主要産業に含まれており、他国から輸入した生地を加工して輸出しています。
また農業分野が盛んで、コーヒー、砂糖、綿花の栽培が盛んです。
農業国でありながら自給に必要な量を栽培しきれておらず、穀物を輸入しています。
鉱山資源も無いため一応の工業化は果たしていますが、こちらも国内需要の全てをまかなえる規模ではありません。


7ホンジュラス(GDP : 213.6億ドル[世界第104位])

主要産業 : 農林牧畜業
輸出 : コーヒー、バナナ、パーム油、養殖エビ、養殖淡水魚
輸入 : 燃料、機械・電気部品及び関連製品、化学工業製品

IMFによって「重債務貧困国」に指定されているホンジュラスは、ニカラグアと並び中央アメリカで最も貧しい国とされています。
経済は農業依存であり、米国資本がカリブ海地域で始めたバナナプランテーション産業に依存してきました。
工業化の遅れも著しく、中米統合機構が設立された際には工業国エルサルバドルの市場として扱われ、国民の不満を高めたそうです。

8 ニカラグア(GDP : 130.5億ドル[世界第122位])

主要産業 : 農牧業(コーヒー、牛肉、金、豆、米、さとうきび)
輸出 : 衣類、電気導体、牛肉、コーヒー、金、葉巻タバコ、砂糖
輸入 : 医薬品、原油ディーゼル・ガソリン、自動車

ニカラグアの人口の40%が従事するとされる農業ですが、GDPに対する貢献は17%ほどと効率の悪い運営が目立ちます。
治安問題も堆積する上に、ハリケーン地震、干ばつなどの自然災害も南米で最も激しい国とされ、
主要産業である農業を支えるべき灌漑設備の未整備も加えて、経済は厳しいものとなっています。


9 ベリーズ(GDP : 17.4億ドル[世界第167位])

主要産業 : 観光業、農業、水産業
輸出 : 原油、砂糖、バナナ、衣類、水産品、糖蜜、木材
輸入 : 燃料、機械、車、機械輸送機、化学製品、薬品、食飲料品、たばこ

主要産業は農業であり、全外貨収入の約70%を占めています。
中米で最も経済の遅れた国だとされ、農業と観光業が経済の柱となっています。


以上は中米統合機構(ODECA) の加盟国となりますが、

南米地域に比べると鉱物資源が乏しいことも影響して、工業化の進展している国が多い印象を受けました。

資源依存の傾向が強い南米諸国連合にとって、一定の工業力を持つ中米は重要地域となるでしょう。

もっとも最近は、アメリカも中米との自由貿易協定を進めており、

2006年には、米国とコスタリカエルサルバドルグアテマラホンジュラスニカラグアドミニカ共和国の間に

米国・中米間自由貿易協定(DR-CAFTA)が発行されるなど、

いわゆる米州自由貿易地域の構想を示して、アンデス共同体やメルコスールなどの南米主体の経済統合に反発する動きを見せています。

ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)結成の決定も2011年と最近のことですから、

今後もアメリカと南米諸国との間で、中米市場を巡る争いが予想されます。

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