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ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の貿易構造-その3

まだ調査を終えていないラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の国々は、キューバを除いてカリブ共同体(CARICOM)の加盟国と共通しています。
ここではカリブ共同体をみながら、CELACの残りの国々を調査していきます。

カリブ共同体(CARICOM)は、イギリスの西インド植民地の地域統合を目指して1973年に設立されました。

加盟国には、カリブ海の英連邦加盟国の国々だけでなく南米のガイアナスリナム等も含まれており、

ラテンアメリカ・カリブ地域共同体の構成メンバーと一致しています。


2015年の名目GDPの順位ごとに加盟国を見ていきましょう。

1 トリニダート・トバゴ(GDP : 209.7億ドル[世界第107位])

主要産業 : エネルギー産業、鉄鋼製品、食料品、セメント
輸出 : 鉱物・燃料、化学製品、工業製品、食品
輸入 : 鉱物・燃料、工業製品、輸送機器、食品

西インド諸島で唯一、豊かな石油と天然資源の埋蔵があり、エネルギー資源がGDPの40%、輸出の80%を占める経済の中心になっています。
しかしそれに対する雇用は全体の5%ほどと、レンティア国家の傾向が見られます。


2 ジャマイカ(GDP : 139.5億ドル[世界第120位])

主要産業 : 観光業、鉱業、農業
輸出 : アルミナ、ボーキサイト、砂糖、ラム酒、コーヒー、化学製品
輸入 : 燃料、機械・輸送機材、食料その他消費財、建設資材

ジャマイカ経済を支えているのは鉱業だとされるように、一次産品の輸出が盛んです。
熱帯の気候をいかして、農業や商品作物、牧畜業の生産も強いです。
しかしながら、工業分野においても、食品工業や繊維業は整っており、成長産業でもあるようです。


3 バハマ(GDP : 89.4億ドル[世界第136位])

主要産業 : 観光業、金融業
輸出 : 化学製品、工業製品、粗製塩、ザリガニ、ポリエスチレン製品
輸入 : 鉱物・燃料、工業製品、輸送機器、食品

コロンブスが上陸したサン・サルバドル諸島が存在します。
バハマ文書で有名な通りタックスヘイブン租税回避地として知名度が高く、金融業と観光業が経済の中心になっています。


4 ハイチ(GDP : 82.6[世界第139位])

主要産業 : 観光業、農林水産業、公共事業、軽工業、運輸・通信業
輸出 : 衣類、加工品、カカオ、マンゴー、コーヒー
輸入 : 食料品、加工品、機械・輸送機器、燃料、鉱物原料

国民の3分の2が農業に従事する農業国ですが、農業を支える灌漑設備などの未整備により生産性は悪く、

慢性的な食料不足と栄養失調がはびこり、食料需要の大半を海外からの輸入と援助に依存しています。

輸入品目には、食料から工業製品まで並び、「西半球で一番貧しい」とされる物資不足の惨状を表しています。


5 バルバドス(GDP : 45.9億ドル[世界第151位])

主要産業 : 観光業、軽工業、農業
輸出 : 蒸留酒、砂糖、製糖、飲食品、化学製品、電子機器
輸入 : 燃料、機械、電子機器、車、建築材、化学製品

GDPの8割以上を観光業に依存しており、その他には製糖、ラム酒の製造業程度にしか産業が発展していません。
近年は、医療や製陶などの軽工業、漁業などの産業の多角化も試みられています。

工業製品の大部分を輸入に依存している構造が見受けられます。


6 アンティグア・バーブーダ(GDP : 14.0億ドル[世界第171位])

主要産業 : 観光業、建設業、軽工業
輸出 : 石油製品、機械、輸送機器、工業製品、食料・動物
輸入 :食料・動物、工業製品、輸送機器、加工製品、化学品、石油

他のカリブ海地域の国々と同様、観光業を基幹としており、GDPの8割近くを占めています。
農林水産業では、サトウキビ栽培のほか羊や山羊を中心とした牧畜が盛ん。
工業は、食品加工業と各種組み立て加工業のみが見られます。

主要な工業製品や食品の輸入過剰が慢性化し、貿易は経常赤字となっています。


7 セントルシア(GDP : 13,9億ドル[世界第172位])

主要産業 : 農業、観光業
輸出 : バナナ、衣類、ココア、アボカド、マンゴー、ココナッツ油
輸入 : 燃料、食料品、機械、輸送機器、化学製品

GDPの8割以上を観光業の収入に依存しています。
伝統的なバナナの生産地でありココアやコプラの生産も盛んです。

食料品を始め機械などの工業製品は輸入に依存しています。


8 グレナダ(GDP : 10.3億ドル[世界第175位])
主要産業 : 観光業、製造業、農業
輸出 : バナナ、ココア、ナツメグ、果実、野菜、衣類、魚介類
輸入 : 食料品、機械・輸送機器、工業製品、化学製品、燃料

カリブ海諸国のパターンを踏んで、観光業がGDPの8割近くを占めていますが、
農業品の生産が盛んな点が特徴的です。代表的な農産物としては、ナツメグ、バナナ、クローブ、シナモン、ココアなど。
自給しきれない食料品や工業製品は輸入に頼っています。


9 セントクリストファー・ネイビス(GDP : 9.0億ドル[世界第177位])
主要産業 : 観光業、製造業
輸出 : 電子機器、機械、飲料、たばこ
輸入 : 電子機器、機械類、燃料、食料品

他のカリブ海諸国と同様に観光業がGDPの主力となっていますが、GDPに占める観光業の割合は7割と若干小さめです。
その理由は、電気機械の組み立て業が産業として確立しているためで、貿易の大半は米国が相手国となっています。

輸入に関しては、他カリブ海諸国同様、消費財から工業製品まで自給を諦めて輸入に頼っているようです。


10 セントビンセント・グレナディーン(GDP : 7.8億ドル[世界第179位])

主要産業 : 観光業、農業
輸出 : 農産品、葛粉、テニスラケット
輸入 : 鉱物・燃料、食料品、一般機械、化学肥料

輸出に占める食料品の割合は7割を超えます。次いで工業製品が2割を占めています。
輸入は、工業製品が65%以上、次いで食料品が占めています。


11 ドミニカ国 (GDP : 5.2億ドル[世界第182位])

主要産業 : 農業、観光業、製造業
輸出 : 燃料、バナナ、石鹸、野菜、グレープフルーツ、オレンジ
輸入 : 一般機械、食料品、化学製品

ドミニカ共和国ではありません。
輸出は、バナナを中心とする農業と石鹸生産を中心とする小規模な製造業を根幹とします。
輸入は、一般機械から食料品まで大部分を輸入に依存しているようです。


以上のように、カリブ共同体(CARICOM)を構成する国々は、カリブ海地域に点在する熱帯の国です。

観光収益をGDPの柱とする国が多く、産油国トリニダート・トバコを除けばこれといって目立った資源国もありません。

パナマやバハナのようなタックスヘイブンの国も見られました。

貿易構造的には、自給自足の望めない経常赤字国なので、食料供給の他には市場としての活躍くらいしか期待できないかもしれません。

政治的には、観光名所を地域ブロックの入り口としてプッシュすることで観光客の呼び込みに使えるかもしれません。


さいごに、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体に加盟していながら、南米諸国連合やカリブ共同体の同盟外であるキューバです。

12 キューバ(GDP : 807億ドル[世界第位])

主要産業 : 観光業、農林水産業、鉱業、医療・バイオ産業
輸出 : 鉱物、化学品・衣料品、食料品、タバコ
輸入 : 燃料類、機械・輸送機械、食料品、工業・化学製品

キューバは、北米の分類になります。

1960年代を騒がせたキューバ危機の舞台であるキューバは、今日に至るまで社会主義を標榜しています。

反米主義を標榜する「米州ボリバル同盟」をベネズエラと共に主導するなど、米国に譲歩することなく独自の路線を貫いています。

米州ボリバル同盟には、ボリビアエクアドルなど南米諸国の加盟が目立つため、

ラテンアメリカ・カリブ諸国連合は米国に対する適性ブロックとなる可能性が高そうです。

輸出は、鉱物資源、砂糖、海産物の一次産品の他に医療機器などの工業製品も見られます。

輸入も、カリブ海諸国同様に、幅広い分野を対外依存しています。

2011年に市場経済の導入を部分的に決めたそうです。


反米主義の米州ボリバル同盟が加わればCELACの性格も反米色が強くなりそうです。

実際、南米諸国連合はアフリカ連合との共同安全防衛に向けて動き出しています。


こうした動きを見ると、どうやら米国覇権への挑戦というのは本当のようですね。

一時中国包囲網という言葉がメディアを賑わせましたが、米国も少しずつ反米国家に囲まれつつあるようです。