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アフリカ連合(AU)の貿易構造-2 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS

アフリカの統一を目指して創設された複数の地域ブロックのうち、今回は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の貿易構造を調べます。

アフリカ全土を分割する形で作られた地域ブロックは、

域内での統合が行われ、最終的には、この統合された地域ブロックをパズルのように結合することで

アフリカの経済圏・市場・政治組織を単一の連合体に統一する見込みです。


西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とは

西アフリカ諸国経済共同体は、1975年のラゴス条約によって設立された経済共同体です。

”Economic Community of West African States”の頭文字をとったECOWASの略称を持ち、

アフリカ西部の15カ国から構成されています。

加盟国は、

ベナン
ブルキナファソ
カーボベルデ
ガンビア
ガーナ
ギニア
ギニアビサウ
コートジボワール
リベリア
マリ
ニジェール
ナイジェリア
セネガル
シエラレオネ
トーゴ

と日本人には馴染みの薄い15カ国です。

ECOWASが包含する国々は最低水準の経済力を持つ後発開発途上国が目立ち、紛争地域に該当します。

そこでECOWASの活動は、経済統合よりもむしろ安全保障分野での協力関係がメインとなりました。

実際にECOWASは、停戦監視グループ(ECOMOG)や紛争予防・管理・解決・平和維持・安全保障メカニズム(Mechanism for Conflict Prevention, Management, Resolution, Peace-keeping and Security)の設置を行い、

実際の紛争での活躍を国際社会から高く評価されています。
(2002年のコートジボワール内戦の調停、リベリアコートジボワールの紛争への監視団の派遣、マリの軍事クーデターに対する制裁など)

域内での経済力が優位なナイジェリア、ガーナ、セネガルコートジボワールが指導的地位を占めているそうですが、

コートジボワールが内戦で資格を停止されるなど、政情はかなり不安定なようです。



1 ナイジェリア( GDP : 4059.5億ドル [世界第27位] )

主要産業 : 農業、原油天然ガス、通信など
輸出 : 原油及び天然ガス、鉱物製品
輸入 : 機械、電気製品、輸送機器

GDPと人口規模(1.86億人)でアフリカNo.1であり、高い経済成長が見込まれている国です。

石油及び天然ガスが輸出の94%を占めるとされます。(2011)

しかしながら、潤沢な石油収入があるものの、政府の腐敗により国民への還元は行われておらず、

石油収入150億ドルのうち100億ドルが使途も不明なまま消えていく腐敗ぶり。

その結果、国民の大多数が貧困に陥っています。

この貧困率から国民の購買力が低く、巨大人口のポテンシャルを生かしきれていません。

かつては、原油収入に依存した産業構造でしたが、近年は多角化に成功しており、サービス業がGDPの17.5%、金融・不動産が14.6%を占めており、

2008年にはGDPの3%未満に過ぎなかったIT産業や製造業も、2013年にはそれぞれ12.2%と6.8%と拡大を続けています。

熱帯雨林の豊かな自然を背景に農林水産業も盛んです。

主食であるキャッサバやヤムイモの生産量は世界一、また輸出作物としてカカオや天然ゴム、ゴマの栽培も行われています。


ちなみにインドの原油需要の20~25%はナイジェリアの資源で賄われているようです。


2 ガーナ( GDP : 432.6億ドル [世界第85位] )

主要産業 : 農業(カカオ豆)、鉱業(貴金属、非鉄金属、石油)
輸出 : 原油、金、カカオ豆、カカオペースト、カカオバター
輸入 : 石油、原油、金、米、薬剤、食料品

ガーナの産業は一次産品に依存しており、国際価格及び天候の影響を受けやすい構造になっています。

輸出は、貴金属が43%、鉱物性燃料が25%、ココア・ココア製品が12%、木材・木材製品が4%となっています。

一方の輸入は、自動車が17%、ボイラーが15%、電気・電子機器が7%、鉄鋼製品が4%と工業製品に需要が偏っています。

国土の北部と中部に広がるサバンナの気候や豊かな水資源を利用して、太陽光発電水力発電など再生可能エネルギーの利用にも積極的です。

西アフリカ8カ国で流通するCFAフランを通貨に設定している国の一つです。


3 コートジボワール( GDP : 354.9億ドル [世界第93位] )

主要産業 : 農業(コーヒー、ココア)、石油・天然ガス
輸出 : カカオ豆、原油・石油製品、船舶、天然ゴム
輸入 : 原油・石油製品、船舶、米、魚類、医薬品

経済の一次産品依存を改めるべく、政府も多角化の努力を行っていますが、成果は出ていません。

主要産業は、輸出量世界一のカカオ、コーヒー、芋、天然ゴムの生産を中心とする農業

また熱帯雨林を利用した林業、工業(食品加工、石油製品)も盛んです。

輸出の半分程度が食料品だとされ、中でもカカオ関連品の輸出が食料品輸出の半分以上、輸出全体の20%以上を占めています。

コートジボワールは1993年から石油生産を開始しており、原油関連の製品がカカオに次ぐ輸出額を占めています。

輸入品は、工業製品、続いて原油、食料品が続いています。

西アフリカ8カ国で流通するCFAフランを通貨に設定している国の一つです。


4 セネガル( GDP : 147.9億ドル [世界第115位] )

主要産業 :  農業(落花生、泡、綿花)、漁業(まぐろ、かつお、えび、たこ)
輸出 : 魚介類、ピーナッツ、石油製品
輸入 : 石油製品、機械類、穀物、医薬品

一人当たりのGDPで世界平均の10%に過ぎない後発開発途上国です。

魚介類やピーナッツなどの食料品、リン鉱石、石油製品などを輸出して

食料品、資本財、燃料を輸入しています。

またセネガルには、西アフリカ諸国中央銀行の本部が置かれていることで有名です。

西アフリカ諸国中央銀行より発行されるCFAフランは、EUの通貨ユーロと固定されており、セネガルを始め


5 マリ( GDP : 139.6億ドル [世界第119位] )

主要産業 : 農業(綿花、米、ミレット、モロコシ)、畜産、鉱業(金)
輸出 : 綿花、金、家畜
輸入 : 石油製品、資本財、食料品

輸出品目は、綿花(43%)、金(21%)、家畜。

輸入品目は、石油、機械設備、建築資材、食料品、衣類

となっています。

マリもまた、西アフリカ諸国中央銀行発行のCFAフランを通貨として使用しています。


6 ブルキナファソ( GDP : 119.0億ドル [世界第125位] )

主要産業 : 農業(粟、とうもろこし、タロイモ、綿及び牧畜)
輸出 : 金、綿花、畜産品
輸入 : 資本財、石油製品、食料品

ブルキナファソは、西アフリカの内陸国で外洋への出口を持ちません。

そのため、外資流入も少なく工業の発展も限定的で、産業は農業や畜産業、鉱業に偏っています。

主要な輸出品目は、金、綿花、家畜、胡麻。

輸入品目は、資本財や石油製品、食料品です。

ブルキナファソもまた、自国通貨としてCFAフランを採用しています。


7 ベナン( GDP : 85.8億ドル [世界第137位] )

主要産業 : 農業(綿花)、サービス業(港湾業)
輸出 : 綿花、カシューナッツ、セメント
輸入 : 食品、資本財、化学製品

冷戦時代に社会主義を標榜したことから中国と関係が深いです。

ベナンは、カシューナッツの主要生産国として知られ、国民の大半が自給的な農業に従事しています。

綿花が輸出収入の80%を占めるとされています。

世界屈指の埋蔵量を誇るギニア湾に面していながら石油生産は停滞しており、石油の国内需要分は隣国のナイジェリアからの輸入で賄っています

CFAフランを通貨として採用しています。


8 ニジェール( GDP : 74.8億ドル [世界第141位] )

主要産業 : 農牧業、鉱業
輸出 : ウラニウム、石油・ガス、金
輸入 : 資本財、食品、石油製品

ニジェールウラン埋蔵量は世界第3位の規模を持ちます。

現在各国政府は世界のクリーン化に一丸となって対処する構えを見せており、

再生可能エネルギーの利用とともに、

原子力発電の導入に積極的な国がインドをはじめ、

多く見え始めています。

ニジェールウラン生産はアフリカ1位であり、

原子力発電需要の高まりに合わせてニジェールの戦略的重要性も上昇することが考えられます。

ニジェールもまた通貨としてCFAフランを採用しています。


9 ギニア( GDP : 65.1億ドル [世界第146位] )

主要産業 : 農業(米、キャッサバ)、鉱業(ボーキサイト、アルミナ、金、ダイアモンド)
輸出 : ボーキサイト、金、ダイアモンド、コーヒー、農産品
輸入 : 資本財、石油製品、輸送機器、食料品

大西洋に面したギニアは、鉱物資源に恵まれています。

アルミニウムの原料となるボーキサイトの埋蔵量が世界最大だとされ、世界全体の埋蔵量の3分の1がギニアの地中に眠っているとされます。

ダイアモンドや金の採掘も豊富で、外資による採掘が盛んです。

国民の大半は自給的な農業に従事しており、生産した農産品の輸出も行われています。


10 トーゴ( GDP : 44.3億ドル [世界第152位] )

主要産業 : 農牧業(綿花、カカオ、コーヒー)、鉱業(リン鉱石)
輸出 : リン酸塩、綿花、セメント・レンガ
輸入 : 資本財、食品、石油製品

国民の約60%が農業に従事する農業国です。

資源も枯渇により勢いが衰え、輸出の30%は綿花、コーヒー、ココアの農産品によって占められています。

その他の主要輸出品目は、リン酸塩、セメントなどが挙げられます。

通貨としてCFAフランを採用しています。


11 シエラレオネ( GDP : 39.8億ドル [世界第154位] )

主要産業 : 鉱業(ダイアモンドなど)、農業(コーヒー、ココア)
輸出 : 鉄鋼、鉱物、ダイアモンド
輸入 : 石油、資本財、食料品

シエラレオネでは、人口の80%が自給自足農業に従事しています。

輸出の約50%を鉱物資源に依存しており、中でもダイアモンドは、産出量が世界第10位にランクインするほど豊富です。

1991年-2002年まで続いた内戦を長期化させた要因の一つが、このダイアモンドの収入だとされています。

紛争ダイアモンドとも言われ、内戦当事者の財源に使われている場合、

資源の買取りの求めがあってもを業界各社は買い控えるべきとの訴えがなされています。


12 リベリア( GDP : 21.2億ドル [世界第164位] )

主要産業 : 鉱業(鉄鉱石、金、ダイアモンド)、農林業(天然ゴム、木材)
輸出 : 鉄鉱石、木材、ゴム、ダイアモンド、金
輸入 : 加工品、機会、運搬機器、食料品、石油製品

1989年より相次ぐ内戦により、インフラの破壊や高度人材の流出が起き、経済は未発達のまま停滞しています。

木材とゴムが主要輸出品目であり、ダイアモンドと金の採掘も行われています。

原料となる資源や鉱物が豊富なため、外資系企業が多く進出して採掘を行っています。


13 カーボベルデ( GDP : 16.4億ドル [世界第168位] )

主要産業 : 農業(バナナ、サトウキビ)、漁業(マグロ、ロブスター)
輸出 : 燃料、魚介類、医療、靴
輸入 : 消費財、中間財、資本財、石油

カーボベルデは、モーリタニアの西岸から約375km離れた先に浮かぶ島嶼群です。

50万程度に過ぎない人口のためGDPは少ないですが、

安定した政治と経済ステムが評価され、2007年に後発開発途上国の指定を外されています。

カーボベルデは、干ばつによる深刻な水不足に悩まされており、構成する10つの島のうち4つでしか農業が行えません。

そのため、GDPの約7割はサービス業から計上されています。

輸出に関しては、漁業や鉱物、縫製品などをわずかに輸出しています。

しかしながら、農業不振から食料品の9割を他国からの輸入に頼っており、財政赤字に陥っています。

旧宗主国ポルトガルと関係が深く、主要な貿易相手国となっています。


14 ギニアビサウ( GDP : 11.6億ドル [世界第174位] )

主要産業 : 農林水産業(落花生、カシューナッツ、エビ、いか)
輸出 : カシューナッツ、落花生、魚・エビ
輸入 : 食料品、石油製品、資本財

経済が全く発展しておらず、産業と呼べるものがないと評価されています。

国民の約8割は米作を中心とした農業に従事していますが、設備の遅れにより、国内需要分すら満たせない年もあるほどです。

カシューナッツや落花生などの商品作物をわずかに輸出しています。

米などの食料品、燃料、資本財を他国からの輸入に頼っています。

ギニアビサウも通貨としてCFAフランを採用しています。


15 ガンビア( GDP : 9.7億ドル [世界第176位] )

主要産業 : サービス(貿易・輸送・通信・観光)
輸出 : 落花生、穀物類、衣類
輸入 : 石油製品、穀物類、食料品


周囲をセネガルに取り囲まれて存在する、アフリカ最小の国土面積を持つ国家です。

国土には鉱物も石油もないため、国民の75%が自給的な農業・牧畜に従事しています。

わずかに発展が見られる工業も、食料加工や石鹸、衣服などの軽工業に限られ、規模も小さいものです。

GDPに占める製造業の割合は6%に過ぎません。

輸出品の大半は、ナッツ類、繊維、木材などの一次産品が目立ちます。

一方の輸入品は、石油製品や食料品で占められています。



さいごに

アラブ・マグレブ連合が欧米企業の生産委託先及び原油供給国となっていたのに対し

西部アフリカの地域ブロックは、加盟国の8割近くが後発開発途上国である一次産品依存国が目立つように感じました。

域内GDPが1位のナイジェリアでさえ、資源依存と政府の腐敗、また人口爆発により貧困が蔓延しています。

貧困層はやがて社会に対する不満を持ちはじめ、鬱屈した感情は暴力や薬物依存となって表れます。

実際に西アフリカ諸国では紛争が相次いでおり、

内戦が慢性化している加盟国もある中でECOWASは、

停戦監視グループ(ECOMOG)や紛争予防・管理・解決・平和維持・安全保障メカニズムの設置による問題解決を図っているようです。

実際、リベリア内戦やシエラレオネ内戦では、ECOWAS停戦監視団が派遣され

一定の成果をあげたことから国際社会からも高く評価されています。

しかしながら、紛争の原因は貧困であり、武力衝突に対して第三者からの軍隊で横槍を入れるだけでは問題解決として不十分な感覚は否めません。

ECOWASの国々は、市場化による貧困率の上昇により国民の大多数が貧困に陥っている国ばかりです。

根本の貧困の解決なくして、紛争問題の根本解決も望めないでしょう。

しかしながら、ECOWASが抱える紛争問題に対しては、解決に向けて前進していることは間違いありません。



しかしながら産業構造の脆弱さには依然問題が否めません。

地域ブロックとしては、自給自足のために工業国を得る必要があり、現状の加盟国だけではブロックとしての生産能力が不十分です。

とりあえず、ナイジェリアで汚職により秘匿されるオイルマネーを社会に還元すればリビア型のインフラ整備と高度人材の育成も可能になるはずです。

調べた中では中国との関係を深めているアフリカの国が目立っており、

個人的には今後先端技術を手に入れた中国の産業移転の受け皿になることで工業化を実現する可能性もあるのかなと感じました。


とはいえ、熱帯雨林の国でカカオやコーヒー、落花生などの農産品の栽培に適していることと

ニジェールウラン(アフリカNo.1の埋蔵量)やギニアボーキサイト(世界最大の埋蔵量)など地下資源の豊富さは地域特有の武器ですね。

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