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アフリカ連合(AU)の貿易構造-3 中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)とは

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)は、1983年に設立された経済共同体で

アフリカ中部及び周辺に存在する10個の国から構成されています。

現在では、

アンゴラ
ガボン
カメルーン
コンゴ共和国
コンゴ民主共和国
サントメ・プリンシペ
赤道ギニア
チャド
中央アフリカ
ブルンジ

が加盟しています。

加盟国は、大航海時代にヨーロッパからアジアへのルートとなったアフリカ西海岸地方に集中しており、

旧植民地の歴史を持つ国が多いです。

そのため、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)と同様に

貧困と紛争が慢性化する国が散見されます。

では、見ていきましょう。


1アンゴラ( GDP : 958.2億ドル [世界第62位] )

主要産業 : 鉱業(石油、ダイヤモンド)、農業(とうもろこし、砂糖、コーヒー、)
輸出 : 原油、ダイヤモンド、石油製品
輸入 : 機材・電化製品、車両及び部品、医療品

アンゴラポルトガル植民地時代からブラジルへの奴隷輸送の拠点として栄えていました。

1764年より、ポルトガルが宿泊施設や工場の設立など国内開発を進め、奴隷制社会とは異なった路線を進みます。

ところが1975年にアンゴラからポルトガル人が去り2002年まで続く内戦が勃発すると、発達したインフラは壊され、あちこちに地雷が埋められ、経済活動は停滞しました。

しかしながら、国土には豊富な石油とダイヤモンドが眠っており、大きなポテンシャルを持っています。

油田の開発には、シェブロンオイルやブリティッシュペトローリアムなどの外資が大きな役割を果たしており、

2007年の時点でアンゴラの輸出の9割が石油に占められるほど採掘が盛んでした。

近年、内戦時代から親しい関係(現政党に資金援助をしてきた)の中国から原油の輸入が増加しており(石油輸出の50%が中国向けと言われる)、

中国資本から様々な事業での資金援助が降りています。

結果的に、サブサハラ(サハラ砂漠以南の国々)における石油産出量では、ナイジェリアに次ぐ規模にまで成長しています。

しかしながら近年起きた原油価格下落の影響を受けており、

石油依存型の経済からの脱却を図るべく、農業や製造業の育成を進め、産業の多角化を図っています。

人口2200万人程度と規模的には小さいながら、2011年の時点で人口の36%は1日1.25ドル未満で生活する貧困層だとされます。

政府の汚職や腐敗が絶えず、あるいは石油収入は外資に掌握され、国民には十分に還元されていないようです。


2コンゴ民主共和国( GDP : 416.2億ドル [世界第88位] )

主要産業 : 農林水産業(パーム油、綿花、コーヒー、木材、天然ゴムなど)、鉱業・エネルギー(銅、コバルト、ダイヤモンド、金、錫、コルタン、原油)
輸出 : 卑金属、金、原油、コーヒー
輸入 : 資本財、消費財、エネルギー、原材料、食料品

アフリカでは4番目の人口規模を持つ国です。

コバルト、金、銀、錫、ウランボーキサイト、プラチナなどを産する世界トップクラスの鉱産資源国であり、輸出の9割を鉱産資源が占めています。

中でもコバルトは、全世界の埋蔵量の65%がコンゴ共和国にあるとされ、ダイヤモンドの埋蔵量も全世界の30%以上、

産業機器に欠かせないコルタンもコンゴが70%の埋蔵量を持つとされます。

コンゴの未開発の鉱山に眠る鉱石の価値を24兆ドル以上と見積もる評論家もいるほど、コンゴの資源は豊富です。

しかしながら、コンゴ民主共和国の経済は停滞しており、1人あたりGDPは467USドルだとされ、後発開発途上国の中でも低い数字となっています。

鉱物の採掘はインフォーマルな形式で行われ、計上されるべき数字の多くがGDPから抜け落ちています。

膨大な資源を宿しながら、GDPの統計の57.9%が農業由来とされているのは、その証拠の一つといえるでしょう。

輸出品目は、地下資源に偏っており、

輸入品目は、生産機器などの資本財、輸送機器、燃料、食料品となっています。


3 カメルーン( GDP : 293.3億ドル [世界第97位] )

主要産業 : 農業(カカオ、綿花)、鉱工業(石油、アルミニウム)
輸出 : ココア、木材、石油製品、綿花
輸入 : 石油製品、機械機器、穀物、魚介類

石油以外の地下資源には恵まれておらず、石油、ココア、コーヒー、綿花などの一次産品が輸出の主力になっています。

独立以後、内戦やクーデターの経験が一切ない安定国家だとされ、

石油埋蔵量とIMFの支援も受けた安定感を背景に、国際社会からの信任も厚いものとなっています。

産業的には、自給自足農業が盛んで、一次産品の加工を中心とする工業やサービス業も成長しています。

旧フランス植民地であるカメルーンには、中部アフリカ諸国中央銀行(BEAC)の本店が置かれ、BEAC発行のCFAフランが通貨として採用されています。

輸入品目には、エネルギー資源、資本財、トラック、乗用車、食料品が見られます。


4 ガボン( GDP : 142.7億ドル [世界第116位] )

主要産業 : 鉱業(原油マンガン)、農林業(木材、ヤシ油)
輸出 : 石油製品、鉱石、木材
輸入 : 機械類、食料品、車両、プラスチック


人口200万人にも満たない小規模な国家で、中央アフリカ諸国経済共同体の本部が置かれています。

1960年にフランスから独立して以来、内戦やクーデターを経験していません。

国土の80%以上が森林に覆われており、世界第4位の生産量を誇るマンガンなど地下資源も豊富です。

1970年代に国家が面するギニア湾から油田が発見されるまでは、木材とマンガンの輸出に頼っていました。

しかし今日では、GDPの50%、輸出の80%を頼るほど石油に依存した経済構造が出来上がっています。

食料生産が極めて貧弱であり、食料品の大半を輸入に頼っています。

ガボンもまた旧フランス植民地であり、自国通貨としてCFAフランを採用しています。


5 赤道ギニア( GDP : 116.4億ドル [世界第126位] )

主要産業 : 鉱業(石油、液化天然ガス)
輸出 : 石油製品、鉱石、化学品、機械類
輸入 : 船舶、機械類、飲料品、鉱石

伝統的にカカオとコーヒーなどの商品作物プランテーションの貧しい農業国でした。

しかし、1980年代よりギニア湾の油田調査が始められ、1992年にビオコ島沖で油田が発見されると、

主産業は農林水産業から鉱工業に移転するようになります。

人口122万人の小国家であり、オイルマネーの存在から一人当たりのGDPは38,600USドル(2016)とアフリカ大陸では最も高く、

先進国並みの高水準になっています。

しかしながら分配機能の不全から国民の間の格差は広く、7割が国民が貧困にあるとされています。


6 チャド( GDP : 101.0億ドル [世界第134位] )

主要産業 : 農業(綿花)、牧畜業、原油生産
輸出 : 石油、畜産物、綿花
輸入 : 一般機械、輸送機械、電気機器、食料品、衣料品

フランスから独立して以降、内戦やクーデターなど混乱が相次いでおり、インフラは破壊され未整備状態にあります。

加えて、盆地で内陸の地理的位置、国土の3分の2を占める砂漠、政情不安などの条件が重なり、経済は非常に停滞しています。

アメリカの「Human Development Index」によると、チャドは世界で7番目に貧しい国であり、国民の80%が貧困層に該当するとされます。

人口の80%以上は、自給自足的な農業や牧畜に従事しており、食料供給は気候に左右されます。

油田の発見と開発が行われるまでは、伝統的に綿花が輸出の80%を占める主力品目でしたが、

石油の輸出が始まると、石油が輸出の9割以上を占める主力品目となります。

旧フランス植民地の国としてCFAフランを通貨として採用しています。

アメリカのシンクタンクに失敗国家第2位と評されるほど、国家機能の不全に陥っているようです。


7 コンゴ共和国( GDP : 79.6億ドル [世界第140位] )

主要産業 : 鉱業(石油)、林業
輸出 : 原油、木材
輸入 : 資本財、消費財、食料品

コンゴ民主主義共和国がベルギーの旧植民地であったのに対し、

コンゴ共和国はフランスの旧植民地となります。

「元々同じ国だったけど分割統治により別々に独立した。」

といった複雑な経緯はありません。

あえて2国の違いを挙げるとすれば、石油産出量を挙げることができるでしょう。

コンゴ民主共和国は、鉱物資源が豊富な一方で石油産出量は限定的でした。

しかしこのコンゴ共和国では石油生産が盛んで、石油の輸出額が輸出総額の約9割を占めています。

旧フランス植民地として、自国通貨にCFAフランを採用しています。


8 ブルンジ( GDP : 31.3億ドル [世界第159位] )

主要産業 : 農業(コーヒー、茶など)
輸出 : コーヒー、茶、製造品
輸入 : 資本財、石油製品、食料品

ツチ族フツ族の間で行われた長年の内戦と経済制裁によって経済は壊滅状態に陥っています。

さらに狭い国土に1000万人を超える人口が居住する人口密度の高さが災いし

一人当たりのGDPは280ドル(2016 : 世界銀行)と世界全体でも最も貧しい数値になっています。

国民の70%は農業部門に従事しているとされますが、土地の侵食やインフラの不備のため、食料自給率は25%にとどまっています。

輸出品目もコーヒー(外貨収入の8割)、茶、綿花、砂糖、皮革などの農産品に限られています。

輸入品目、資本財、石油製品、食料品が見られます。


9中央アフリカ( GDP : 17.8億ドル [世界第166位] )

主要産業 : 農業(綿花、コーヒー、タバコ)、林業(木材)、鉱工業(ダイヤモンド、金、食品加工、木材加工)
輸出 : 木材、ダイヤモンド、綿花など
輸入 : 石油製品など


2016年は8970万ドルの輸出に対し、輸入が3.74億ドルの輸入過剰に陥るなど

厳しい経済状況にあります。人口の9割が1日2ドル以下の貧困層だとされ、後発開発途上国に指定されています。

経済は、第一次産業が主力のプランテーション的なモノカルチャー経済とされ、綿花やコーヒーを輸出しています。

しかし近年は、ダイヤモンド鉱床の開発や木材の輸出が開始されており、

輸出の約16%を木材、約54%をダイヤモンドが占めるようになっているようです。

とはいえ問題は多く、違法業者によるダイヤモンドの不法輸出などが相次いでおり、制度面の改善が求められています。

中央アフリカ共和国も旧フランス植民地として、通貨にCFAフランを採用しています。


10 サントメ・プリンシペ( GDP : 3.5億ドル [世界第184位] )

主要産業 : 農業(カカオ豆など)
輸出 : カカオ豆、コプラ、コーヒー
輸入 : 機械、食料品、石油製品

長年、カカオの栽培に特化してきた農産国で、2003年の輸出の99.3%がココア豆を占めていました。

しかし近年同国近海で石油鉱床の存在が確認されたことから、

新たな外貨獲得手段としての活躍と産業構造の改善に期待が集まっています。

人口20万人程度の島国で、一見観光業にも適しているように見えますが、

インフラの未整備やマラリアの存在などが発展の足かせとなっているようです。

輸出品目には、ココア豆を中心にコーヒー、コプラ、パーム油などが見られます。

一方の輸入品目としては、資本財、機械機器、石油製品、食料品が挙がっています。

輸入の大半を旧宗主国ポルトガルから受け取っています。







さいごに

これまでアフリカ北部のアラブ・マグレブ連合(AMU)と西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)を調べてきましたが、

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)にも同じ傾向が見られました。

つまり、域内で最も優位な国でも、工業化の仕組みが整っていない資源依存国家ということです。

いくらGDPが相対的に高くても、政治システムの未熟さから富の分配の偏りも大きく、近代化の目処も立っていません。

そんな中、近年では中国が影響力を伸ばそうとしている点も概ね共通していました。


中央アフリカに限っていえば、

独立以後に紛争の相次いだ国は、政治リスクに対する投資家の不安を解消することに失敗し、いまだ貧困線を彷徨っている様子が伺えました。

特に、カメルーンガボンの安全な国には欧米企業の設備投資が下され、域内での経済力は高い水準に達していました。

一方で、紛争やクーデターが相次いだチャドやコンゴ共和国中央アフリカブルンジなどの国では、

豊富な経済ポテンシャルを期待されながら、インフラの破壊や投資家不安のため開発が停滞し、域内ランキングも下位に落ちぶれています。


ECCASと同じ治安問題を抱える西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)では、安全保障のための共通組織の設立によって紛争問題に対処しています。

ECCASにおいても武力行使すら辞さない有効性のある対処が求められるでしょう。

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