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アフリカ連合(AU)の貿易構造-4 南部アフリカ関税同盟(SACU)

南部アフリカ関税同盟(SACU)とは

南部アフリカ関税同盟(SACU)とは、1910年に発効した世界初の関税同盟とされた同盟で、

南アフリカ共和国ボツワナレソト、スジワランドの4カ国の間で結ばれましたが、

1990年にナミビアが加わり5カ国になります。

2016域内合計
GDP : 3258.4億
人口 : 63.43人

南アフリカの地域ブロックには、「南部アフリカ開発共同体(SADC)というより広域なものも存在するのですが、

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)と重複する国々が目立ちます。

そのため、本記事ではSACUを優先することにします。


1南アフリカ共和国( GDP : 2941.3億ドル [世界第 39 位] )

主要産業 : 農業(畜業、穀物、青果、羊毛、皮革)、鉱業(金、プラチナ、鉄鉱石、石炭、銅など)、工業(食品、製鉄、化学、繊維、自動車)
輸出 : 貴金属、鉱物製品、化学製品、食料品、繊維製品、機械製品、自動車
輸入 : 食料品、鉱物製品、機械製品、自動車、自動車部品、化学製品、繊維製品

域内GDPの合計額の約90.3%を1国で占めています。

BRICSの一角を占める南アフリカ共和国は、サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカの国々)では2番目の経済国だとされますが、

サブサハラの諸国の中で最もGDPが大きいナイジェリアは石油資源に依存する1次産品依存国です。

そのことを考慮すれば、実質のNo.1は、工業力を備えた南アフリカ共和国といえるでしょう。

アパルトヘイト廃止後の1996年から経済自由化を推進しており、結果的に外資導入による産業の多角化に成功を収めています。

分野としては、鉱物、農業、漁業、製造業、組み立て業、食品加工、縫製業、情報通信業、エネルギー、金融、不動産、観光、小売業など広範に及びます。
その中で輸出の主力は鉱工業が占めており、

GDPに占める割合は産業の多角化により1970年の21%から2011年の6%まで減少したものの

輸出の約60%を占めています。

プラチナ生産は世界全体の77%を占め、

クロミウムの45%、パラジウムの39%、バーミキュライトの39%、バナジウムの38%、ジルコニウムの30%・・・金の18%などなど

豊富な鉱物資源に恵まれています。

農業品の生産も盛んで、チコリー(4位)、グレープフルーツ(4位)、穀物(5位)、とうもろこし(7位)、柑橘類、サトウキビ、羊毛などなど

農産品も豊富です。

工業においても、食品、繊維などの軽工業から、先進国の自動車企業の受け入れによる重工業など広く発展しています。

他のアフリカ諸国にこれといった工業国が見られない中で、

南アフリカ共和国は、アフリカ最南端に位置する持ち前の地理的条件を生かして、豊富な工業力を備えています。

現時点でまだエジプトなどの調査を終えていませんが、アフリカの中で有望な工業国であることは間違いありません。

ちなみに、1987年の時点では、ヨハネスブルク証券取引所に上場していた全企業の83%がイギリス系のアングロ・アメリカン及び地場財閥3社によって支配されていたようです。


2 ボツワナ( GDP : 150.2億ドル [世界第114位] )

主要産業 : 農業(モロコシ、トウモロコシ)、畜産(牛、羊)、鉱業(ダイヤモンド、銅、ニッケル、石炭)、工業(繊維製品、食品加工)
輸出 : ダイヤモンド、銅、ニッケル、機械
輸入 : 機械・電気製品、燃料、食料品、車両

ボツワナ南アフリカ共和国の北部に位置する内陸国で、

1966年の独立以降、1999年まで平均9%の経済成長率を遂げてきた成長国として知られています。

ボツワナは、ロシアに次いで世界第2位のダイヤモンド生産量を誇っており、

輸出の主力は、ダイヤモンド(90%)などの鉱物になっています。

干ばつや土地の侵食の問題により耕作に適した土地は国土の0.7%しかありません。

そのため、農業セクターはGDPの2.4%(2015)と農業国の多いアフリカ諸国の中では低い数字に留まっており、

国民の半数は自給自足的な農業・牧畜に従事しているものの、国内需要の10%ほどしか賄えていません。

穀物の多くは、南アフリカ共和国からの輸入に依存しています。

工業部門は、生産の多い牛肉の加工を中心とする食料加工など、軽工業は発展しているものの、

現在のところ重工業やハイテク産業はほとんど未発達だとされています。

独立以後、クーデターや内乱は一切経験しておらず政局は安定しています。

政情の安定感と30年間の経済成長を背景にインフラ整備も進んでおり、

ガス水道電気、交通網などの基本インフラストラクチャーや携帯電話網、ITインフラも都市部を中心に整えられています。

経済は、ダイヤモンド依存構造からの脱却を目指して外資導入により産業の多角化を図っていますが

国家の基礎が整っているため、実を結ぶ可能性は十分にあります。

内陸国であるため移動の困難が発生しますが、南アフリカとの間には国際列車や定期長距離バスが頻繁に運行しています。

南アフリカが経済発展を遂げた後の次なる投資国として化ける可能性大といえるでしょう。

唯一の問題であるHIVの蔓延を克服できるかが今後の発展の鍵を握っています。


3 ナミビア( GDP : 106.5億ドル [世界第132位] )

主要産業 : 農業(牧畜)、鉱業(ダイヤモンド、銅、ウラン亜鉛)、漁業(あじ、えび、かに)
輸出 : ダイヤモンド(33.5%)、電気銅(13.7%)、水産物(12.1%)、鉄鉱石(9.7%)
輸入 : 食料品、石油製品、機械製品、化学製品

人口の少なさ、鉱物資源の豊富さ、整備されたインフラによって中進国並みの所得水準になっていますが、貧富の差が世界一激しいと言われています。

これは、先進国並みに豊かな白人層と、伝統的な生活を送る農村部の部族との格差が大きいためです。

豊かな都市部の国民は、GDPの大半を生産している一方で、伝統的な生活を送る国民は自給自足的な農業・牧畜に従事しています。

こうした自給自足的な農業・牧畜には国民の約半数が従事しているとされていますが、耕作可能な土地は国土の10%未満です。

1日2ドル以下の貧困生活を送る層は、国民の約55%に上ります。

ナミビアは輸入品のほとんどを南アフリカに依存しており、

同国とは自国通貨ナミビア・ドル南アフリカ・ラントと1:1にペッグするほど強い関係にあります。

輸出品目は、ダイヤモンド、ウラン、銅、亜鉛、鉛などの鉱物資源と牛肉などが主力となっています。

一方の輸入品目は、資本財や燃料、食料品などが見られます。


4 スワジランド( GDP : 37.7億ドル [世界第155位] )

主要産業 : 農業(砂糖、木材、柑橘類)、繊維産業、鉱業(石炭、アスベスト)
輸出 : 清涼飲料、砂糖、繊維製品、鉱物
輸入 : 鉱業製品、機械、食料・家畜

三方向を南アフリカに囲まれた人口130万人ほどの小国です。

南アフリカアパルトヘイトで混乱に陥っていた頃、経済制裁をくぐり抜けるために進出した南ア企業の投資により

一定の工業化と産業の多角化に成功しているとされます。

GDPへの貢献が最も高い製品は砂糖、及び砂糖から作られる清涼飲料品だとされ、続いて繊維製品が続きます。

鉱物関連では、アスベストが主力ですが、採掘は近年下降しています。

国民の75%ほどが自給自足的な農業に従事しているとされますが、

人口の1%程度に過ぎない白人層が国土の大部分を所有する格差の大きさ、国王の散財癖、世界一のHIV感染率などが

経済成長の妨げになっています。

輸出・輸入の相手国はともに南アフリカ共和国が大部分を占めており、南アフリカ共和国の通貨ラントを共有していることもあり、

関係は大変密になっています。


5 レソト( GDP : 22.7億ドル [世界第162位] )

主要産業 : 農業(トウモロコシ、モロコシ、小麦)、繊維産業
輸出 : 衣料品、ダイヤモンド、畜産品
輸入 : 工業製品、食料・家畜、機械製品

南アフリカ共和国に四方を囲まれた内陸国で、全土が山脈の山中に位置するため平野が一切ありません。

地理的制約により慢性的な食料不足に悩み大部分を輸入に依存しています。

しかしながら、政府は山岳地帯の斜面と豊富な水資源を利用した水力発電に着目しており、

南アへの電力供給、及び水資源の供給は、南アの経済発展に多大の貢献をもたらしています。

経済的には、後発開発途上国の1つに含まれています。

農業に不利なため工業が産業の中心となっており、

先進国企業からの生産移転を受けて、衣服、履物の生産が盛んに行われています。

アフリカの経済を発展させる目的で導入されたAGOAの恩恵を受けたため、

主要な輸出相手国は約半数を占めるアメリカ合衆国南アフリカ共和国となっています。

これがきっかけとなり、2007年に始まったアメリカの不況は、レソトの経済に打撃を与えましたが

2017年現在まで年2%の経済成長を継続しています。

輸出品目は、全体の53%を占める衣類、履物、飲料水です。

一方の輸入品目には、食料品、資本財、工業製品、石油製品などが見られます。

輸入の96.5%は南アフリカ共和国から行われています。






さいごに

2016年の数値では、域内GDPの合計は3258.4億米ドル、人口6343万人という数値になります。

南アフリカ共和国を除けば、どこも人口200万人程度の小国で、人口の大半が農業に従事する農業国でした。

ほとんどの国でダイヤモンドの採掘が活発なのも特徴の一つです。

またすべての国で旧英国植民地の歴史を持っています。

この地域でも、南アフリカ・ラントを通貨として採用するレソトスワジランド、ラントとペッグした通貨を採用するナミビアなど

西部や中部に見られた通貨統合の動きが確認されました。


全体的に中部アフリカのような紛争やクーデターも少なく、インフラ整備の充実と安定した経済発展を遂げている印象を受けました。

しかしながら、地域全体に蔓延しているHIV/AIDSは、今後の南アフリカの発展を左右する問題となりそうです。

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