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アフリカ連合(AU)の貿易構造-6 東アフリカ共同体(EAC)

東アフリカ共同体(EAC)とは


EACの特徴について、早稲田大学 国際教養学部の片岡貞治さんは自身の論文「アフリカにおける地域統合ー現状と課題ー」の中で

「域内貿易が他のREC(地域ブロック)よりも活発である」としています。

規模の小ささも助け、加盟国同士を結ぶインフラの整備や政策の相互調整など

他のブロックよりも一歩先に進んだ展開を見せているようです。

片岡氏は、その様相を「EACはアフリカ経済統合のロールモデルとなりつつある」としています。


EACの内部では、共通パスポートの導入が行われており、

加盟国の国民はビザなしで域内を自由に移動でき、さらに6ヶ月以内であれば滞在することも可能となっています。

これは既に東アジアにも見られる動向ですが

EACでは次のステップとして、経済協力の促進にも既に着手されています。

同氏の論文によるとEACでは、

就労の自由を実現する目的で、職業資格や技能などの相互認証制度や労務管理など

社会政策及び雇用政策の調整も行われているようです。

こうした動きは、域内での職業の共通ライセンスなど、本国人と外国人の区別をなくす動きに向かっていくのでしょう。


2016年時点での域内人口及び総GDPは、それぞれ1億6432万人、1581.0億ドルです。

これは、加盟国が最も少ないこともあり、アフリカの地域ブロックでは最低の数字となっています。



1 ケニア( GDP : 705.3億ドル[世界第69位] )

主要産業 農業(コーヒー、紅茶、園芸作物、繊維など)、工業(食品加工、ビール、タバコ、セメント、石油製品、砂糖)、鉱業(ソーダ灰、ほたる石)
輸出 紅茶、園芸作物、コーヒー、魚
輸入 鉱業製品、資本財、食料品

アフリカの沿岸国を構成するケニアは、アフリカの国では比較的工業化の進んだ国だとされます。

しかしながら労働人口の約60%~75%は農業に従事しており、本格的な工業化には至っておりません。

2012年の輸出品目を見ても、売上の多かった品目の上位が

紅茶(輸出全体の21.1%)、園芸作物(16.9%)、コーヒー(4.6%)、衣料品・アクセサリー(4.39%)と農産品ばかりなことからも分かる通り、

発達しているのは、収穫した農産品の加工を行う軽工業の段階に留まっているようです。

地下資源には乏しく、エネルギーの100%を輸入に依存しています。

また、最も盛んだとされる金の採掘も1.6トン程度に過ぎません。(1位は中国の450トン)

しかしながら、若年人口の多さ、民間セクターの強さ、熟練労働者の多さ、整ったインフラ、多くの国の軍港を抱える戦略的重要性

これらの要素により、ケニア経済は今後の発展に向けて大きなポテンシャルを持った国であることは間違い無いようです。


2 タンザニア( GDP : 476.5億ドル[世界第81位] )

主要産業 農林水産(コーヒー、麻、茶、綿花、ナッツ、タバコなど)、製造・建築、サービス
輸出 金、タバコ、コーヒー、ナッツなど
輸入 石油、輸送機器、機械、建築資材など

ケニアの南に位置するタンザニアは、後発開発途上国のひとつに数えられる国です。

労働者の80%が農業に従事する農業国で、輸出の85%が農産品によって占められています。

鉱業部門は、金の採掘が盛んで輸出の90%を占めています。

金の産出量は、アフリカの国では南アフリカ共和国とガーナに続いて3番目に多いとされ、豊富な金鉱床に恵まれています。

工業部門は、食品加工とタバコ、消費財などの軽工業が発展しており、

また建設が伸びを見せているようです。

財政的には、

債務対GDP比は39.5%と大きく無いものの、そのうち81%は外国に対する負債となっているようです。

また、銀行のうち約48%は外国人所有とされ、外資依存の傾向が見受けられます。


3 ウガンダ( GDP : 253.1億ドル[世界第101位] )

主要産業 農林水産、製造・建設、サービス
輸出 コーヒー、魚・魚製品、綿花、紅茶、タバコ
輸入 石油・石油製品、機械類、自動車

ウガンダは、大変肥沃な土地に恵まれており商品作物であるコーヒーの輸出が盛んです。

コーヒーの生産量は2014年において世界第10位(アフリカでは2位)にランクインしています。

軽工業も発達していますが、収穫した農産品の加工を行う軽工業に限られており、重工業の発展には繋がっていません。


4 ルワンダ( GDP : 84.1億ドル[世界第139位] )

主要産業 農業(コーヒー)
輸出 コルタン、スズ、茶、コーヒー
輸入 消費財、中間財、資本財、エネルギー

人口密度の高い内陸国であるルワンダでは、人口の90%近くが農業に従事しています。

主な農産品は、バナナ、キャッサバ、豆類、モロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、米などが栽培されています。

輸出用の商品作物は、主にコーヒーと茶が出荷されています。

資源には乏しい国だとされますが、

世界第12位のスズ、世界第6位のタングステンなどの鉱物資源が重要な収益源となっているようです。

また工業部門は、国内消費向けの手押車など農産器具、飲料品、石鹸、セメント、プラスチック、衣服、タバコなどの製造が行われています。


5 ブルンジ( GDP : 31.4億ドル[世界第160位] )

主要産業 農業(コーヒーなど)
輸出 コーヒー、茶、製造品
輸入 中間財、消費財、資本財

後発開発途上国の1つであるブルンジの経済は、長期の内戦と経済制裁によって、壊滅状態に陥っています。

商品作物の輸出が外貨収益の約9割を占めるとされ、

コーヒー(全輸出の69%)、紅茶(同じ26%)、綿などの一次産品への依存が続いています。

主要な輸入品目は、食料品、建築資材、燃料です。

国民の貧困率は64.9%に及び、

国外からの援助金が歳入に占める割合は42%と

アフリカの国でも2番目に高い数字になっています。


6 南スーダン( GDP : 30.6億ドル[世界第161位] )

主要産業 原油、農業、林業、畜産業、漁業
輸出 原油
輸入 原料糖、大型建設車両、車両、セメント

2011年にスーダンから独立した産油国です。

南スーダンが独立する前のスーダンでは、石油の85%が南スーダンからの産出だったとされます。

それほど、南スーダンには油田が集中しています。

石油収入が国家予算の98%を占めるとされ、外資主導の採掘が南スーダンの広い地域で行われています。

農業のポテンシャルも大きいとされますが、独立時点では耕作地の4.5%しか使われていなかったそうです。

現在においても、食料供給は近隣諸国からの輸入に頼っています。

2011年の南スーダン独立でスーダンが石油を失ったのと同じように、南スーダンナイル川流域の肥沃な土地を失ったといえるでしょう。

しかしながら土地のポテンシャルは高いようなので、今後の発展に期待です。




おわりに

東アフリカ共同体には、東アフリカ共同役務機構という前身組織があります。

すでに解体されたこの機構は、アフリカ諸国がイギリス植民地から独立する際に、

英領東アフリカの下で同じ関税同盟の下にあった地域を統一させる目的で設立されました。

これはタンザニアウガンダケニアの間で結成されました。

しかし、機構の運営はうまくいきません。

加盟国の間に東西冷戦構造が介入すると、親米のケニアと親ソのタンザニアに対立構造が作られ、

さらにはウガンダの内情がクーデターによって荒れるなど、3国の関係は極度に悪化します。

こうした中で1977年に機構は解体。

翌年の1978年にはタンザニアウガンダの間で戦争まで起きています。

その後、旧加盟国の政情安定が果たされた2001年に「東アフリカ共同体(EAC)」が再結成され、

2007年のルワンダブルンジ、2016年の南スーダンを加え、地域統合を目指して活動が行なわれています。

したがって、西部ブロック、中部ブロックのフランス植民地起源の国々に、CFAフランの導入が見られたように、

COMESAの土台は、旧イギリス植民地(英領東アフリカ)を起源に持つ国々となっています。

旧英領という共通項によって結びついた国々ですから、元々ブロックでの自給自足などは考えられていません。

ケニア南スーダンを除けば、商品作物の輸出で食いつなぐ自給自足農業国ばかりです。

またケニアも冷戦時代に親米路線をとった関係で国内のインフラは整っているようですが、国内の工業力は不十分です。

また、南スーダンも独立したことでスーダンの肥沃な土地を失った原油依存国です。

食料自給の望めない南スーダンにとっては、自然豊かなウガンダタンザニアとの連帯は利益の大きなものとなるでしょう。

また、同じ民族を抱えるルワンダブルンジでも、過去に発生した虐殺の背景には食料供給の不足と飢餓がありました。

その意味でも、肥沃なウガンダタンザニアとの連帯は、有益なものとなるでしょう。