Ossan's Oblige "オッサンズ・オブリージュ"

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

ミスドに女性と高齢者が多いのとインド人の甘い物好き

インドに行ったことのなるなら誰でも知っているように、現地の食べ物は「辛い」か「甘い」のほぼ二択です。

経験上例外はなく、焼きそばやチャーハンも決まって辛味で、マサラティーにも辛味を発する香辛料が混ざっていたりします。

インドに限らず、熱帯の人々が辛いもの好きで共通しているのは、辛いものが発汗によって熱を下げてくれるためだという話もあります。

しかし辛い物ばかりだと口の神経が痺れてスッキリしません。

そんな時のために、スイーツが用意されています。

スイーツはインドの食文化として完全に定着しており、大量の辛味成分を摂取した後で同レベルの糖分で中和するパターンが慣例化しています。

現地のあちこちにドーナッツ、菓子パン、お菓子を扱う店舗が見られますが、扱っているスイーツはどれも激甘です。





さて、一旦日本に帰りましょう。

日本にもスイーツを扱うチェーン店が様々ありますが、なかでも最も甘いスイーツを提供してくれる店舗のひとつが「ミスタードーナッツ」だと思います。


ミスタードーナッツは、1955年にアメリカで創業されたドーナツチェーンで1971年に日本でも事業が開始されています。
最近では、中華やスープ類など商品の多角化を進めていますが、メインはなんといっても甘いスイーツ。

開業以来、多くの人々が甘いスイーツを求めてミスタードーナッツに集まっています。

その中でも客層として目立つのは、女性と高齢者の方ですね。

女性と高齢者が甘党という傾向を読み取ることができます。

それはなぜでしょうか?

どうやら、女性や高齢者の方が甘いスイーツを好む理由と、インド人の甘い物好きの理由が似ているようなのです。


まず甘い食べ物の特徴として、高カロリーなので脳の報酬系を強く刺激します。
報酬系とは、本能的に、つまり種の存続のために有効な行動をとった時に活性化される脳の神経系のことです。
目印は、「快」の感覚です。

砂糖は今でこそ当たり前の調味料となっていますが、世界に広く流通し始めたのは、大航海時代に新大陸のプランテーションが形成されて以後のことでした。
それまで、長年の飢餓状態にあえいできた人類にとって、砂糖はまだまだ魅力的な成分なのです。

この砂糖の甘味によって一度報酬系が刺激されると、その快楽は脳内に記憶され、反復を求める強い欲求として意識上に現れるようになります。

このメカニズムの作用によって、過食症やストレス過多に陥った人々は、危機的な状況から逃れようと甘い食べ物を大量に摂取するわけです。


これでインド人がなぜ甘い物を好むのか?という疑問に説明がついたと思います。


冗談です。




インド人は、歴史的にイギリスやフランスの植民地統治に蹂躙され、独立後も第一次産業メインの途上国として出発します。
おまけに不殺生の文化が裏目に出て、飢餓状態でも肉色を控えてきました。その結果、長年の間、激しい飢餓状態の中を耐えざるを得なかったのです。
そうなると、当然人々は食べ物に対して強い渇望を抱くようになります。そしてできれば、野菜や穀物といったカロリーの低いものではなく、高カロリーの物を食べたいと強く願うはずです。

しかし国家が貧困から脱出しない限りは、いくら願おうとも叶いません。

そして、そんなインドが経済発展に沸いたのが最近のことです。

インド人の生活は砂糖で溢れました。

あらゆる菓子、あらゆるパンは砂糖で溢れ、ジュースにもそれは波及します。

牛乳と砂糖を混ぜ合わせたパン、さとうきびの糖を固めたグル、甘いチャイ、全てが砂糖で包まれました。


その結果、数値でも他国を圧倒し、世界最大の砂糖消費国に上り詰めました。


2016年のインドの砂糖消費量は世界1位の27,200千トン。


これは2位のEUの18,800千トンを引き離す数字です。

消費率(消費量 / 人口)で見れば、経済的に豊かなEUに軍配が上がりますが、これから更なる経済発展を遂げるにつれ、インドの砂糖消費量も膨らんでいくでしょう。

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そんな甘党大国のインドでは、まだまだ痩せている女性よりもふくよかな女性が好む人が多いなど、飢餓の歴史が長い地域に特有の傾向が残っています。
しかし、高カロリーな食生活が当たり前になると、やがて生活習慣病など健康面の問題が表面化し始めるでしょう。
それは日本が発展の過程で辿った道であり、インドもその運命から逃れられません。
実際、インド人の健康問題を見越して先進国から医療投資が進んでいるなど問題の発生は確実視されています。

日本でも女性や高齢者に甘党が多いのも、原因の構造はインド人と同じです。

まず高齢者の方は、戦後前後に育った世代です。
そうした物資に乏しい時代は、最低限の食事すらままならず、ましてや甘いものはめったに食べられなかった。
その時の不満が今もなお、彼らの潜在意識に影響を及ぼしているのでしょう。

幼少期に受け止めた不足感がその後の感受性や欲求の基礎になると言われますが、

幼い時期の不足感が、高齢者を糖分摂取に走らせている可能性が指摘できます。


また、若い人を含めて女性が甘党である理由も、飢餓と関連があります。

なぜなら、糖分は栄養分としての働き以外にも、ホルモンや神経伝達物質の成分としての役割を持ちます。

女性を女性たらしめるのは、いうまでもなく「女性ホルモン」ですが、その形成に糖分が重要な役割を果たすのです。

また、女性は定期的に女性ホルモンの流出を繰り返すため、糖質の飢餓に陥りやすい。そのために補給の必要性が高いことも、要因の一つです。

つまり、女性は生まれ持った体の構造として、男性よりも糖分を多く必要とする仕組みになっているのです。



このように、幼い頃の欠乏感を取り戻すべく糖分摂取に走る傾向は、インド人と日本の高齢者でそう違いはないみたいです。
また、糖質の飢餓に陥りやすい女性にとっても、糖質への欲求は上記2つの集団と同じくらいに強いものなのかもしれません。