Ossan's Oblige "オッサンズ・オブリージュ"

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【引きこもりは親の責任です】引きこもりの原因と解決策について【「8050問題」の解決策も考える】

先日、Yahoo!ニュースに引きこもりに関する記事が掲載されていました。

引きこもりの増加に警鐘を鳴らす内容でしたが、若干引っ掛かるものを感じました。
記事によると、20代の引きこもりが増加中。40才~64才の引きこもりは推計61万人。
80代の親が50代の息子の面倒を見る「8050問題」へと発展するケースも珍しくなく、深刻な家族トラブルの火種であることが提起されます。

私が引っ掛かったのは、「子供の引きこもりは誰の責任か?」というまとめの部分でした。


実際のところ、引きこもりになる原因は受験や就活の失敗、いじめ、病気などさまざま。にもかかわらず「親の責任だ」と責めるのは、正解とは言えないのかもしれません。

確かに、引きこもりに陥る原因は、突き詰めると子供の社会生活の失敗に求められるのかもしれません。

「社会生活の失敗を起こした主体は子供なのだから、親が責任を感じる必要はない。」

そう考える人がいても不思議ではありません。

しかし社会生活の失敗が親の責任で起こるとしたら、「子どもの引きこもり」もまた親の責任ではないでしょうか?

「引きこもりは誰の責任か?」
この問題について自分なりの結論が出たので、「8050問題」の防止方法まで含めてシェアしたいと思います。


1. 引きこもり問題で問われる「親の責任」は、家庭と実社会のズレ

引きこもり状態の定義

世の中には、2種類の引きこもりが存在します。

1、社会に対する逃避行動として引きこもる人
2、仕事のパフォーマンスを出す上で、引きこもりが最適な人

現代は、オンラインの外注業務で生計を立てられる時代です。

ITの発達に伴い、仕事の連絡やショッピングもオンライン上で完結するので、外出の必要性はますます減りました。
ITの発達は労働環境の変化を促し、室内で作業に没頭することを好む自営業者を生み出しました。

この引きこもりはポジティブな引きこもりなので、止めさせる必要がないことに留意が必要です。

一般的な「引きこもり」は、社会に対する逃避行動として家に引きこもる人たちを指します。
これは、社会生活の苦痛から家に避難場所を見いだした人達です。

社会的苦痛の原因を克服するのではなく、その場しのぎの逃避に撤するので、根本的な問題が解決されません。
さらに逃避行動中、空白の時間は非生産的なネットゲームなどに費やされがちなので、その間、社会経験の機会損失を負い続け、現実社会との溝がさらに深まります。

こうした悪性の引きこもりが抱える欠陥は、社会適応力の欠如です。
この社会適応能力の高低が、幼少期に過ごした家庭の中で決められることはあまり語られない事実です。


引きこもりの原因は、家庭で培った「社会イメージ」と現実社会のズレ

やや残酷ですが、0〜3才の幼少期を逃すと、その後にいくら引きこもり防止の努力を行っても効果は出ません。
このことは、人間の脳の発育過程で説明できます。

人間の身体は、0才~25才に至るまで漸次的に発達を遂げていきます。
しかし脳は、この成長パターンを辿りません。

近年の研究では、3才までに脳の80%が、6才までに90%が、そして12才までには100%が完成することが明らかにされています。
身体は成人するまでゆっくりと成長していきますが、脳の発達はかなり早熟なのです。

とはいえ、12才を過ぎた後でも人間は自己の能力を高めることができます。
学校教育は最低でも18才まで続きますし、脳の可塑性(脳内の神経ネットワークを新しく作る能力)は生涯失われることがありません。

しかし、12歳までの急激な進歩に比べると、12歳以後は牛歩の歩みです。
12歳までに地頭の部分は完成してしまうのですね。

したがって、脳機能の完成とともに、認知のパターンも12歳の時点でほぼ固定されます。
脳機能というと知能指数(IQ)を連想しがちですが、対人スキルや心の知能指数(EQ)、社交スキルについても当てはまるのです。

もしも、自分の子供が引きこもりになったとします。
その時に「自分に責任はない」と主張する親は、子供が12才(主に3才)になるまでに、適切な社会認知を整えてきたかという問いに答えなければなりません。

引きこもりを抱える親が自問すべき条件① 0歳〜12歳に至るまでの関係の取り方

最初の課題は家庭です。

12歳時点の社会イメージは、社会のモデルケースとして死ぬまで使い回されます。

特に0~3歳は脳の80%を形成する点において重要です。
この人生の80%を左右する期間において、最大の社会関係は家庭です。
3歳児には生活の必要を満たす力がないので、親に依存しなければなりません。

この無力な赤子を、無能力者と見なし甘やかすのか、莫大な可能性を秘めた存在として対等に扱うのか。
これが最初のターニングポイントとなるでしょう。
そのときに刻み込まれた関係性のイメージは、人間関係の型(80%)として潜在意識に定着します。

この期間に形成した社会イメージで、子供はその後の社会を捉えるようになります。
そのイメージが実社会と整合的であれば、ストレスなく適応していけるでしょう。
しかし、社会イメージが学校や職場の現実と食い違えば、子供は適応に支障をきたすようになります。

笑うポイント、非言語のメッセージ、集団内における力関係の調節方法、こうした規準が自身が家庭で培ったイメージとかけ離れているほど、社会関係に抱えるストレスは膨らみます。

そのストレスがちょっとした対立や排斥、立場の変更がきっかけとなって臨界点を過ぎた時、支えきれなくなった自我を保つために自室にとじ込もるという逃避行動が生じます。
これが引きこもりが生じるメカニズムだと考えます。

この幼少期に与える社会環境は、現実の社会より厳しすぎても甘すぎてもダメです。
ごくごく現実社会に近い社会関係を刷り込ませてこそ、子供は心理的な摩擦なく社会へ踏み出し円満な社会関係を築けるのです。

引きこもりの責任を子供に追求する親は、最初に次のことを自問しなければなりません。

子供が12才になるまでの間に、家庭は現実社会にふさわしい社会イメージを提供してきたか?


幼少期の家庭における父、兄弟は男性像の象徴、母、姉妹は女性像の象徴

引きこもりを抱える親が自問すべき条件② 3歳までに与える性別イメージは適切だったか?

家庭で培うべき社会イメージについて、もう少し詳しく見ていきます。

人間には男女の2種類が存在し、両者で接し方は異なります。
人生における大きな挫折は、男女関係、同性関係の失敗がきっかけになりがちです。

その拠り所となる性別イメージもまた、12歳までの社会関係の中で形成されます。
特に3歳までの情報が重要であることは、脳の80%が形成期である事実として、既に述べてきた通りです。

3歳に至るまでの最大の社会関係は家族であり、したがって、最も親密な関係をとる親、兄弟、姉妹との関わりが問題となります。
この期間中に、生涯使い回す性イメージが決定することは、もう少し注意が払われるべきだと思います。

父親と兄弟は、男性イメージの象徴です。
男の子の場合、その後の人生でとる同性との関係性は父(祖父)、兄弟との関係性が基礎になり、生涯を通して同じパターンを志向します。
いっぽう母親と姉妹は女性イメージの象徴であり、人生を通して、異性との関係性の基礎になります。

また女の子の場合は、上記が逆転します。

もちろん、これは接触の密度から家族を頂点に置いただけです。
人によっては、ベビーシッターや、幼稚園の先生、近所の人、近所の友達と多岐に渡り、重要度の高さもそれぞれでしょう。

しかしながら12才(特に3才まで)までに接してきた男女によって、人間の性イメージが決まるという事実から人間は逃れられません。

同性、異性への対処能力は、円滑な社会生活を送る上で欠かせないスキルです。
特に異性との、お互いを高めていく互恵的な関係を築けるか否かは、人生を左右する大きな分岐点です。

こうした無意識の判断も、「男性、女性はどうあるべきか?」という社会イメージに規定され、12才(特に3才)までに囲まれてきた人々との交流を通して決まるのです。


男女の思考の違い、男女の関係性の望ましい姿

こうしたイメージの形成期に、虐待、いじめ、甘やかしといったバグが混入すれば、子供の男女イメージは混乱を来すことになります。

親は子供の性別イメージが混乱をきたさないよう、「自分対子供」だけでなくあらゆる関係性に介入し、管理・調整しなければならない義務を背負っているのです。

引きこもりを抱える親は次の問いに答えなければなりません。

0〜3歳の期間における性イメージにバグはなかったか?


引きこもりを抱える親が自問すべき条件③ 子供に多様な社会的刺激を与えてきたか?

現代ではインターネット普及による情報の多様化、またグローバル化の加速といった条件から、社会の多様化が進んでいます。

ここの躓きも引きこもりを誘発するでしょう。
多様性に対応できる人間は、最初から人類が多様性で構成されていることを知っている人間です。
その認知も12歳(主に3歳まで)までの認識に左右されます。

したがって、この期間の交流は、量・幅ともに広いことが理想です。
幼少期に受ける刺激が多様であるほど、大人になったときに許容できる多様性の幅も広がります。

逆に幼少期に接した多様性の幅が狭いと、社会生活に支障をきたす可能性が高いです。

したがって、引きこもりを抱える親は次の問いに答えなければなりません。

12歳(主に3歳)までの間に、幅広い社会関係を与えてきたか?


3. 引きこもり防止策が機能する幼少期の間にすべきこと

12歳を過ぎての働きかけは効果が薄い

説教臭くなって恐縮です。

しかし、12歳(特に3歳まで)までの経験が人生を左右する事実には何人も抗えません。
この時期に、永続する社会関係の型を形成するからです。

12歳を過ぎると、既に出来上がった脳機能に変更を加えることはできなくなります。

しかしながら、子供の引きこもりを嘆く大半の親は、事後対処に徹しがちではないでしょうか?
ひどいケースだと、自分たちが見せてきた社会イメージについては見ないことにして、ひたすら子供の才能に責任転嫁しようとします。
これは、発達メカニズムに対する理解が欠如した人間の考えに過ぎ得ません。

社会への対処能力が培われるのは、脳が出来上がる12歳(特に3歳まで)までです。
したがって、引きこもりの防止策がとられるタイミングもこの時期であるべきです。

本記事では便宜的に3つの問いを用意しました。
条件① : 0歳〜12歳に至るまでの関係の取り方は適切だったか?
条件② : 3歳までに与える性別イメージは適切だったか?
条件③ : 子供に多様な社会的刺激を与えてきたか?


最後に、具体的に3つのトピックは、どのように子へ行使されるべきか考えます。


条件① 現実社会と近い社会イメージを刷り込む。甘やかしや虐待はご法度

引きこもりのリスクは、脳に刻まれた社会イメージと現実社会のズレに一致します。

ですから、認知の形成期である12歳までに、適切な社会イメージを植え付けなければなりません。

この期間に甘やかせば、依存的で無責任な大人に成長します。
虐待を加えれば、自分の価値を認めることのできない自虐的な大人へと成長していきます。

どちらも引きこもりの根を宿しており、将来的に何らかのストレスが引き金となって、引きこもりを惹起する恐れがあります。

これを防ぐために、12歳(特に3歳)以下の子を囲む親は、子供を一人の大人として一人前に扱う必要があります。

次のような行動が重要になるでしょう。

自分のことはできるだけ自分でやらせる、挑戦を促す、失敗した時のケアを怠らない


条件② 子供の性別イメージにバグが起きないよう心がけ、兄弟や姉妹関係にも介入する

人間の脳は、3才までに80%、6才までに90%、そして12才まで100%が形成されます。
したがって、0才~12才までの12年間の間に、いかに豊かな経験を積ませるか?が子供の人生を左右します。

交流がより豊富で幅広いほど、理想的であることは間違いありません。
しかし、ただ野放図に色々な人と関わらせたのでは、逆効果になる可能性もあります。

関わる人間の全員が、必ずしも社会的に好ましい刺激を与えるとは限らないからです。

したがって、適切な社会刺激を望む親は、子供に与える刺激を厳選すべきです。
これをしなければ、子供の引きこもりリスクをブロックできません。

筆者の経験を述べると、幼少期から受け続けた姉からの侮辱が、今も自信の弱さとして残っています。
当時、新しく家族の仲間入りをした私に対して、姉は激しい嫉妬心を隠すことをしませんでした。
幼少期の耳を噛む、つねるといった虐待に始まり、言語を使うようになると、ことさらに私を罵倒し、自分の傘下に置こうと執拗に攻撃を加えてきます。

幸い、学校では一定の仲間に恵まれ、楽しく過ごすことができました。
私の人生にいじめられた期間を探すとすれば、この家庭での姉からのイジメくらいでしょう。
とはいえ、この期間の経験が私の精神にもたらした影響は小さくありません。

今でも他人からの攻撃に身構えることがよくあります。

強く批判する気は無いですが、あえて責任を探すなら、当時、監視役であった親の不介入に求められるできるでしょう。
親は攻撃を受けて萎縮する私を放置して、仕事一辺倒に徹するばかりでした。

子供の人生に禍根が残らないよう、12才までの間に子供が受けている刺激を監視し、問題が起きたなら仲裁し、解釈を適正化することが親の勤めです。


条件③ 将来の方向性がある程度定まっているなら、3歳までの間に体験させる

能力不足も引きこもりを引き起こす原因です。

なぜなら、いじめとは能力の不足したメンバーに行使される排斥行為という側面を持つからです。
もちろん、能力不足という条件だけでいじめが行使されることは少なく、他のいくつかの悪条件が重なることが大半です。

しかしながら、能力がある人物はどこに行っても重宝され、排斥されることはありません。
したがって、3歳までに能力を高めておくことは、将来の引きこもりリスクを減らします。

具体的には、将来、確実に携わるであろう分野を、3歳までに体験させることです。

将来的に活躍できるかは、適応能力の有無が決め手になります。
この適応能力を身につける上で、脳機能の80%を形成する3歳までは格好の時期です。

こういうと、次のような反論があると思います。

「親が子の道を決めるのはダメだ」

確かに親が別の選択肢を認めないレベルなら問題ですが、特定の分野の能力を授けること自体は何の問題もないはずです。
子供が成長した後に、別の道を歩みたいと言えば、認めてやればいいだけの話です。


3歳までにすべき教育まとめ

以上のように、幼少期の子供に対する具体的な実践として3つを挙げました。

条件① 現実社会と近い社会イメージを刷り込む。甘やかしや虐待はご法度
条件② 子供の性別イメージにバグが起きないよう心がけ、兄弟や姉妹関係にも介入する
条件③ 将来の方向性がある程度定まっているなら、3歳までの間に体験させる

人生に関わる3つのイメージを健全に満たすことができれば、引きこもりはまず起こらないでしょう。

つまり以下の3つです。

社会イメージ、性別イメージ、人生観(職業観)

逆にいうなら、引きこもりの責任を子に帰してもよい親は、この3つの条件を健全に満たしてきた人だけだと考えます。
もちろん、人間の行動は、環境以外の遺伝子にも左右されるので、子を責める余地は残っているでしょう。

しかし、子を叱責する前に、親は上記3つを満たしてきたか、自問し直すべきです。

近年、社会競争の激化を背景に悪性の引きこもりが増加傾向にあります。
そうした中で、12歳(特に3歳まで)までの教育的な重大性が、社会に深く認知されることを望みます。


補足 : 8050問題の解決は、歪んだ認知を再解釈するしか方法がなく、時間もかかる

本記事のタイトルに載せた「8050問題」の解決策を述べます。

働き盛りであるはずの息子を世話する親の負担は想像を絶するレベルらしく、耐えかねた親が息子を殺害する事件が報道されることも珍しくありません。
50代の引きこもり息子を社会復帰させるのは容易ではありません。

経験不足の50代を受け入れる度量を、社会は持ち合わせていないからです。

しかし、現代ではITの発達を背景に、外注やYoutuberという仕事が残されています。
そのような生産行動に踏み切らせれば状況は改善するでしょう。

したがって、この分野へ誘導するために、まずは「できる」というポジティブな操作を加えることが有効でしょう。
この辺りは、オウム真理信者の脱洗脳で一躍名を馳せた苫米地英人氏の著書に効果が期待できます。

基本的なコンセプトは、使う言葉を変えることです。
これは、思考は言葉によって形成されるという考え方に由来します。
引きこもりの子供に読ませるのがベストですが、難しければ親が多読して、子供に有益な言葉を投げかけるようになりましょう。

「言葉」があなたの人生を決める

「言葉」があなたの人生を決める

  • 作者:苫米地英人
  • 発売日: 2013/08/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)