日本は魅力あふれる先進国ですが、特有の住みづらさがあることも事実です。
日本特有の問題
1 物価が高い2 住居費が高い
3 完ぺき主義
世界第3位の日本のGDPは、労働者の血のにじむ長時間労働によって支えられています。
低賃金、サービス残業、低昇給、満員電車、派遣労働、有給消化のタブー視・・・。
豊かさって何?
そんな哲学的な問いが頭をよぎる先進国民の日常。
上記のような日本の条件は、戦後の復興期に作られたものでしょう。
戦後の焼け野原からの先進国の仲間入りを果たすには、血のにじむ努力と忍耐が必要でした。
国民の末端に至るまでの全力コミットが求められたのです。
それでも、努力したぶん国が栄え、連動して給与も上がっていくから、当時の人たちは苦としなかった。
今日よりも素晴らしい明日が待っているから、少々の不満には目をつぶることができたのだと思います。
今の日本はそのような状況にありません。
すでに国内の発展が頭打ちし、高齢化が進み、社会保障費が税負担として跳ね返り、政治は腐敗し、資本主義の本格化により派遣社員(奴隷階級)まで現れる始末。
国家の将来性が危ぶまれる中、国民の大半が将来を悲観しています。
かといって生活のためには労働に従事しなければならず、ニートにでもなろうものなら苛烈な社会圧力と生活費とで二重の疲弊を強いられます。
そんな社会で生活していると、こう考えてしまっても仕方ないのではないでしょうか?
「もう海外に逃亡(亡命)したろかな」
現実として、国外(特にアジア南部)には日本で求められる生活費の数分の1で暮らせる発展途上国がたくさんあります。
たとえば、個室のホテルが1,000円から宿泊できるベトナム、不衛生な代わりに何でも安いカンボジア、また都市の完成度が高いタイの物価でも日本の半額程度。
東南アジアの国なら、安いローカル店に入れば、100円や200円で空腹を満たすことができます。
居住費も、ローカルアパートを借りれば10,000~20,000円で過ごせる国もたくさんある。
そうした国でなら、今ある貯金だけで過ごしていけるのではないか?
こうした疑問について、その現実性について語ってみたいと思います。
ちなみに私は、大学時代のインド留学経験から、アジア放浪までを経験したことがあり、現地の物価などは一通り経験しているので、信憑性もクリアしていると思います。
※ただし、東南アジアから西に出た事はないため、アジア限定という視点でよろしくお願いします。
1. 物価の安い国はどんな場所か。
世界有数の先進国に登り詰めた日本も、大戦前は新興国の扱いでした。持ち前の高い技術的素養が評価され、欧米資本家から期待と投資を注がれるに至ります。
チャンスを与えられた日本は、持ち前のポテンシャルを生かして、欧米資本家の期待に応えました。
日本の先進国化は、日本人のポテンシャルに、欧米先進国の投資が重なることで初めて可能になったのです。
この時代から、国家の発展モデルは「先進国投資から始まる」と決まっています。
先進国の投資家から、「リターンを見込める」と判断された国に膨大な投資マネーが殺到し、その原資を有効活用できた国が先進国へと飛躍できたのです。
そんな風潮の中、発展途上国とは、投資家の「投資対象外」とされてきた国。
21世紀の現在まで発展途上のまま残されている国とは、要するに訳あり物件です。
その国の発展を妨げる何かが、必ず存在します。
具体的には、独特の文化背景(ヒンドゥー教における家にトイレを置くのは不浄思想)、衛生状態(カンボジアのような疫病の蔓延)、政情不安(カンボジア内戦、フィリピンのミンダナオ独立問題など)などが思い浮かびます。
例えば、現在、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が政策的に、汚職の撲滅に着手している最中です。
目的は、フィリピンを「先進国民にとって魅力的な国」とするために他なりません。
この目的を遂行するため、現行犯への射殺命令も厭わずかつてのクメール・ルージュのようなひたむきさで汚職の撲滅に取り組んでいます。
ドゥテルテ大統領が殺人を認めてまで根絶しようとしているのは汚職問題です。
フィリピンでは、仕事を作るために警察が犯罪を手引きするケースが多く、賄賂はもちろんのこと、麻薬の密売に関与する者まで現れる始末です。
そのような闇を抱える国で、先進国感覚の商売ができるわけがありません。
そこで、先進国投資を遠ざける汚職に白羽の矢が立ったのです。
汚職撲滅のために死刑執行すら辞さない大統領の行動は国内の評価も高く、民衆の支持の下にフィリピンの闇が取り除かれる日もそう遠くないでしょう。
しかし、現在のフィリピンは衛生問題や、スラムの格差、麻薬の横行、制御不可能な多産化など、別の問題も山積みです。
そうした条件が先進国に嫌われ、投資を妨げています。
低物価の原因もここにあります。
マネーの流入が少ない分、物価も低水準に保たれているのです。
しかしながら、国内問題が克服された瞬間に投資マネーが殺到し、インフレが発生することは間違いありません。
つまり、先進国のような治安の良さは、低物価と同居できない条件なのです。
物価の安い国には必ず何らかのリスクがあり、往々にして価格の安さは危険度に比例します。
逆に言ってしまえば、物価の高い国は安全なことが多いのです。(最近は欧米でもイスラム絡みのテロが相次いでいるが)
したがって、物価の安い国で生きていくのであれば、明日倒れても仕方ないと割り切る胆力が必要です。
謎の風土病にかかってのたうちながら息を引き取るかもしれません。
強盗狙いの貧困層に刺されるかもしれません。
地域によっては、地雷を踏んだり、誘拐されて麻薬漬けにされたり、ヒンドゥー教の生贄にされる(八つ裂き)ようなこともあるかもしれません。
日本では笑い草になるような事件に巻き込まれても、それは安い国を選択した本人の責任と見なされます。
恐怖を煽るつもりはありませんが、日本特有の精神負担(我慢・苦痛は心の筋トレ的な)と天秤にかけてどちらが許容できるか選択してください。
途上国のことを、物価の安さと日本的な安全性を兼ね備えた楽園だと錯覚することだけはやめましょう。
(バンコクやホーチミンは、かなり楽園に近い都市だと思う)
2. 深いコミュニケーションが取れない
外国の人々は、日本とは異なる歴史、文化、宗教の条件をもつ人々です。特に島国日本の常識は、大陸の国々と異質です。
相容れないものを感じることも少なくありません。
それでも、同じ人間なので共通点も多く、現地民と意気投合することもあります。
そこで、なんとか会話を成立させようとするのですが、言語の違いや感覚の違いから、どうしても難が出てくることがほとんど。
長時間空間を共にしていても、相手の考えを全て理解し、こちらの意見を余すことなく伝えることができたという満足感を得られたことはほとんどありません。
大半のコミュニケーションがうまくいきません。
世界語の英語を話せる人でも、英語はやはりネイティブでもなければ現地語の感覚が混ざってくるもの。
できるに越したことはありませんが、それでも困難を強いられることが多いかと思われます。
周囲に文化感覚を共有できる人がいないと孤独に陥ります。
・現地民と満足のいくコミュニケーションを取れる人
・現地の日本人コミュニティーに混ざってストレスなく暮らせる人
このいずれかでなければ、孤独な海外生活を余儀なくされるでしょう。
孤独になれば犯罪の標的にもなりやすくなるので、コミュニケーションの問題は何らかの方法で補う必要があります。
3. 耳に入ってくる言葉も外国語ばかり。極端なところまで行くと正常な意識を保てなくなる
普段何気なく耳から吸収している言語というのは、意識の形成に大きな役割を果たしているようです。思考も言語から作られると某脳機能学者のT氏も著書に書いておりました。
インドに迷い込んだ頃は、日本の友人と連絡することもなく、日本人も行かないような地域をさまよい現地人とのみ交流を取っていた時期がありました。
そうすると、意識がボケてくるのです。まるで壮年を迎えた老人のように言葉が頭に浮かんでこない。
現地人の言葉は耳に入ってくるのですが、十分に意味化できないので思考に発展しません。
当時、入国前から浸ろうと思っていたプログラミングの学習計画は効率性0の進行。
時間だけ無駄にを浪費して頓挫することになりました。
Skypeなどを使って日本の友人、恋人、家族と定期的に連絡を取るという方は問題ないでしょう。
しかし、日本人との交流の予定もなく、さらに日本人もいない地域を目指す人は、孤独とボケのリスクを覚悟しておいたほうがよいかもしれません。
これは私が陥った経験から申しておきます。
国外に出たら実行しようと思っていた計画も、全て無気力により頓挫することになるかもしれません。
それでも行くのであれば対策を打ちましょう。
4. 食事の問題は意外と感じない。ただ外資系は高い
食の安全は、日本を象徴する特徴の一つです。しかし、厳重な衛生管理にかかるコストが食費代に上乗せされハイコスト化の原因であることも事実。
一方、途上国の衛生管理は基本的に雑。
とってきた食べ物を加工し食べるというのが基本なので、余計に雇用する必要もなく大変安いです。
しかし、疎かな衛生管理が行き過ぎると感染症リスクをもたらすので気が抜けません。
熱帯の熱気の中、ハエが湧いた腐りかけの肉や魚を加熱もせずに平気で客に出すようなことは日常的。
現地民が備えているのかもしれない耐性が外国人にないことは全無視です。
このような食品を日常的に摂取すれば、健康を損なうことになるでしょう。
そんな時、役に立ってくれるのが、先進国企業の飲食店です。
衛生管理も先進国水準なので、日本と変わらない感覚で手をつけられる食といえます。
例えば、吉野家、ラーメン関連、焼肉店などは、日本のフランチャイズ展開の店舗が様々な国に進出しています。
味は若干ローカライズの気があるものの、脂質も日本人の口に合う美味なものが多いです。
価格は、ローカル感覚では贅沢品でも、日本価格から見れば割安。
それでも格安がいいという人は、コンビニ店が役に立ちます。
添加物が含まれているので、若干太りやすいといった問題は感じますが、衛生リスク0、味も良しです。
ノーストレスな生活に役立ってくれます。
価格も日本のコンビニの1/2程度で手に入ります。
値段相応の作りですが、食べ慣れた安心する味を手軽に食べられるのは大きいでしょう。
(厳しい衛生環境のインド・カンボジアといった地域は、日本式のコンビニがない、あるいはあっても弁当系の品揃えに乏しいので注意。)
5. 衛生問題と関係ない領域の商品・サービスの安さは魅力的
外資マネーの流入が少ない、あるいは格差の大きすぎる国では、コモディティ価格は最下層民目線にの調整されています。
この層を追い込めば、過激な暴動やテロを助長するためだと考えられます。
例えば、インドの歯ブラシは、30~40円。米や野菜も1kg100円などの投売りで、その場で解体してくれる鶏も一羽300円ほど。(原料なので衛生リスクはないものの、重金属被害が酷そう)
安さはリスクなのですが、先進国民から見れば、投げ売り状態の物価は活用したいところ。
私の場合、インド帰国直前というタイミングで、現地の雑貨屋を何店も周り、ほぼ2年分程度の歯ブラシを収集して帰国しました。
ホテルも安いですが、これには特有のリスクがあります。
その他にも、インドのジムは月々の費用がなんと300円弱ほどです。
日本では最低でも月8000円はすると思いますが、考えてみれば何に支払っているのか分からない金額。
インドでは月300円です。
それでいて設備面の充実度も低くなく、パーソナルトレーナーがメニューを組んでくれさえします。
ジム内の人間関係も密で、ヒンドゥー教徒もいればイスラム教徒もいました。
アジア人は私一人でしたが、暖かく歓迎してもらい、ムキムキになって帰らせてもらいました。
費用は2ヶ月分で600円しかかかっていません。(ジム終わりに「おい、チャパティ食いにいこーぜ!」みたいな感じには結構なるので、それで出て行く金はある。でも日本の外食費より格段に安い。)
このように現地の最貧困層の目線に調整されている物価を同じように使わせてもらえるのは、やはりメリットであることに変わりはないでしょう。
衛生などのリスクが明らかな分野を除き、現地価格を積極的に楽しむことは、途上国旅行の醍醐味の一つでしょう。
6. 生活費と結論
インドでの最安価の生活費を考える場合、理論上、月27,500円で過ごす事が可能です。内訳は、
宿代 : 最安価の安宿300円*30日 = 9,000円
食費 : 150円のチキンビリヤ二を1日3食 * 30日 = 13,500円
雑費 : WiFi代など5,000円